レクサス・新型「NX300h」に試乗。ハイブリッド&スポーティ、これ買わないで何を買う?

2020-05-26

前々から試乗の検討を進めていたレクサス・新型「NX」。
今年の7月に「NX300h F SPORT」の契約を完了させてから、実車のレビューはしていたものの、試乗は未だできていなかったため、ようやくそれが実現に。

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今回も試乗させていただいたところは、いつもお世話になっているレクサス宝塚さん。

今回の新型「NX」は、9月14日(木)にマイナーチェンジを果たし、外観のデザインの変更と安全機能(「プリクラッシュセーフティシステム」「レーンディパーチャーアラート」「オートマチックハイビーム」「レーダークルーズコントロール」)を標準装備したモデルとなります。
また、今回のマイナーチェンジにより、点滅式のウィンカーから流れるウィンカー(シーケンシャルウィンカー)が標準搭載となり、レクサスの高級感漂う雰囲気に加えて、上質且つスポーティな走りと、不思議と感じる”親しみさ”を提供する一台に仕上げられています。


【新型「NX300h」について】
さて、今回試乗させていただいた個体は、「NX」のハイブリッド&中間グレードとなる「NX300h I package FF」。「NX」にはベースグレードとI package、F SPORT、version Lの4グレードが存在しますが、その中でもI packageは標準装備の充実さに加えて人気度も高いグレードになっています。
ボディカラーはグラファイトブラックガラスフレークとブラックをベースにガラス調のラメが含まれた高級感漂うカラーとなっています。
しかも、今回試乗した個体はF SPORTフルエアロ(フロントスポイラー、サイドスカート、リヤスカート)+19インチアルミホイール(スーパーブライトクローム仕様)を装着したゴリゴリの純正カスタム仕様となっています。

【「NX300h」主要諸言】
全長×全幅×全高:4,640mm×1,845mm×1,645mm
ホイールベース:2,600mm
最低地上高:170mm
パワートレイン:排気量2.5L 直列4気筒+ハイブリッドシステム
最高出力/最大トルク:エンジン152ps・モータ143ps/エンジン206Nm・モータ270Nm
燃費:21.0km/L
燃料:レギュラーガソリン

上述の通り、最低地上高は170mmと比較的高めとなっていますが、今回の試乗車においてはフルエアロ装着によりフロントが32mmダウン、サイドが41mmダウン、リヤが27mmダウンしています。

【外観インプレ】
まずはフロント部分を確認していきましょう。
大きく変化しているのはやはりLEDヘッドライトの配置とハウジング。
これまでの「NX」は、連なるタイプの三眼LEDでしたが、今回のマイナーチェンジによって、「RC」のような逆デルタ(▽)タイプの三眼へと変更されていますね。加えてLEDも小型化され、焦点ポイントと輝度が若干向上しており、よりスタイリッシュさに磨きをかけています。
ハイビームは更に内側にある単眼ライトとなります。

リヤデザインについては大きな変化はないものの、やはりF SPORTエアロ(リヤスカート)が装着されることで、ボリューム感は相当に加わっているように感じます。
このリヤスカートの金属調加飾部には、高品位でシックな雰囲気をもつスーパーマットメタルを採用。

続いてはインテリアですね。
実際にドアを開けてみましょう。
内装はアダルティな演出となるキャメルカラーのオーカーを採用。
シートマテリアはL tex(合成皮革)のため、シート表面に小さな穴が付いていないことから、ベンチレーション(シートクーラー)は採用されていません(但し、シートヒーターは標準装備)。
本革シートであれば、シート表面に小さな穴があけられ、通気性を持たせているため、ベンチレーションとシータヒータが標準装備されています。
実際に車内へと乗り込んでみますが、サイドシルの位置が予想よりも高いのか、少し脚を上げる必要がありそうです。
ただ、車内への入り口のスペースが広いおかげもあって、姿勢をそこまで大きく崩すことなく容易に乗降りすることが可能となっています。
実際にシートに座り込んでの印象としては、意外とシートは柔らか目でホールド感はしっかりとありますね。

ステアリング周りやダッシュボードはこんな感じ。
ブラックを基調としているため、全体的に落ち着いた雰囲気を演出しています。
エアコンの吹き出し口の周りにはマットなメタリックフレームを採用しており、ちょっとした高級感が漂っていますね。

【試乗インプレ】
ここからは、内装インプレも併せて試乗インプレをしていきたいと思います。
インナーミラーやサイドミラー、ステアリング位置、そしてシートポジションを調整後、早速エンジンスタートです。
エンジンスタート時のスタートアップサウンドは、心が洗われるな音色を奏で、ドライバをリラックス状態へと誘います。
このスタートアップサウンドは無音も含めて4種類設定が可能なので、気分に応じて変更するのも良いのかもしれませんね。
ちなみに、スタートアップサウンドは以下の動画の通り。

【LEXUS NEW「NX」Start UP Sounds”レクサス・新型「NX」_スタートアップサウンド”】

エンジンをかけた際はやはりハイブリッドだけあって無音。
アクセルを少し踏み込むとモータから内燃機関へと切り替えられ、ガソリン車ならではのサウンドとなりますが、それでもモータから内燃機関に切り替わった際の振動はシートに伝わることなく非常にシームレス。
密かにマイナーチェンジ前の「NX300h」にも試乗したことはありましたが、ここまで振動が伝わらず、且つストレスなく車を発進させられるのは非常に良心的なところ。

まず、第一関門として恒例のディーラの段差を乗り越えるところからスタートです。
歩道から国道への段差を乗り上げるときの揺れは全く無く、おまけに国道に入ってからの加速時の振動も最小限に抑えられていますね。レクサスのプラットフォームは、車体フレーム同士を接着剤にて接合し、極力つなぎ目を無くすことで剛性を高めたボディはやはり安定性が高く、乗っていて苦にならないのがレクサスの強みでもあります。
しかも、今回はF SPORTパーツの19インチアルミホイールが装着された足回りでのインプレッションとなるため、扁平率が低いタイヤなだけに路面からのロードノイズや振動はリニアに伝わってくるのが基本。
しかし、それ以上に車体フレームの剛性と振動を減衰するボディのしなやかさと品質の高さが、19インチのタイヤであっても気にならない程。
これが標準の17インチ(オプションで18インチ)であれば、ほぼ揺れや振動の無い世界を体感できるのだと思うと、次なる加速の領域へと脚を踏み入れたくなります。

この日は生憎の雨だったのですが、湿気もあり少し気温も高めだったのでエアコン操作等をしてみます。
温度調整がレトロなL字型セレーションというのは中々にオシャレで、操作性は良いですね。
センターダッシュボードに密集したシルバーメッキ調のボタンもそうですが、時計もアナログ式と隠れたオシャレさに加えて、人間工学に基づいたボタンの配置もよく考えられており、運転中でもほぼ視点を変えずに操作できるというのも、レクサスのおもてなし精神の一つ(ナビゲーション画面が7インチ→10.3インチへと拡大したのもグッドポイント)。

国道の平坦道を走行したあとは、アップダウンの激しい峠へと進入。
コンパクトSUVと言えども、狭い峠道でもあるため少しタイトに感じるかと思いきや、視界の良さもあってか意外と走行はスムーズ。
おまけにこの個体は、スポーツ仕様ではないI packageでありながらも、車両の安定性を確保するS-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)が導入されており、電動パワステとブレーキ制御、駆動力制御に加えて足回りも強化され、非常に安定かつスポーティな走りができるのは特筆すべき点。

駆動方式が前輪駆動(FF)であるため、ある程度スピードが乗った後のエンブレやフットブレーキを多用すると、車体がフロント側に前のめりになるのですが、「NX」は元々車高が低めということもあって、姿勢が前のめりになる心配があまり無く、狙ったコーナーラインへとスムーズに侵入できますし、車体のフレキシブルな”しなり”によってアンダー気味になりやすいコーナーも安心して突っ込むことができるのも素晴らしいですね。

おまけにタイヤは19インチの低扁平ですが、まるで17インチの高扁平タイヤを履いてる感覚と変わらずで、マイルドな乗り心地を継続していることもグッドポイント。

峠の下りに入った際のブレーキングポイントはそうですが、やはりハイブリッドモデル特有の回生ブレーキ(FF特有の前のめりブレーキをあまり感じさせないインテリジェントさ)は強力で、前方の車両が急ブレーキしても即座に対応できる能力と、更にそれをカバーするLSS+(レクサスセーフティーシステム)によって守られていることも、大きな安心材料の一つとなっています。

【価格帯/強豪モデル】
価格帯としては4,400,000円~5,700,000円とベースグレードと最上位グレードとの差額は130万円。
今回試乗した「I Package (FF)」モデルは5,220,000円と中間グレードとなりますが、コンパクトSUVモデルとしては少々割高に感じる部分はあるかもしれません。
強豪モデルとしは、メルセデスベンツ「GLC250」やアウディ「Q3(Q2)」、BMW「X3」とドイツ御三家のエントリースポーツモデルが対象となりますが、これら御三家に比べると価格帯としては最安値になること、そしてハイブリッドモデル、ガソリンがレギュラーであることを考慮すると意外にもお得感は有るのかもしれませんね。

【総括】
以上より、レクサスのマイナーチェンジモデル「NX300h I package」は、環境を配慮したハイブリッドモデルでありながら、スポーティさをアップグレードしたハイレベルな一台であることは確実。
おまけに競合モデルとなるドイツ御三家と比較しても性能やコスパ共に優れている点も多く、購入検討の上では悩みどころの少ない一台ではないかと思います。
個人的には、こんなハイレベルなコンパクトSUV(ハイブリッド)を買わなくて何を買う?と思う程で、改めて自分が新型「NX」を契約して良かったと思える試乗であったと思えます。

これまでの試乗記録はコチラにてまとめております。