マイナーチェンジ版・日産の新型キックスが売れない!注目度は高くデザインもカッコいいのに、どうしてここまで売れないのかを考えてみた【動画有】

2022-07-06

リーフ以来の新型乗用車となる新型キックスが売れないのはナゼ?

昨今の諸事情によりスケジュールが遅れに遅れて、ようやく2020年6月24日に発表・発売となる日産のマイナーチェンジ版・新型キックス(Nissa New Kicks)ですが、このモデルの注目度は高く、既に5月中旬の段階にて価格も判明して先行予約受注の受付をスタートしているのですが、どうやら全く売れていない模様。

私がいつもお世話になっている日産ディーラーにて取材させていただいたところ、先行予約開始時はそれなりに見積もり作成に来るお客さんも多かったものの、6月上旬に入ってからは全くで、5月中旬の2件の先行予約が入って以来全く…とのことでした。

デザインはもちろんですが、電動パーキングブレーキ&オートブレーキやProPilot(プロパイロット)システムが全車標準装備され、ボディカラーも充実しているのに、どうしてここまで売れないのかをちょっと考えてみました。

新型キックスが”現時点で”売れないと考えている理由についてはいくつかあると考えていますが、今回は大きく3つをピックアップしていきたいと思います。


①:価格が高すぎる

まず第一に考えられることとしては「価格が高すぎる」ということでしょうか。

日本市場から撤退したジューク(Juke)の置き換えモデルとして登場するコンパクトSUVの新型キックスですが、今回発売されるグレードはX/Xツートンインテリアエディションの僅か2種類で、おまけに前輪駆動(FF)のみ、パワートレインも排気量1.2L 直列3気筒エンジン+電気モーターを組み合わせたe-POWERのみとなります。

先述の通り、電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールドやProPilot技術を全車標準装備している最上位グレードのみがラインナップされるため、価格帯も2,759,900円[X]/2,869,900円[Xツートンエディション]と結構高額なんですね。

特にツートンエディションの価格帯ともなれば、あと10万円の追い金をすれば新型ハリアーのエントリーグレードS(299万円~)が購入できるレベルですからね…まずはこの価格帯の壁が大きく邪魔をしているのではないかと考えられます。

しかも、今回の日産のもう一つの課題となっているのが値引きの面で、2020年5月28日の中期経営企画において、日産が約6,700億円の巨額の赤字を出した背景には、限界以上の値引きを行ったことも影響しているとのことから、恐らく新型キックスからは値引きを渋ることが考えられます(っというか見積もり作成時にかなり渋ってた)。

新型キックスの見積もりについては、以下の関連記事でも公開していますので参考にしていただけたらと思います。

②:同時期に発売予定の競合モデルが強力過ぎる

続いては、「同時期に登場する競合モデルが強力過ぎる」ことについて。

直接的な競合モデルにはならないかもしれませんが、おそらく日産も恐れているであろう2020年8月31日に発売予定となっているトヨタ新型ヤリス・クロス(Toyota New Yaris Cross)という車種ですが、この個体の装備内容はもちろんのこと、価格帯も200万円~280万円ほどに販売してくる可能性が高く、そうなると最も価格の面でライバルとなるのが新型キックスになってしまうわけです。

これは日産も予想していなかった事態だと思いますし、ただでさえ新型ハリアー/RAV4 PHVの陰に隠れてしまっていますからね…日産としては負けられない戦いだとは思いますが、ちょっと陰りが見えてしまっているのは事実だと思います。

③:発売時期があまりにも悪すぎる

これはどのメーカー・車種にも言えることだと思うのですが、昨今の諸事情による経済不況も大きな問題になっていると思われ、そういった不安がまだまだ残る中での新型車の発表というのはリスクがあり、しかし自動車業界(特に日産)としても新車を販売していかないと経済悪化の一途を辿ることになるため致し方ない部分はあると思うのですが…今回ばかりは販売するタイミングが悪すぎた、というのもあるとは思います。

あとは、先述にもある通り2020年8月31日に登場するトヨタ新型ヤリス・クロスというとんでもない競合が現れることや、6月8日と17日に発表・発売される新型RAV4 PHV/ハリアー(New Harrier)の存在で埋もれてしまっているのも事実。

この局面をどのように打破していくのか、今日産が最も考えなければならない大きな課題だと思います。

それでも日産には期待したい!

以上が、新型キックスが中々売れないと考えられる理由ですが、まだ他にも考えられる理由・課題がある中で、日産がどれだけ対抗することができるのか。

2020年は負けられない年ですし、何よりも主要モデルとなる新型ノート(NOTE)/アリア(Ariya)なども発売される予定なので、日産には頑張ってほしいところです。

【【企業】#NissanNext A to Z】

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