日産がヘッドレストの種類削減で約2,500億円のコストカット?品質を犠牲にしない「コスト削減案」を公開するも、品質低下と寿命低下の懸念
日産は大幅なコスト削減のため、様々な案を準備しているようだ
日産は不要なコストを大幅に削減するため、リストラだけでなく毎年開催される定番イベント「NISMO Festival」も中止し大きな話題となりました。
今後も更なるコストカットなどが見込まれる日産ですが、現時点では確定事項ではないものの、今後採用されるかもしれない「廃止となる技術」がいくつかピックアップされています。
具体的にどういったモノ・技術が廃止となり得るのか、早速チェックしていきましょう。
日産は大きく5つのコスト削減に注力していく

日産救済計画の一環として、イヴァン・エスピノーサ CEOは、17億ドル(日本円に換算して約2,500億円)の変動費削減を推進しています。
その中でも日産は、以下の5つ項目をメインにコスト削減に注力していく考えを示しています。
[変動費の削減]
日産は本計画を通じて、2,500億円の変動費の削減を目指します。
エンジニアリングとコスト効率を向上させ、厳格なガバナンスで本取り組みを推進します。TdCトランスフォーメーションチーフの下に各部門から集められた約300人のエキスパートで構成するTdC改革オフィスを設置し、コストに関する意思決定を行います。
さらに、先行開発や2026年度以降の商品の開発を一時的に停止して、3,000人の従業員がコスト削減活動に集中的に取り組みます。
日産は本取り組みを行いますが、開発期間を短縮するプロセスを迅速に適用することで、商品の市場投入を遅らせることはありません。
また、日産はサプライヤーパネルを再構築し、より少数のサプライヤーでより多くの量を確保します。さらに非効率さを排除し、従来の基準を見直していきます。
[固定費の削減]
日産は変動費の削減に強力に取り組みながら、固定費を削減する機会も追求し、2026年度までに2024年度実績比で2,500億円の削減を目指します。
[生産の再編と効率化]
車両生産工場を2027年度までに17から10の工場に統合します。
パワートレイン工場についても見直しを行い、配置転換や生産シフトの調整に加え、設備投資も削減します。
北九州市におけるLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリー新工場の建設中止も本取り組みの一部です。
[人員の削減]
2024年度から2027年度にかけて計20,000人の人員削減を行います(発表済の9,000人の削減を含む)。
この対象には、グローバルに生産部門、一般管理部門、R&D部門の直接員、間接員、及び契約社員も含まれます。
販売費と一般管理費においても、シェアードサービスの範囲を拡大し、マーケティングの効率向上を推進します。
[開発の刷新]
エンジニアリングコストの削減や開発スピードの向上を図るため、開発のプロセスを刷新します。グローバルでR&Dのリソースの合理化を通じて、平均の労務費単価を20%削減することを目指します。
部品種類を70%削減するとともに、プラットフォームの統合と最適化を進め、プラットフォームの数を2035年度までに現在の13から7に減少させます。
また、日産はリードモデルの開発期間を37ヶ月、後続モデルの開発期間を30ヶ月へと大幅に短縮する取り組みを進めていますが、本取り組みで開発される車種には、新型日産スカイライン、新型日産グローバルC SUV、新型インフィニティコンパクトSUVが含まれます。
以上の通り、日産の経営再建計画である「Re:Nissan」を通じて、2024年度の実績比で、固定費と変動費を計5,000億円削減し、2026年度までに自動車事業における営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化を目指しています。
「コストの帝王」と呼ばれる富田達三 氏が、日産の今後に託されている

この計画のカギを握るのは、「コストの帝王」と呼ばれている日産TdCトランスフォーメーションの富田達三 氏で、海外カーメディアAutomotive Newsからの取材に対し、今後のコスト低減や技術の廃止などについて回答しています。
ちなみに、富田氏の学歴や職歴は以下の通り。
[学歴]
1996年3月・・・東京大学大学院 航空宇宙工学修士課程 修了
[職歴]
1996年4月・・・三菱自動車工業株式会社 入社
2004年10月・・・日産自動車株式会社 入社
2011年4月・・・インフィニティ 製品開発本部 主担
2016年10月・・・第一製品開発本部 主管/プラットフォーム開発 主管
2018年4月・・・第一製品開発本部 第一製品開発部 セグメントCVE
2022年4月・・・第一製品開発本部 第一製品開発部 セグメントCVE/アライアンスプラットフォーム リーダー
2023年11月・・・第二製品開発本部 第二製品開発部 セグメントCVE/セグメントプラットフォーム リーダー
2024年4月・・・同社 常務執行役員 第二製品開発本部 担当
2025年4月・・・同社 TdC トランスフォーメーション チーフ(現職)、TdC トランスフォーメーション、車両計画・車両要素技術開発本部 担当、株式会社NMKV 代表取締役社長兼最高経営責任者(現職)2025年4月現在
富田氏は、数ヶ月にわたって従業員やサプライヤーから、品質を維持しながらもコストを削減するためのアイデアを募り、その画期的な成果の一つが「ヘッドレストの種類の廃止」であることを明らかにしました。
コスト削減案➀:ヘッドレストの種類の廃止

富田氏は、日産製品のヘッドレストの種類を減らすことで、コスト削減につながる可能性があることを述べていて、同氏によると、ヘッドレスト部品のサプライヤーは、テニスコート2面分の広さの倉庫に部品を保管しているとのこと。
作業員は、部品の選別作業で「1日に最大3万歩も歩く」ために、この規模と異常な歩数を歩くこと自体が無駄だと考え、約半分に減らすことでコストも大幅に改善できると語りました。

富田氏 は、「今は行動を起こすことが大事です。実行に移しています。それぞれの商品の収益性を向上させなければ、持続可能な事業は成り立ちません」とコメント。
現在、富田 氏の机上には「合計4,000件ものコスト削減案」があるそうで、そのうち1,600件は、同氏とチームが実行可能と判断。
日産は2025年末までにその一部を実施し始め、2027年3月31日までに17億ドル(約2,500億円)の削減を目指しています。
