ブガッティは車の塗装に最低「600時間以上」費やしていた!ブガッティCEO「私たちの塗装工程は”愛の労働”であり、急ぐ必要などないのだ」

こうした工程を見ると、ブガッティが1台製造するためにかかる時間やコストは計り知れず、総額4億円以上になるのも納得

ブガッティが世界限定500台のみ販売したハイパフォーマンスハイパーカー・シロン(Bugatti Chiron)。

本モデルをベースにした軽量モデルのシロンスポーツ(Chiron Sport)や、世界限定60台のみとなるハードコアモデルのシロンピュールスポール(Chiron Pur Sport)などがありますが、こうしたブガッティのラインナップモデルは、全てオーナーが拘りぬいたリクエストに基づいて製造されたフルオーダーメイドになります。

そのため、乗り出し価格で4億円~6億円が当たり前の世界となっていますが、そのなかで今回ブガッティ公式が紹介するのは「塗装工程」。

何とブガッティの製品にかかる塗装時間は「最低でも600時間以上」であることが明らかになっています。


ブガッティの塗装工程は全てエンジニア・職人による手作業

各自動車メーカーが車を製造するなかで、組立から塗装などはロボットが生産を最適化し、生産コストを削減する方法に取り組んでいますが、ブガッティの場合はロボットを活用せず、そのほとんどが手作業で行われています。

光岡自動車なども既存モデルからオリジナルの内外装に仕上げる(コンバートする)ためにハンドメイドにて行われますが、ブガッティの場合はエンジンの組立から足回りの組立なども全て手作業というのも驚き。

そして、ブガッティの製造工程で最もエキゾチックで高級なものの1つであり、ブガッティの真のエンジニアリング・クラフトマンシップの例として挙げられるのが塗装工程。

ブガッティは作業効率を求めず、1台を製造するために時間や労力は惜しまない

ブガッティ・モルスハイム工場にて組立てられた各車の塗装には、最低でも「600時間以上」かかるといわれており、上述にもある通り塗装工程のすべてが手作業で行われています。

このプロセスについてブガッティは、「600時間という数字だけを大局的に見ると主流のメーカーではないことは一目瞭然で、従来の高級車メーカーが4台または5台の車を製造するのと同じぐらい時間である」と述べています

新しいブガッティ車の各コンポーネントは個別に塗装されており、車自体に取り付けられていないため、すべての表面が可能な限り最高の仕上げを受けることができると説明していて、本来こういった生産は、月で数千台~数万台規模を生産する自動車メーカーでは通常行わないこと。

塗装前の下準備だけで最低100時間以上かける

そしてブガッティが公開しているプレスリリース用の映像などを見ていくと、塗料やクリアコート、プライマーの最初の層を適用する前に、さらに多くの作業を行う必要があるわけですが、その前に職人やエンジニアが行う最初の段階として「非常に小さな穴」を徹底的に検査することから始まります。

このプロセスには、機械やロボットは一切関与せず、欠陥に対する自然な目とスペシャリストの手の繊細なタッチだけで行われるとのことですが、その作業だけで100時間(4.2日)以上数日かかることもあるようです。

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