【マツダの苦悩】RX-7の後継モデル・アイコニックSPの市販化を阻む「2つの壁」とは?実はホンダ次期S2000も「同じ問題」で悩まされていた

ホンダの次期S2000に続き、マツダもRX-7の後継を市販化するには、様々な問題があるようだ

前回のブログにて、ホンダのチーフエンジニアが「次期S2000の復活は諦めていないが、開発コストなどの問題から、様々な障壁がある」ために、後輪駆動[RWD]のスポーツカー市販化への道のりは険しいことをお伝えしました。

その一方でマツダは、RX-7の実質的な後継モデルとなるであろうアイコニックSP (Mazda ICONIC SP)の市販化に向けて、着々と開発が進められていることが報道されていましたが、どうやらこのモデルも、様々な問題により市販化が厳しくなっているようです。

具体的にどのような問題に直面しているのか?海外カーメディアがマツダ幹部に取材しました。


RX-7の後継モデルは、誰もが待ち望んでいるが、果たしてどのような問題に直面している?

こちらが、マツダが2023年開催のジャパンモビリティショーにて出展した、次期RX-9を想起するアイコニックSP。

スマート且つスポーティな2ドアスポーツクーペをベースにしつつ、ドア開閉はマクラーレンなどに採用されているバタフライドアで特別感を演出。

ヘッドライトも、まるでフェラーリ・デイトナSP3 (Ferrari Daytona SP3)を彷彿させるようなリトラクタブルヘッドライトを採用し、まさにRX-7を現代的な解釈でアップデートしたレトロフューチャーモデル。

RX-7の実質的な後継モデルとしてデビューすることを期待しているマツダファンからすると、アイコニックSPは魅力的な一台かと思われ、この期待に応えるべく、マツダ幹部やエンジニアたちも、希望をつなぎとめようと開発に熱心に取り組んできました。

しかしながら、海外カーメディアAutocarの報道によると、マツダのコンセプトカーから現実なモデルへの道のりは簡単ではなく、ファンが望むほどスムーズではないことが明らかになっています。

2024年後半、マツダのデザインチーフである中山雅 氏は、アイコニックSPは「市販モデルにすることを真剣に考え設計された」と述べ、同社CEOの毛籠勝弘 氏もこの目標に賛同し「私たちはまだ実現にこだわっています」と述べました。

こうしたマツダから期待できるコメントがありながらも、最高技術責任者の梅下隆一 氏は、Autocarからのインタビューに対して、「アイコニックSPは、マツダの財産でもあるRX-7の良い後継車」と呼んでいるものの、「プロジェクトにはまだ健全な事業計画が必要だ」と認めたそうです。

梅下 氏「RX-7の後継実現が難しいのは、財政的な問題」

何とも気になる内容ではありますが、Autocarが梅下 氏にインタビューを続けると、次期RXの開発状況について、いくつか判明したことが。

梅下 氏は、「個人的な答えを言わせてください。これは私の夢の車です。実現させたいと思っています。技術的には可能だと信じています。唯一の問題は財政的な問題です」と語ったそうです。

マツダは2025年初め、電動化のための予算計画を5,000億円削減しました。

同社は、電気自動車(EV)やハイブリッド(HEV)車、内燃機関を融合させた「マルチソリューション」戦略を推進しており、電気自動車に全面的に依存しているわけではないことを明らかしています。

次世代パワートレインの開発により、マツダのリソースはひっ迫

EV専用プラットフォーム、新しいハイブリッドシステム、そして近日発売予定となっている次世代エンジンのSKYACTIV-Zの開発により、マツダのリソースはすでにひっ迫しています。

そのことを考えると、次世代スポーツカーは支出リストのトップに入れることは極めて難しく、潤沢な資金や利益を獲得する上で、現時点でマツダがニッチな市場向けともいえる次世代RXを開発・市販化することは非現実的なようです。

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