ある意味最強のギャップを持った肉食系ホットハッチ。アルファロメオ「MiTo(ミト)」に試乗する

2020-05-26

さて、本日ようやく待ちに待ったアルファロメオのホットハッチモデル「MiTo(ミト)」に試乗。
今回試乗させていただいたのは、白山市(国道8号線沿い)にあるアルファロメオ石川さん。

福井のアルファロメオディーラは、今年の4月1日をもって閉店となったため、今現在北陸2県(石川県・福井県)のアルファロメオを取り扱っているのがコチラのディーラとなりますね。


【外観インプレ】
今回試乗させていただいた個体は、「MiTo(ミト)・スーパー」というグレード。
「ミト」は以前まで、複数のグレードがあり、MT(ミッション)又はAT(オートマチック)の選択が可能だったのですが、今回から1グレード&ATのみとなりました。
価格は329万円からとなり、競合モデルとしては、アウディ「A1」やMINI「クーパー」といったCセグメントモデルが対象となりそうです。

早速外観をチェックしていくと、やはりその愛くるしい表情と丸々しさ、そしてコミカルさという点において、他の車種にはない独特のデザイン性がありますね。
また、アルファロメオのシンボルでもある盾形(▽)グリルの形状に加え、ハニカムグリルとなり、よりスポーティな印象を与えています。

フロントヘッドライトやリヤランプも丸々しさがあります(ちなみにヘッドライトはハロゲン)。
また、車体全体も”コロン”としていて、丸々しくなっていますが、こういったスタイリングは非常に女性ウケが良さそうですね。

ちなみに、「ミト」の丸々しいデザインは、アルファロメオのプレミアムモデルとなる「8C」をモチーフにしたものとも言われており、リヤ等も実は「8C」の意匠を大きく受け継いでいます。
そういう意味では、アルファロメオのスーパースポーツモデル「4C」の次に気合を込めて生み出された自信作となります。

少し話は逸れましたが、ボディカラーは、”ホワイト”カラーで、他のラインナップには”アルファレッド”、”ブラック”、”アルデシア・グレー”が揃えられています。

これは外観の内容ではないのですが、「ミト」はボディカラーに対してシートカラーも自動的に選定されてしまいます。
選定の組合わせは以下の通りとなっています

【ボディカラー】:【シートカラー】
ホワイト:ブラック
アルファレッド:ナチュラル(キャメル系)
ブラック:レッド
アルデシア・グレー:ナチュラル

ホイールも、標準にして非常にオシャレな17インチアルミホイールが装着されています。
ソリッドなマテリアル感を強調した新デザインになっているとのこと。
サイズは、フロント・リヤ共に215/45R17で、レクサス「CT200h F SPORT」の純正ホイールと同サイズ。
また、ブレーキキャリパーもレッドと非常に刺激的であり、こちらも標準となります。

【スペック】
 ・直列4気筒マルチエア 16バルブインタークーラー付ターボ
 ・最高出力:135ps
 ・最大トルク:230Nm
 ・駆動方式:前輪駆動(FF)
 ・トランスミッションはAlfa TCT(6速乾式デュアルクラッチオーマチック)
 ・全長:4,070mm、全幅:1,720mm、全高:1,465mm
 ・最小回転半径:5.5m
 ・燃費:14.6km/L(JC08モード走行燃費消費率)
 ・ガソリン:ハイオク

上記スペックの通り、非常に可愛らしい見た目とは裏腹に、パワートレインは直4ターボを搭載し、最高出力135psを発揮。
おまけにサイズ感としては、意外にも幅広の1,720mmとなっており、マツダ「デミオ」の1,695mmよりも25mm幅広くなっています。
もちろん、これにより取得ナンバーも3ナンバー扱いとなります。

【試乗インプレ】
さて、早速「ミト」のドアを開けてみましょう。
2ドアということもあり、少々長めのドアパネルとなっていますが、意外と軽く開けることができます。
そして、早速車内に乗り込みますが、この辺りはコンパクトホットハッチと言いながらも車内への進入は非常にスムーズ。
車体が極端に低いわけでもないため、無理に姿勢を崩して乗り込む必要性も無さそうですね。

車内に乗り込んだ後は、シートポジションやサイドミラー、ルームミラー位置等の調整を行います。ちなみに、「ミト」のシート調整(高さ、スライド、姿勢)は全て手動式(パワーシートではない)となっています。
エンジンをかける際は、スマートキーではないため、キーを差し込み、ブレーキを強く踏みながらキーを捻ってエンジンを始動します。
エンジンスタート音は、マフラから抜ける大きなサウンドがはっきりと聞こえる程に大きいですね。

センターコンソールにあるサイドブレーキを下げて、シフトレバーを”D”に移動させて早速スタートです。
“D”モードにてアクセル無しでクリープ走行させますが、そこそこ弱めの発進となっています。

ディーラから国道8号線に入るための関門として、早速高めの段差を乗り越えますが、車体剛性が中々に高く、ほとんど揺れがありません。シートも少し柔らか目で、密度感が高くしっかりと体にフィットしている感覚があり、車体からの揺れを最小限に抑えていると思います。

早速国道8号線に入り、アクセルを踏み込んでいきますが、踏み込んだときのサウンドが何ともターボ特有の重低音を奏でます。
加速は中々に良く、踏み込んでからの加速ラグがほとんど無いため、非常にスムーズに周りの流れに合わせることができます。

ステアリングは結構軽めなのですが、この辺りは走行モードによって大きく変化するとのこと。
走行モードは「D.N.A」と略されており、スポーツ走行の「Dynamic(ダイナミック)」、市街地走行の「Normal」、そして雨天時などの滑りやすい路面での安定した走行を確保する「All-weather」の3種類のモードが準備されています。
※今回は非常に天候も良かったため、「All-weather」モードでの走行は行っておりません。

先ほどの国道8号線での走行は「Normal」モードだったので、早速マイナーロードに入り、ストレートの長い道を「Dynamic」モードにて加速していきます。
「Dynamic」モードにすると、加速性能やステアリング、足回りが変化するのですが、加速音が豹変。
先ほどまで大人し目だった直4ターボエンジンが、まるでスポーツカーの如く雄叫びを上げ、シートに張り付けるような加速力を発揮します。
更にはステアリングも少し重くなり、足回りも若干固めになりますね。
ある程度の高速領域に入っても、車体が丸く空気抵抗を抑え、車体の重心が低いことから、車の安定性は非常に高く、車内での静粛性も高いため、乗っていても苦にならないところは大きなポイントと言えますね。

ちなみに、この個体にはステアリング後ろにパドルシフトがあるので、そちらで「Dynamic」モードにしながらシフトチェンジを行っていきましょう。
信号待ちの停車状態から、1速のままで一気に加速していき回転数を上げていきます。
高回転ゾーンに入ったときのエンジンサウンドは、とにかく”獣”のようで、「草食系の見た目なのに、見た目は完全に肉食系?!」と驚いてしまう程。
もちろんある程度加速した状態から、パドルシフトに減速すると、減速時のブリッピング音は何とも言えないスポーティなサウンドであり、エンブレもかなり強め。
完全にスーパースポーツカーのような特性を持っていて、だからといって荒々しさが無く走っていてとにかく楽しいわけです。

また、少しきつめのコーナーに差し掛かったときも、減速並びに低重心なスタイリングの影響もあって、スムーズに侵入できるため、この辺りはホットハッチならではの安定した走行性を持ちつつ、男らしく攻め立てる肉食系でもあります。

ちなみに、試乗中の後方視界といった視認性においては、恐らくどのコンパクトハッチと変わらないところだと思いますが、サイドミラーが思いのほか大きく、非常に確認しやすくなっていて、さり気ない工夫が施されているようにも思えました。

【総括】
以上より、アルファロメオ「MiTo(ミト)」は、その愛くるしくも草食度の高いデザインでありながら、実は走行性能においてかなり計算されたものであり、プレミアムモデル「8C」の血を受継ぎ、エンジン性能や加速力、コーナリング全てにおいてスポーツカーを意識したまさしく男前の肉食系ホットハッチと言えると思います。

最後に、実は試乗車の確保がかなり難しい「MiTO(ミト)」を、本日のためにわざわざ手配していただけたアルファロメオ石川さん、担当者様には感謝致します。

これまでの試乗記録はコチラにてまとめております。