台風21号による高潮の被害を受けた神戸・フェラーリディーラのその後。yahoo!ニュースでは誤った情報も

2020-11-12

台風21号が過ぎて1週間、オートカヴァリーノは今?

以前、兵庫県神戸市の六甲アイランドにある関西2店舗目のフェラーリ正規販売店「オートカヴァリーノ」さんが、台風21号による大きな水害の影響により、店内にある53台中51台のフェラーリモデルが海水に浸ってしまい全て廃車扱いとなってしまいましたが、その後の状況をYahoo!ニュースを経由する「くるまのニュース」にて”全損となった51台のフェラーリは事前に避難させることはできなかったのか?/51台の車両はどのような扱いになるのか?”といった内容を記載しています。

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早速誤った情報が拡散されている

まずその前に、「くるまのニュース」でも取り上げている、現在のオートカヴァリーノさんの運営状況についてですが、今のところディーラでの営業は停止している状態ではあるものの、”電話も不通”というのは完全なる誤りで、以下の通りフェイスブックを通して「マセラティ神戸」さん(経営母体はクイーンオートさん)にて販売関連や整備関連、保険関連、その他緊急事項について対応しております。
この情報は、台風21号が発生した9月4日から2日後に対応しているため、オートカヴァリーノさん自体が営業停止しているわけではありません。

なお、今回被害を受けた51台の中に、マンセル氏が乗っていたF1マシンが含まれているとの情報がありましたが、実際にはこのマシンが唯一無事だった2台の中に含まれていました。他の車両を修理する際に、置き場所に困っていたF1マシンをリフトにて一番高い位置にまで載せていたため、今回は何とか被害から免れていますが、その他の新車モデルや納車直前の個体(納車2日前にして友人のクルマも水害を受けて廃車に)、車検・修理などの個体は全て、海水(塩害)によってエンジン内部には錆びが発生し、CPU(コンピュータ)やエンジン、内装の革製品等もすぐに劣化してしまうため、修理することはほぼ不可能とのこと。

水害を受けたフェラーリ51台はどうなる?

もちろん、エンジンの載せ替えやシートの張り替え等、フルレストアレベルでの修理・修復であれば再び乗ることは可能ではありますが、いつ何時故障するかもわからず、ましてや時間と費用が異常にかかってくるため、そうであれば素直に新車を購入した方が何倍もお得になるとのこと。

そのため、こうした水害・塩害を受けたモデルたちは、顧客のもとに届くことは無いまま、廃車扱いになるものもあれば、保険会社へと一任、もしくは一部は塩を大量に浴びるニュージーランドやUAE(アラブ首長国連邦)にて売却できる可能性もあるとのこと(もちろん、実際に売却するかはわかりませんし、あくまでも最善となる方法のひとつでしか過ぎない)。

オートカヴァリーノさんも高潮対策には事前に備えていた

そして最後は、”高潮警報が出てから実際に海水が浸入するまで10時間近くあり、その間に安全な場所に移動していれば…”という内容についてですが、これは「くるまのニュース」から見た結果論に過ぎませんし、オートカヴァリーノさんも事前にブルーシートや土嚢(どのう)によって高潮対策は取っていたことは事実です。
世間では、オートカヴァリーノさんの危機管理能力が無いと批判するところもありますが、自然の力は私たちの想定を遥か上回り・裏切ることのできる、法ですら捌けない唯一の力を持っています。

「高潮によって1mもの高さまで浸水したじゃないか!」というのは単なる過ぎた事実を言っているだけで、このような予想だにしない天災はこれまで何度も起きています。
これまで受けてきた天災の経験を活かして事前に対策をしても、それを簡単に裏切るのが天災ですし、過ぎてしまったものに対して(ましてや被害を受けたディーラに対して)とやかく言うのはさすがにどうなの?とも思うところも。
ディーラといえども人が運営しているわけですから、最大限できる限りの対応はしているはずです。

確かに、海外のように水害から免れるように隔離した倉庫や建物内に車を仮保管する手もあったかもしれません。
この被害で大切なものを失ってしまったオーナーの心の痛みは計り知れないと思います。
それでも事前に高潮対策をとっていたことは事実ですし、これに対して全く外部がケチをつけたり「もっと安全なな場所に移動していれば…」等と言う必要性は無いと思ったりしますね。