ホンダは次期S2000の復活を諦めていない!チーフエンジニアが語る『社員の熱意』と『ホンダDNA死守』のプライド。しかし現実が招く、コスト・価格高騰の壁

(続き)ホンダが現在販売するスポーツモデルは、ベースとなるモデルが存在するからこそ市販化できている

引き続き、ホンダの次世代スポーツカーについて見ていきましょう。

何かと話題・批判の多い新型プレリュードは、シビックがベースになっているからこそ市販化できている

ちなみに、ホンダが直近で販売した新型プレリュード (Honda New Prelude, BF1)は、シビック (FL)のプラットフォームをベースに構築され、シビック e:HEVがベースとなる排気量2.0L 直列4気筒直噴エンジンと、シビックタイプR (FL5)のサスペンションを備えることで実現。

こうした既存パーツを共有することで、開発コストを抑えることができるわけですが、先ほどもお伝えした通り、S2000を開発するとなると「ベースとなるプラットフォームからパワートレイン、駆動方式」まで、全てが全くのゼロからの自車開発になるため、開発コストも時間も大幅にかかってしまうんですね。

当然のことながら、スポーツカーを開発・販売するということは、その分売り上げにも貢献しなければならないため、コストと売上も大きな要因になってきます。

そしてホンダは、ハイブリッドおよび電動パワートレインに力を入れているため、少量生産のコンバーチブルモデルにリソースを割く余裕はほとんど残っていません。

山上 氏は、「従来のスポーツカーは(設計、開発、製造に)非常に費用がかかり、若い世代には(購入する)余裕がないという認識は正しいと思います」と語り、加えて「スポーツカーは生産数が少ないので価格が高くなります。ご存知の通り、シビックタイプRは、シビックをベースに生産されているので、コストを抑えています」とコメント。


パーツを共有しているプレリュードで約618万円、全くのゼロベースとなる次期S2000は1,000万円を超える?

新型プレリュードも、シビック/シビックタイプR/シビック e:HEVの組み合わせとして制作・生産・開発されているため、価格を下げることができていますが、 それでも「購入者からは、まだ高すぎるというフィードバックを受けている」とのことですから、先ほどのようにゼロベースで開発するであろう次期S2000は、とんでもなく高額になることは容易に想像できるところ。

参考までに、シビックのプラットフォームやパワートレイン、各種パーツ類をベースにして開発費を抑えたプレリュードでさえ、車両本体価格は6,179,800円(税込み)まで抑えることができていますが、全くのゼロベースとなる次期S2000ともなれば、最悪の場合1,000万円を超えて来る可能性だって出て来るわけですね。

どんなにS2000の復活を願おうとも、仮に車両本体価格が1,000万円を超えるようなスポーツカーが登場するとして、果たしてどれだけのユーザーが食いつき、購入することができるのか?が一番のポイントだと思うんです。

それも山上 氏は、当然のことながら把握しているからこそ、「販売したい想いはあれど、現実的には難しい」というのが本音で、しかしいつかは、ホンダのこれまでのノウハウを活かした形で、(内燃機関としてなのか、バッテリーEVとしてなのかは不明ですが…)次期S2000の復活を期待したいところです。

1ページ目:ホンダは次期S2000の開発・販売を諦めていない?

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