2004年に登場したクライスラー「ME4-12」。今のスーパーカー市場でもトップクラスのスペックを持っていた件【動画有】

2020-05-26

クライスラーがとんでもないコンセプト・モデルを出していた

クライスラーは過去に、北米インターナショナルオートショー2004にて、当時最新ミドシップスーパーカーモデルとなる「ME4-12コンセプト」を発表しました。

この個体は、今現在のクライスラーが発表したとは思えない程に過激なモデルで、当時は1998年から2007年まで、ダイムラーとクライスラーが合併したことから実現した排気量6.0L AMG製V型12気筒クワッドターボエンジン(4基のターボチャージャーを装備)をミッドマウントし、最高出力850ps、最大トルク1,150Nmを発揮、トランスミッションは7速DCT(Ricardoギヤボックス)、駆動方式は後輪駆動(MR)、そして車体重量は1,310kgととんでもないスペックを持つ一台でした。


パワーウェイトレシオ比はまさかの1.5?!

ただ、この個体はダイムラー・クライスラーにとっては大きな失敗作に終わりましたが、V12エンジンの魅力に加えて、これまでの技術を集約させた最強のクライスラーモデルとして注目を浴びました。

最近のスーパーカー市場において、大きく注目されているパワーウェイトレシオ比ですが、8月に世界初公開されるランボルギーニ「アヴェンタドールSVJ」は、ランボルギーニ史上最良のパワーウェイトレシオ比を持つとして、その数値は2kg/ps以下と言われています。
しかし「ME4-12」は、車体重量1,310kgに対して、エンジン出力が850psとなるため、ウェイト比は驚異の1.5kg/psと超優秀。
走行性能だけでなく、恐らく加速性能においてもとんでもない力を発揮するのではないかと思われます。

軽量化の背景には大量のカーボンファイバを使用

なお、これだけの車体重量を実現できた背景には、アルミハニカムモノクローバにカーボンファイバを使用したことが大きく影響しており、更には炭素セラミック複合ブレーキやシート全てを12.3kgまでダイエットさせたカーボンファイバシートが大きな要因となっています。

このおかげで「ME4-12」のパフォーマンスは、0-100km/hの加速時間が2.9秒、クォーターマイルでは229km/hにまで到達し10.6秒を実現、そして最高時速は400km/hにまで到達する、当時のスペックでは考えられないほどに恐ろしい一台でした(ってか今のスーパーカー市場でも上位クラスかも…)。

失敗作に終わった「ME4-12」。もし今登場していたら・・・

「ME4-12」は、量産モデルとなるように本格的に検討を進めてきましたが、2000年代半ばのレポート情報によると、当時中型エンジンのスーパーカーの開発にはとんでもないコストがかかるといわれており、ビジネスケースとしては全くメリットをなさない市場でもあったといわれていました。

ただ、こうしたデメリットばかりが生まれる市場も、今では競合モデル達(ランボルギーニ「ウラカン」やフェラーリ「488GTB」、マクラーレン「720S」等)が激化する時代となり、今ではスーパーカーの必須カテゴリにもなっています。
もし、「ME4-12」がこの市場に参入していたら、クライスラーも少し方向性の異なる点で活躍していたのかもしれません。

【Chrysler ME Four-Twelve concept being towed. This car should be the replacement for the Viper】

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Reference:motor1.com