研究家「トヨタやテスラ等はタッチスクリーン/タッチパネルを採用することが”事故の割合を高めている”ことに気付いてほしい」今後は物理スイッチが積極的に採用されるかも?
タッチスクリーンがコストや部品点数削減といったメリットより、どれだけリスクが高いかを再認識する必要がありそう
前回のブログにて、韓国の自動車メーカー・ヒョンデが「タッチパネル/タッチスクリーンを活用することが最善策ではない」と語り、更にユーザーの意見をフィードバックすることで「物理スイッチ」を積極的に採用していく考えを示していました。
こうした考えについて、とある大学教授/研究家でありながら「スイッチ類の第一人者」である人物も、タッチスクリーンを積極的に採用するメーカーに対して苦言を呈しながらも、物理スイッチの良さについて説明しています。
「タッチスクリーンの拡大」は、事故を誘発する割合を高めている?
日本だけでなく、海外の自動車メーカーも同様ですが、現在の自動車業界を含むテクノロジーの世界において、「操作系のスイッチに関する考え方やレイアウト」について、再度考え直す時が来ているのだそう。
タッチスクリーン/静電容量式タッチシステムは、依然として車内の主要な機能にはなっていますが、ドライバーが物理的コントロールの重要性を再認識するにつれて、各自動車メーカーは物理コントロールの価値を再検討しているところ。
結局のところ、運転は「実用性」と「安全性」、そして「シンプルさ」を要求する領域になるため、これらの要素から逸脱する使い勝手の悪さは、ドライバーの満足度を低下させるだけでなく、事故を起こす問題へと発展する恐れもあるため、その考えが徐々に薄れた結果が「タッチスクリーンの拡大」に繋がっているのではないか?との見方があるようです。
「物理スイッチの第一人者」も、現代の自動車メーカーについて苦言
アメリカのインディアナ大学ブルーミントン校の准教授で、いわゆる「ボタンの第一人者」であるレイチェル・プロトニック氏は、この物理スイッチによる”触覚の復活”を何年も研究しているのですが、やはり自動車のタッチスクリーンの拡大については不安視している模様。
「Power Button: A History of Pleasure, Panic, and the Politics of Pushing」(2018)の著者であるプロトニック氏は、ボタンの心理学と文化史、そしてテクノロジーにおけるボタンの永続的な役割について研究してきました。
現在、彼女は企業がデジタルと触覚のバランスを取りながらインターフェースを改良するのを支援していて、海外メディア・Spectrumからのインタビューでも、同氏は自動車の内装でますます顕著になりつつあるトレンドの「消費者向け機器の再ボタン化」を推進する要因について質問され、次のように答えています。
各自動車メーカーが、タッチスクリーンから物理スイッチに切り替える考えを示しているのは、おそらく「スクリーン疲れ」があるからでしょう。
私たちは、昼も夜もこれらのデバイス上で過ごし、ページや動画をスクロールしたり、絶えずめくったりしていますが、それは疲れるものです。
物理スイッチは、ある程度私たちの日常生活をほぼ脱テクノロジー化する方法かもしれません。
物理スイッチ(ボタン)が、スクリーンとうまく機能しないというわけではありませんが、タッチスクリーンは、ある意味で「感覚としての視覚の優先順位」を奪い、スクリーンが何かと対話するための最良の方法ではないことを認識しています。
とコメント。
この要因について(もしくは批判的なコメントにも聞こえますが…)は、物理スイッチを第一に考える研究家だからこそ説得力があるところ。
確かに、日常生活におけるスクリーン疲れというのは、自動車に限らずスマホやパソコンなど、仕事でも常に目を酷使するような場面が多いため、その中で事故を起こしやすいクルマの運転でも、タッチスクリーンを採用するともなれば危険度は増しますし、直感的な操作がし易い物理スイッチを導入した方が、事故の危険性は低下するかもしれません。
2ページ目:タッチスクリーンを減らす考えを示すメーカーもあれば、トヨタや日産のようにタッチスクリーンを増やすメーカーも?