ZOZOTOWN前澤社長もオーダー中のメルセデスベンツ「AMG One」に搭載のF1エンジンはとにかく問題だらけ。その気になる問題とは?【動画有】

2020-05-27

~「AMG One」は想像以上に市販化の難しいハイパフォーマンスモデルだった~

メルセデスベンツが世界限定275台のみ販売し、ZOZOTOWNの前澤友作CEOやカーガイ(CarGuy)の木村CEOもオーダー中のプラグインハイブリッド・ハイパーカー「AMGワン(AMG One)」ですが、現在このモデルの開発が大幅に遅れているとのことで、どうして開発が遅れてしまっているのかをユーチューブチャンネルのDRIVETRIBEが説明しています。


~改めて「AMG One」のスペックを確認してみよう~

これは以前にも公開しましたが、「AMG One」に搭載されるエンジンは、F1技術を採用した排気量1.6L V型6気筒ターボチャージャーエンジン+電気モータのプラグインハイブリッドを採用し、システム総出力は1,000ps超えとなっています。

オールEVだけでの走行であれば、フル充電の状態から約25km走行可能で(ガソリンの走行距離分はもちろん別)、これだけのハイパワーな出力を得ながらも20km超えのシステムを搭載するのは、かなりの技術であると称賛されています。

パフォーマンスとしては、0-200km/hの加速時間が6秒以下で、最高時速は350km/h以上となっていますが、この辺りについては正式な市販モデルが登場した際に多少の変更があるかもしれません。

~多数の問題が発生しているが、大きく影響しているのは3種類~

そんなモンスタースペックである「AMG One」ですが、このモデルの開発で最も苦労していることの一つがF1エンジンの起動方法で、従来のF1カーでは外部スターターモータを使用して起動させているものの、これを「AMG One」に適用させるのは実用的ではないとして、オーダーメイドのスターターモータを開発する必要があると説明しています。

二つ目の問題点としては、その強力且つ高回転を実現する「エンジンの冷却方法」で、公道仕様モデルともなれば公道にて走行する際に渋滞に遭遇することがあるため、必ずストップ&ゴーを繰り返す場面が発生します。
このストップ&ゴーの繰り返しがエンジンに大きな負担をかけるそうで、そういった際にエンジンを冷却するための巨大なファンが無ければオーバーヒートする恐れもあり、更にはアイドリング時の回転数は5,000rpmにまで到達するとのことで、公道仕様にて認可されるアイドリングは1,200rpmで排出ガスをクリアする必要があるので、そのアイドリングをクリアするための改良が必要になるとのこと。

そして最後の問題がエンジンの開発コスト。
現代のF1エンジンには、公道モデルには無いとんでもないパフォーマンスと技術が搭載されていますが、その一方でエンジンの開発費用には約8.6億円も掛かっているとのことで、これを搭載した個体を否が応でも約3億円にて販売しなければならないので、相当なコストカットに力を入れなければいけないのでしょう(この時点で「AMG One」を売れば売るほど赤字になることがわかる)。

~実は「AMG One」は破格過ぎる個体~

そういった問題を多数抱えた「AMG One」が、約9か月もの販売延期するのもある意味納得で、むしろ「本当にこの値段で発売できるのか?」と不安になってしまうほど。

開発背景を聞かずして、約3億円にて販売されると聞くと「いやマジ高過ぎぼったくりだろ!」と思ってしまいますが、こうして開発背景と苦慮しているポイントを聞くと「えっ…たった3億円で買えちゃうの?」と考えが覆ってしまいます。

これらを知った上で、日本市場でも二桁台の「AMG One」が納車される予定ですが、その苦労を感じながら早く実車を拝見してみたいですね。

【Why it’s difficult to put an F1 engine in a road car】

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Reference:CARSCOOPS