テスラ初のEVトラック「セミ」は航続可能距離805km→966kmに向上?但し充電容量は1,400戸分の電力が必要か

2020-05-26

アメリカの100%電気自動車メーカであるテスラが、業界発となるEVタイプの大型トラック「セミ(Semi)」の開発を進めていますが、このトラックの最大航続可能距離が805kmではなく966kmにスペックアップする可能性が高いと説明。
テスラ「セミ(Semi)」は、当初のスペック資料にて、航続可能距離482kmのベースモデルは約1,680万円、航続可能距離805kmの中間モデルは約2,000万円、初期ロット1,000台生産モデルのファウンダーシリーズは約2,240万円と発表していますが、この中で中間モデルの航続可能距離が805km→966kmに向上するのだと思われます。


上記以外のスペックは以下の通りで、EVトラックとしては申し分ない性能を発揮します。

・約3,600kg荷重での0-100km/hの加速時間:20秒
・5%勾配の坂での走行性能:105km/h
・航続可能範囲:482km~966km
・パワートレイン:リヤアクスルに4つの独立したモータを搭載
・エネルギー消費量:2kWh/マイル未満
・生涯燃料節約:2,000万円以上
・予想ベース価格:482kmレンジのベースモデル約1,680万円、966kmレンジの中間モデル約2,000万円、ファウンダーシリーズは約2,240万円
・ベースモデル&中間モデルの予約金:約220万円
・ファウンダーシリーズ予約金:一括支払い

外観のデザインについては、空気特性を最大限に抑えているとのことで、けん引するトレーラーとのクリアランスを塞ぐフラップを採用することにより、フランスのハイパーカー・ブガッティ「シロン」よりも優れた空気抵抗係数0.36(シロンは0.38)を実現。
そして、トラックの底面をフラットにすることで空気を真っ直ぐ通り抜けるように改良したため、これによる高速道路での航続可能距離が大幅に延長されたとのこと。

これだけのスペックを兼ね備えて、約2,000万円にてガソリン一滴も使用しないエコなトラックというのは、ある意味完璧かと思われますが、最も問題といわれているのがその消費電力。
「セミ」をフル充電するために必要な電力量は1,600kW(専用設備:目がスーパーチャージャー)と言われており、これを30分で充電するには、3,000~4,000戸に上る平均的な住宅が30分に使用する電力量に匹敵するとのこと。これはつまり、テスラの従来モデル「モデルS/モデルX/モデル3」に使用される専用充電設備「スーパーチャージャー」の10倍近くの出力が必要になると言われていますが、この設備をいつ頃導入するかについては一切不明。

これの対策についてもソーラーパネルによる蓄電が挙げられていますが、太陽光を受けない場合の対策などについても説明は無し(多分、メガスーパーチャージャーの設備費用がとんでもないことになると予想)。
まさに本末転倒ともいえるこのモデルについては、今後どのように対策が進められるのか気になるところですが、消費電力を抑えたスーパーチャージャーでの対応が可能なスペックであれば、間違いなく革新的な一台と言えそうです。

Reference:motor1.com