トヨタ新型「ライズ(RAIZE)」に試乗。良い意味で”普通のコンパクトSUV”、但しトヨタとは思えない欠点も…

2020-05-27

~さっそく新型「ライズ」に試乗してきた!~

かなり遅れてはしまいましたが、先日トヨタの新型コンパクトSUVモデル「ライズ(RAIZE)」に試乗してきました。
このモデルは、ダイハツ「ビーゴ」の後継モデルとなる新型「ロッキー」のOEMモデルということで、トヨタ「ラッシュ」の後継モデルに値する一台となりますね。

以前、新型「ライズ」に関する試乗短評記事を公開しましたが、これが思いのほか反響がすごく、早めに試乗記事を更新してほしいとのコメントも多く寄せられたため、今回は早めに更新させていただきました。

既に新型を先行オーダーされた方や、これから検討される方も非常に多いと思いますので、是非とも気になる方は今回の試乗記事を参考にしていただけたらと思います。
基本的には、試乗した際の直観的な感想がメインとなりますので、他のジャーナリストさんとは異なって理論的な説明はできないかもしれません。その点は予めご了承ください。


~新型「ライズ」のスペックをおさらいしておこう~

少し前置きが長くなりましたが、今回試乗させて頂いた個体を簡単にご紹介すると、最上位グレードとなるZに試乗。
新型「ライズ」では、スマートアシスト(安全装備)を一切装備していないエントリーグレードXから始まり、スマートアシストを装備したX”S”、上位グレードG、そして最上位グレード且つトヨタディーラが推奨する”Z”の4種類がラインナップされています。

ボディカラーは、非常に人気の高いシャイニングホワイトパールカラーで、インテリアもファブリックシート表皮にレッドパイピングが追加されたスポーティなデザインとなっています。
インテリアデザインの一部や外観以外については、基本的にダイハツ「ロッキー」と同じ作りとなっているため、乗り心地等もほとんど変わりませんね。

~コンパクトSUVなだけあって、コストを抑えているところはとことん抑えている?~

それでは早速試乗に入っていきましょう。
まずは運転席のドアを開けたときの軽さは軽自動車並み。

正直、ここの捉え方は人それぞれだと思うのですが、「軽く開く=女性や子供でも簡単に開く」と捉えるのか、「軽く開く=重厚感が無く非常にチープ」の2択に分かれるのではないかと思いますが、個人的には後者の印象を受け、非常に軽くて厚みが無い分、「衝突されたときに大丈夫なのかなぁ…」とちょっと不安に思ってしまう程。このあたりのコストダウンは徹底しているのかもしれません。

ドアを閉めたときのパタンという音も非常に軽やかですが、開け閉めは凄く楽だと思います。
子どもも簡単に開け閉めできますし、その後の乗降りも非常に楽。
そこまで大きく姿勢を崩さなくても、簡単にシートに座れるのは大きなポイントではないかと思いますね。

あとはリヤドアハンドルが、「C-HR」のようにCピラーに埋め込まれたピラーマウントドアハンドルではなく、しっかりとサイドミラー下に設けられているので、身長の低い子どもでも簡単に開け閉めできるのはグッドですね。

~シートの座り心地はどうだ?~

少し話は逸れましたが、早速シートに座っていきましょう。
シートは先述の通りファブリックとなりますが、シート生地は分厚めでフィット感が強く、しかし少しカタメに作られているからなのかホールド感も強めですね。
フカフカしていない分、しっかりと姿勢をキープすることができます。

サイドミラーやインナーミラー、そして手動でのシート調整(電動パワーシートは搭載されていない)が完了した後、早速エンジンを始動していきたいと思います。

エンジン始動時の振動は伝わってこない?と思いきや、これがそこそこ伝わってくるレベル。
そしてここで、いきなり目につくポイントを発見してしまいます。

~目につくと心配になるレベルでナビが振動する~

かなり細かいとは思うのですが、新型「ライズ」ではトヨタ純正ナビの他に、社外製の9インチや7インチのT-Connectナビを設定することが可能で、今回の試乗では「T-Connectナビ 9インチ」が設定されていました。

おそらくこのナビを装着するためのフレームとナビに大きなクリアランスが有るからなのかはわかりませんが、エンジンのアイドリングの振動により、ナビゲーションディスプレイも”カタカタカタ”と振動していたのが非常に印象的でした。

「まさか品質面に厳しいあのトヨタが…」と苦笑いになり、隣に座っていた担当セールスさんも同様に苦笑気味でした。

ちなみにエンジンは、ダイハツ新型「ロッキー」と同じ排気量1.0L 直列3気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力98ps/最大トルク140Nmを発揮。ガソリンはもちろんレギュラーで、燃料タンクは36L入りします。

~公道を走ってのインプレッションはどうだ?~

それでは早速公道を走りましょう。
公道に入る前に、歩道からの下る段差を乗り越えていくわけですが、この際の振動や揺れは結構抑えられており、足回りも少しカタメのように感じました。
ただ、重厚感のある「RAV4/ハリアー」とは異なり、振動を吸収する感じではなく、このあたりは正直言うと軽自動車に乗っている感じでした。

公道に入ったあとは、しばらく直線が続くため、早速アクセルを踏みこんでいきます。
アクセルを踏みこんだときの加速は、1リッターターボとは思えない程にレスポンスが良く、結構良い感じで加速していきますね。
もちろん、直4ターボエンジン等と比べたら非力には感じますが、そこまで飛ばすほどのクルマでもありませんし、普段のチョイ乗りだったり、周りの交通の流れに合わせる意味では十分すぎるスペックだと思います。

ブレーキを軽く踏むだけでも、しっかりとブレーキしてくれまし、減速してからのカーブもしっかりと路面に張り付いて曲がってくれてると言う安心感もあります。
そして何よりもサイズ感が非常にコンパクトなので、車幅だったり車間距離を必要以上に空けたりといった心配もしなくて良いのがこの車の大きなポイントだと思います(誰でも運転できる感じ)。

そういった意味では、必要な要素はしっかりと満足している”普通のクルマ”だと思いますし、しかしここ最近では全長や車幅が大きくなって、全高も低くなるようなワイド&ローなクーペ化が主流になってきているので、そんな中でのこうした普通のクルマというのは、有りそうで無かった個体なのかもしれません(新型「ライズ」は全長3,995mm×全幅1,695mm×全高1,620mmとコンパクトで背が高め)。

~この価格帯での新型「ライズ」は高い?安い?~

また価格帯も1,679,000円~2,282,200円と幅広いながらも、トヨタディーラが推薦する上位グレードZであれば、諸経費込で約270万円ほどになるため、これを高額と捉えるのか、このスペック相応のモデルであると判断するかは非常に難しいところだと思います。

私の考えとしては、軽自動車のような乗り心地だったことは間違いないものの、しかし安全装備やデザインは満足いくもの(ミニRAV4のような感じ)に仕上がっているので、これだけの金額を支払う価値はあると思いますが、パドルシフトが全グレード装備されていなかったり、サイドブレーキがハンド式という点をみたりすると、「チープな部分もあるのに高いなぁ」と考える人もいるかもしれません。

要は、こういったジャンルのモデルは、上を見たらキリが無いと言うのが正直なところなので、そういった意味では結構上手いところに価格帯と装備内容を落とし込んできたなぁと思いますし、その証拠として2019年11月頭現在での納期が2020年1月以降になっている程に人気を高めているわけですから、結構買いな一台ではないかと思います。

もし上質な乗り心地や電動パーキングブレーキを採用したコンパクトSUVに乗りたいのであれば、ホンダ「ヴェゼル」がお勧めですし、デザイン性や高級感、そしてしなやかな走りを求めるのであればマツダ「CX-3」をオススメします。
トヨタ新型「ライズ」は、そういった特別なものを装備したモデルではありませんが、”必要最低限のものを満たす普通のコンパクトSUV”としては、十分なモデルではないかと思いますね。

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