アキュラ新型ZDXを新車で購入したにも関わらず、僅か640kmでバッテリー不具合で走行不能→メーカーがサポート無視で8か月も放置され訴訟問題へと発展
初のピュアEVモデルを発売することによるリスクもあれば、今後起こり得る問題かもしれない
ホンダの北米専売ブランドとなるアキュラより、初のピュアEVクロスオーバーとしてラインナップされた新型ZDX。
今回、このモデルを新車で購入したユーザーが「走行距離僅か643kmで走行不能」となり、これに対してディーラーからメーカーに対してバッテリーサポートの要請をお願いしたにも関わらず無視され、約8か月間も放置されているとのこと。
これにより、アキュラディーラーはホンダに対して損害賠償を請求するとして訴訟問題へと発展しています。
新車購入して僅か640kmほどで走行不能に
これは、アメリカ・メリーランドアナポリスのクリスウェル・アキュラディーラーにて起きた問題で、本ディーラーにて2024年モデルとなる新車のZDXを購入したものの、バッテリー不具合の問題で「バッテリーパックの交換が必要」と告げられ、2025年4月現在、この販売店は「損失の回復」を求めてアメリカン・ホンダ・モーター・カンパニーを提訴しています。
訴状によると、クリスウェル・アキュラディーラーは、2024年5月にZDXを69,207ドル(日本円に換算して約985万円)の卸売り価格で購入し、その後すぐに顧客へと販売。
しかし、オーナーが購入してからわずか400マイル(約643km)でフル充電できなくなったことに気が付きました。
問題が報告されると、ディーラーはアキュラの勧告に従い、交換用バッテリーパックを発注。
その後もオーナーが待ち続けている間に状況は悪化し、最終的にZDXは充電を完全に停止し、ドアさえも作動しなくなったと報告されています。
新品のバッテリーパックに交換しても問題解決せず
アキュラディーラーは、新しく注文したバッテリーパックを取り付けたものの、問題はそれで解決せず…
取り付け後、リアアクスルセンサーが故障し始め、交換後もエラーコードが表示され続けたとのこと。
アキュラの技術部門は、ディーラーに在庫のハーネスを交換するよう指示。
海外カーメディアAutoNewsの報道によると、アキュラディーラーは「これらの指示に従ったにもかかわらず、エラーコードが消えることは無かった」とコメントしています。
ディーラー契約の条項により、メーカーが責任を負うことになっている
アキュラディーラーは、その後の「ホンダへの支援要請は事実上無視された」と主張していて、期間にして8ヶ月近くが経過した2025年4月現在も、ZDXはディーラーにて放置されたままで、依然として運転できない状態が続いています。
問題の正確な原因は不明ですが、ディーラー側は「設計不良、製造上の欠陥、取り付けまたは納車前の損傷」が原因ではないかと疑っています。
ディーラー契約の条項では、「ホンダはアキュラ製品の製造上または設計上の欠陥があるとされるものについて責任を負う」ことになっています。
訴訟では、この義務が果たされていないと主張していて、当該車両は「完全に運転不能であり、修理も不可能」であるとされています。
アキュラディーラーは、契約違反と不当利得による損害賠償を求めていて、「ZDXの販売で全損を余儀なくされ、顧客への販売による利益の損失、登録料の支払い、そして多額の修理費を負担した」と主張。
この事例は、EVがより複雑になり、特にメーカーからのサポートが不十分になった場合にディーラーが直面する潜在的なリスクを浮き彫りにしているため、「初のピュアEV販売によるリスク」が如実に表れたものではないかと思われます。