ホンダCEOが中国視察で『我々に勝ち目はない』と断言。6,900億円の赤字とEV開発中止の深層。国内でもWR-Vが前年比28%と大苦戦の理由
ホンダトップも、ようやく自社の危機的状況を理解し始めた?
ホンダといえば、2026年3月12日に「四輪電動化見直し戦略に伴う損失の発生」に関するプレスリリースと記者会見を行い、北米での生産を予定していたピュアEVモデルのHonda 0 SUVやHonda 0 Saloon、そしてアキュラ新型RSXの三車種の開発・販売中止を発表(後にソニーとの共同開発モデルとなるアフィーラの開発も中止)。
加えて、EV開発中止に伴う処理による損失計上を行ったところ、2026年3月期連結決算の予想は、最大で6,900億円の最終赤字に下方修正され話題となりました。
そんな巨額損失を抱えるホンダCEOでお馴染み三部敏宏 氏が、中国・上海にある自動車部品サプライヤーの工場を視察し「我々に勝ち目はない」と落胆していたことが、大手メディアでの取材にて明らかになりました。
ホンダの中国市場での競争力低下は致命的であり、2026年は過去最低の生産台数となる恐れ

ホンダといえば、電気自動車(EV)の問題だけに留まらず、長年続く多くのブランド同様、中国市場での競争力を維持するのに苦労しています。
販売台数はわずか数年で激減し、2020年ピーク時の162万台から、2025年にはわずか64万台と50%以上も落ち込みました。
製造拠点の稼働率は約半分にとどまり、自動車業界で利益を上げるために通常必要とされる70~80%を大きく下回っているのが現状なわけですが、どうやら2026年の年間生産台数は、過去最低ともいえる60万台を下回ると予測されています。
ホンダCEO「(中国の技術とスピードは)我々には到底太刀打ちできない」

ホンダ社長 兼 CEOである三部敏宏 氏は、中国市場の動向を確認するため現地に訪問し、国内企業が「短期間で多くの製品を生産できる仕組み」について理解を深めたとのことですが、日経アジアの取材によれば、特に上海の自動車部品メーカーの工場を視察した後、三部 氏は「我々には到底太刀打ちできない」と厳しい発言。
「チャイナスピード」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、中国の自動車メーカーは、わずか「2年以内」に全く新しいモデルを開発することが可能で、このスピード感を三部 氏は肌で感じたとのこと。
それに比べて、国内自動車メーカー含む老舗ブランドは、新製品の開発にその2倍、場合によってはそれ以上の期間を要することがあるため、膨大な数の企業が記録的なペースで車両を開発している現状では、中国がまるで「2日に1台」のペースで新車を発表しているように感じられるのも不思議ではありません。
今回の中国訪問は、ホンダが「変わる」きっかけになるかもしれない

中国のサプライヤーは、このペースに追いつけるだけでなく、業界最大手企業が夢にも見ないほどのコスト効率でそれを実現。
ただ、今回の三部 氏の発言は、「自社ブランドが敗北を認めたもの」と捉えるのではなく、中国メーカー及びサプライヤーのスピードに負けないために、ホンダのサプライヤーに向けて「開発を加速させるために、迅速に行動しなければならない」と語ったことから、ようやくこのタイミングで「自社の危機感」を感じ取ったのではないかと思うんですね。
そのため、ホンダは数千人のエンジニアを、新設のエンジニアリング子会社に異動させることで、独立した研究開発部門を復活させようとしています。
開発が中央集権化され、本社が主導権を握っていた過去6年間よりも、より大きな自主性を持って運営されることが期待されているわけですが、この創造的な自由度の向上によって状況が好転するかどうかは依然として不透明なままとなっています(主要な決定は依然として本社で行われると考えるのが妥当)。
