BMW「i8」(マイチェン前)に試乗。見た目・スペック・実用性共に兼ね備えた”才色兼備”のスーパースポーツ

2020-11-12

BMW「i8」は正しく別次元のクルマだ

さて、以前から非常に楽しみにしていたBMW「i8」に試乗。
既にその姿を幾度か拝見したり、運転の経験はあるものの、よくよく考えてみたら福井県内での「i8」に試乗というのは全くの初めてで、その躍動感たるやマクラーレン「570GT」の試乗以来。

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その特別なスタイリングとカッコよさに加えて、独自の設計方法とパフォーマンスで走りだす「i8」を楽しみたいと思います。


そもそも「i8」って何ぞ?

さて、今回試乗する「i8」に関わる内容について簡単にまとめてみると、BMWには”iブランド”と呼ばれる電気自動車やハイブリッドを主体としたカテゴリに分類されており、斬新ともいえるコンセプトに基づいたデザインとプレミアムモビリティにおける新しい方向性を示したブランドとして設立されました。

その中で現在ラインナップしているモデルがフラッグシップモデルの「i8」とエントリーモデルの「i3」。
これらのモデルの大きく異なるところは、「i3」がガソリンを使用しない100%電気自動車で、「i8」が後方に低排気量エンジン+前輪に電気モータを組合わせた強力なアシスト力を持つハイブリッドモデルとなります。

まずは「i8」の外観を見てみよう

さて、今回試乗する「i8」の外観をチェックしていきましょう。
注目すべきはこの見た目ですね。
これまでのBMWラインナップモデルには無い、”コンセプト”感満載の自由なスタイリングとデザインは、iブランド特有とも言うべき近未来感があります。

BMWというと、ワイド感に加えて低重心なスポーツスタイルといった印象を受けますが、「i8」に関しては前期のスポーツスタイルはもちろんのこと、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンといったスーパースポーツに部類するような、そんな出で立ちにも見えますね。
ちなみに「i8」の主要緒元は以下の通り。

【「i8」主要緒元・マイナーチェンジ前(マイナーチェンジ後)】
全長4,690mm×全幅1,940mm×全高1,300mm
エンジン:排気量1.5L 直列3気筒ターボエンジン(後方)+電気モータ(前輪)
最大出力/最大トルク:362ps(374ps)/570Nm(〃)
駆動方式:四輪駆動・AWD
車体重量:1,500kg(1,590kg)

ボディカラーはソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクトにブルーアクセントを加えたより引締まりのあるツートンデザインとなります。

フロントからチェックしてみよう

フロントヘッドライトは鋭さが際立つ釣り上げ式のハウジングを採用し、LEDデイタイムランニングは、幅広のU字状となるシームレスタイプ。
少々見にくいとは思いますが、今回試乗のモデルはマイナーチェンジ前のため、現行に比べて一部デザインやスペックも異なりますのでご注意を。

BMWのシンボルデザインともいうべきキドニー・グリルはクローズドタイプとなっており、他のモデルラインアップとの差別化を図る意味でデザインされていますが、この引き締まったクローズド・キドニー・グリル周りのフレームとヘッドライト周りのフレームに、大きな凹凸を付けていないところもコンセプトに近い自由なデザインとなっていますね。

こういったフロントボンネットにはV字型の特殊なダクトも設けられていますが、これはキドニーグリルがクローズ化して気流が流れない代わりに、さり気なくフロントエプロン上部にあるダクトからエアを取り込み、その入り込んだエアをフロントボンネットのダクトに流すことで冷却効果と空力特性を改善しているのだと考えられます。

サイドもチェックしてみよう

こちらはサイドからみたデザイン。
フロントフェンダーに搭載される充電プラグに差し込んだ状態での撮影は結構珍しいかと思います。

サイドから見るスタイリングは非常に滑らか。
フロントエンドからフロントボンネット、傾斜を付けたAピラー、リヤハッチにかけてなだらかに下っていくルーフ、しずく形をイメージしたリヤハッチに流れる流線形は一筆書きしたかのような美しさが漂っています。

ボディラインにはウィングも加味され空力特性を向上

こちらがしずく形をイメージしたボディライン。
コンセプトデザインをそのまま採用した独特の形状となっていて、フロントからリヤにかけて絞り込んだボディにすることで、左右から流れる空気を上手く流し車体を安定させることが可能なのだとか。
ただ、しずく形という表現もイマイチわかりにくいので、リヤガラスのサイド部にある複雑怪奇な形状を採用することで、ボディの左右から流れる空気の力で挟むサイドウィング形状というのがイメージしやすいかも。

なお、「i8」の抗力係数は0.26という数値を記録していますが、この係数はトヨタ「プリウス」と全く同じ数値で、トヨタが最適と考える燃費と空力特性の2つの要素を得るためのデザインと、「i8」のデザイン要素で大きく差が表れているところを見ても、BMWが「iブランドを盛り上げていく」ために血のにじむような試行錯誤を繰り返して生み出したデザインであることが伝わってきます。

「i8」に乗ってみよう!

それでは早速、「i8」に乗り込んでいきましょう。
ドアは横開きではなく、BMWが初めて採用した斜め上に開くタイプの”バタフライ・ドア”。
このドア開閉方式は、マクラーレン「F1/P1/マクラーレン・セナ/720S」等や「ラ・フェラーリ」、メルセデスベンツ「SLRマクラーレン」にも採用されている、オープンする際にドアに角度が付けられた方法で、車内への入り込みが容易となります。

ただ、このドア開閉方式というか…「i8」の欠点ともいえるのが、ドアを開ける際に必要な横のスペースが最低でも70センチは必要であるということ。
つまりは、ドアが完全に開き切らない限り、乗降りが出来ないほどに窮屈な作りとなっているのですが、そういった乗降性をかなぐり捨ててでも見た目を重視したところが、BMWの割いきりポイントなのかもしれません。

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ここからは、インテリアと試乗レビューを合わせて記載したいと思います。

バタフライ・ドアを開けて、早速車内へと乗り込んでいきます。

早速乗り込むうえで真っ先に感じたことは、サイドシルが異常に太くて高いということ。
左脚から入り込んでいきますが、姿勢をとにかくかがめておかないと、今度はAピラーに頭が当たってしまうため、こういった点での乗りにくさはスーパースポーツの大きな特徴なのかもしれません。

ただ、こういった不便さも「i8」にとってはスーパースポーツならではのメリットであり、こうした車に乗るためのイニシエーションだということを考えると、乗るものをワクワクさせる要素なのかもしれません。

念のためではありますが、この個体は2シータスポーツモデルかと思いきや、実は2+2シータといった実用性も兼ね備えています。
とはいっても、大人が乗降りできるようなスペースはほとんどなく、小さい子供や荷物を置くためのエマージェンシーシートだと思った方が良さそうです。

ちなみにドアの厚みも”かなり”と言って良いほどですが、こうした部分にもカーボンファイバを上手く取り込んでいるあたりは、スーパースポーツモデルを意識したデザイン性に加えて、軽量化も考えて設計されているため、見るたび「よく考えてるな~」と感じてしまう程。

さて、試乗スタートするまでに非常に前置きが長くなってしまいましたが、早速シートに乗り込んでシートやサイドミラー、インナーミラーを調整してエンジンスタートします。

エンジンスタートは無音。さすがはPHVモデル

エンジンスタートボタンは、センターコンソール下のドライブシフト右上に配置されています。
強くブレーキを踏みながらエンジンスタートスイッチを押してみると、エンジン音は全くと言って良い程に無音。

先ほどまで、「これって、本当にスーパースポーツモデルなの?」と言わんばかりにエコ感を前面に押し出してきますが、軽くアクセルを踏み込んでいくとモータとターボエンジンが合わさり、エンジンに切り替わったときの振動がシートに少しだけ伝わってきます(決して不快感のあるものではない)。

走行中でも隠れた実用性が…

早速ディーラから公道に出るために、少しきつめの段差を乗り越えていくわけですが、「これ、腹下擦らないか?」と少し心配しながら通過するも、よくよく考えてみると「i8」の最低地上高は120mmとそこまで低くなく、スズキ「スイフト・スポーツ」やトヨタ「ヴィッツ」、レクサス「LS」、日産「フェアレディZ」と同じ高さなので、こういった隠れた点での実用性も兼ね備えているところは特筆すべき点だと思います。

さて、実際に段差を乗り越えて公道に走りだすわけですが、足回りの方は全く硬くなく、どちらかというマイルドな印象。
以前試乗した「X2 xDrive20i Msport」が、あまりにも硬すぎるんじゃないか?と言わんばかりのマイルドさで、平坦な道のりを運転しているときのドライブフィーリングは、恐ろしいぐらいに普通の車だと思います。

ただ、この日はあいにくの大雨ということで、そこまでアクセルを踏み込んだ運転はできませんでしたが、アクセルを踏み込んだ時の後方に積まれた直列3気筒ターボエンジンとフロントの前輪に搭載された電動モータによる強力なアシストにより、まるで一瞬ワープでもしたかのような伸びのある加速力を発揮してくれます。

上記の緒元にもありますが、搭載されている直列3気筒ターボエンジンはMINIと共通化しており、モータとのハイブリッドによってパワーを掛け合わせてもシステム総出力は362psとそこまで高い出力値を持っているわけではありません。

それなのに、ここまで軽快且つスムーズな加速を発揮できるのは、車体重量の軽さが効いているからだと思われますね。
しかも、空力を活かしたボディラインが功を奏してなのか、高い速度域に達した状態でも車体は全くブレることはありませんし、「i8」の高い足回りと四輪駆動(AWD)のお陰もあって安心して身を委ねることができます。

この個体に乗って感じることは「周りからの視線」

今回は、基本的にウェットな中で市街地を走っていたので、「i8」本来の足回りや空力特性を生かした部分をチェックすることはできませんでしたが、それ以上に得られたものは「周りからの注目度」。
やはりその特別なスタイリングとスーパーカーチックな美しいラインは、すれ違うドライバたちが必ずと言って良いほどに注目してくれますし、ドライバに優越感を与えてくれるのも、このモデルの特筆すべき点だと思います。

あとは、そのエンジン音。
実際に搭載されているエンジンは直列3気筒ターボエンジンですが、このエンジンを直列6気筒に近いサウンドチューニングが施されており、擬似的にスーパーカー風の”音”を楽しめるようになっています。
実際に自分の耳で確認してみると、直列6気筒というよりかは、V型8気筒エンジンの太いサウンドに近いですが、いずれにしてもこういったスタイルに加えて、エンジンサウンドもスーパーカーチックに仕上げてくるところは、乗るものを満足させる要素の一つだと思われます。

「i8」を試乗してみて

以上より、BMWが新たに生み出したiブランドのフラッグシップモデル「i8」は、環境に配慮したハイブリッドな走りを提供してくれることはもちろんのこと、スーパーカーチックな美しい見た目とバタフライ・ドア、そして軽さを活かした伸びのある加速力はまさに”才色兼備”という言葉が似合う程。
車の乗降りのし難さや、ドア開閉時に必要なスペースといったマイナス要素さえもプラスに変えてしまう「i8」は、BMWが生み出した究極のスーパースポーツモデルではないかと思いますね。

今回試乗したのは福井県唯一のFukui BMWさん

なお、今回「i8」を試乗させていただいた店舗は、いつもお世話になっているFukui BMWさん。
欧州車両を取り扱っているディーラということもあって、「敷居が高い…」というちょっとした先入観はあるかと思いますが、いざ店内に入ってみると皆さんとても心温かい対応をしていただけますし、何よりも笑顔で対応いただけるその姿を見ると、「このお店で買いたい」と思える程。
定期的に大商談会やイベント等も行っており、そういった情報はFacebookにて定期的に更新しているので要チェック。

建物名:Fukui BMW
住所:〒910-0015 福井県福井市二の宮4丁目44−1 あおい商事本社ビル1F
電話番号:0776-27-8320

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