カメラの精度が高過ぎるのも問題?中華SUVのL9が看板の車両を誤検知して緊急ブレーキ作動→追突事故にまで発展!「中国車をイタリア車」と偽って販売したメーカーに1億円の罰金

そういえば日本では、高速道路や一般道の頭上に車両の看板を設置していないような…

現代の新車・新型車において、必ずと言って良いほどに標準装備されている緊急ブレーキシステム。

安全装備の義務化に伴い、車両本体価格が高騰する要因の一つでもありますが、今回、この緊急ブレーキシステムが「とある理由」で誤作動を起こすというトラブルが発生しました。

それは日本ではなく、中国の高速道路にて発生したものですが、どうやら高速道路の頭上に設置された「看板の車両」を、前方車両と誤って認識してしまい、それによって自動緊急ブレーキを作動してしまったようです。


高速道路の巨大看板にある車両を「前方車両」と誤検知 → 緊急ブレーキ → 追突被害に

こちらが、実際に中国の高速道路にて誤検知して緊急ブレーキが作動した瞬間の画像(SNS Xにて動画も公開中)。

上の画像の赤丸にあるように、デカデカと車両が掲載された看板があり、その車両が「前方車両」と誤って認識してしまい、そのまま緊急ブレーキを作動したそうです。

ちなみに、このとき高速道路にて走らせていたのはLi Auto(理想汽車)の新型L9と呼ばれるSUVモデルで、本モデルに搭載される高精度カメラが要因なのではないか?とのこと。

Li Auto L9には、レーダーや超音波センサー、カメラ、フロントガラスのすぐ上に取り付けられた先進的なLIDARなど、運転支援システムのフル機能が搭載されています。

ハードウェアはすべて揃っていますが、中国自動車メーカーのエンジニアは、広告と実際の車両を正確に区別するためにソフトウェアを改良するのに苦労しているとのこと。

ただよくよく考えてみると、日本では中国のように高速道路の頭上に「車両が掲載された看板」を設置しているのを見たことがないですし、もしかするとこうした誤作動が起きることを想定して、敢えて設置していないのかもしれません(もしくは、私がそういった看板を見落としているだけかもしれませんが…)。

なおL9のドライバーによると、本モデルが看板を検知した後、自動緊急ブレーキ(AEB)システムが作動 → 急ブレーキがかかり、時速77km/hから停止したと説明。

安全装備の誤作動による事故が一番の恐怖

ドライバーは、中国のG70高速道路脇のガードレールに衝突するのをかろうじて避けたそうですが、本モデルは別の車に追突される事故に発展 → 損傷はそれほど大きくなく、バンパーとテールゲートを交換するだけの修理になるそうですが、意図しない安全機能の誤作動による事故が、ある意味で一番の恐怖ではないかと思います。

このような「幻のブレーキ」現象(別名:ファントムブレーキ)は、半自動運転支援システムを搭載した車では珍しくないそうですが、看板の車両を誤検知した例は今回が初めて。

報道によると、L9のドライバーはLi Autoに対し、この事故について2万元(日本円に換算して約44万円)の損害賠償を請求したとのこと。

Li Autoは早急にプログラムの改善へ

なお中国メディア・The Autopianの報道によると、Li Autoは中国メディアに声明を発表し、オーナーに現金4,000元(日本円に換算して約8.8万円)を支払うことを提案しましたが、合意には至っていないと伝えられています。

またLi Autoは「システムが広告画像を誤って車両と認識した」ことを認め、「ソフトウェアシステムを改善する」と説明しています。

ちなみに日本だと、主にホンダの車両で頻繁的に発生するのですが、「天下一品」のラーメン屋さんの看板を「進入禁止」と誤認識したり、100円寿しの看板を「速度制限100km/h」と誤認識することがあります。

今回の中国での例も、その類に近いものだと予想しますが、改めて思うのは「安全装備は決して完璧なものではなく、依存した運転をすると事故の原因につながる」ため、ドライバー自身の判断で運転することが重要であることが再確認できたと思います。

1ページ目:DRオートモービルズが、「中国車をイタリア車」と偽って販売し、政府から約1億円の罰金が命じられる?!