スズキの第一四半期(4月~6月)決算は営業利益27%減に。需要の低迷はもちろん顧客満足度もどんどん低下し、このままでは日産と似たような末路に

2020-05-27

~インド市場でのスズキの営業利益はこれまでになく右肩下がりに~

前回の記事にて、インド市場をメインに販売を手掛けるマルチ・スズキが、2019年6月の売上高が前年比-14%であったことが明らかになったことをご紹介。

その結果、主要モデルとなる「アルト(Alto)/スイフト(Swift)/ワゴンR(Wagon R)」等の大幅値引きを実施したものの、それでも販売台数を伸ばすことができず、結果的にインド・グジャラート州の自動車生産工場にて当初予定されていた生産能力倍増計画が中止となったわけですが、先日新たにマルチ・スズキから4月~6月の第一四半期決算報告として、前年同期比ー27.3%減となっていたことが判明しました。


~排ガス規制によるマイルドハイブリッドモデルの登場とミスマッチした価格帯が大きな原因に~

マルチ・スズキによれば、今回の減益は減価償却費や販売促進費、並びに設備稼働率の低下等が要因であったと述べられており、それに加えてコスト削減や商品価格の下落(先日当ブログでもご紹介した主要モデルの大幅値引き)も影響しているとのことで、今後より一層の需要と供給をマッチさせた商品展開を行っていくと説明しています。

なお、インド市場での自動車販売において、近年より一層厳しくなっている排ガス規制に準拠したスマートマイルドハイブリッドモデルの急速な商品展開は非常にレスポンスが良かったものの、需要の低迷や顧客満足度の低下が浮き彫りになっているとのことで、これについては顧客だけでなくメーカに対しても大きな打撃を与えているとして、今後更なる課題解決に取り組む必要があると言われています。

スマートマイルドハイブリッドは、現在のマルチ・スズキの主要モデル全てに搭載される技術ではありますが、これが予想以上に売れていないとして、その大きな理由がやはり価格帯であるとのこと。

従来の排気量1.0Lガソリンモデルや排気量1.3Lディーゼルモデルに対して、約15万円近くも価格アップしているこのモデル、日本市場であれば、約150万円~200万円程の価格アップ(多分マツダのSKYACTIV-GとSKYACTIV-D、そしてSKYACTIV-Xの例が一番分かり易い例かも…)になるとのことで、しかしだからといって特別な装備があるわけでもなく、ただ単純に価格がアップしただけになっています。

~スズキも日産と同じような末路だけは辿ってほしくない~

もちろん、顧客にとっては大きなメリットが無いままで、マルチ・スズキの商品力アップは必要であるとして、スマートマイルドハイブリッドモデルにしかない技術や専用装備といった顧客ベースで考えなければ、今後の営業利益は確実に右肩下がりになることは確実。

減益の一方通行を辿らないためにも、まずは市場調査といった基本的なところから踏み込んでいかないと、日産のように車両製品に愛情を注ぐことなく、結果的に98%以上減益を迎えるような二の舞になる恐れも十分にあるため、こういったことだけでは絶対避けたいところですね。

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Reference:AUTOCAR_India