三菱3000GT (GTO)の事故で驚愕の1,500億円賠償請求! 原因はまさかの「車高の低さ」。スポーツカーが絶滅しかねない「理不尽な訴訟」の行方
今回の三菱の裁判は、結果次第で今後のスポーツカーの未来を大きく左右するかもしれない
三菱が1990年~2001年に製造・販売した2ドアスポーツクーペ・GTO/3000GT。
前輪駆動[FF]をベースにしつつ、四輪駆動[4WD]も設定していた万能クーペですが、それ以降は三菱から2ドアスポーツクーペは登場していません。
そんなGTO/3000GTの安全システムや構造、設計が不当だとして、一般ユーザーが三菱に対して訴訟を起こし、何とこの裁判が始まってから10年近くが経過しています。
一体どのような訴訟問題へと発展し、三菱はどれほどの賠償額を請求されているのか見ていきましょう。
賠償額は10億ドル、つまり日本円で約1,580億円

まずは訴訟問題の背景から見てきましょう。
これは、2017年11月にアメリカ・ペンシルベニア州にて、フランシス・アマガス氏 (アマガス氏)という人物が、1992年式の三菱3000GT/GTOを運転していた際に起きた事故から始まりました。
3000GTにて、他の車を追い越そうとした際にコントロールを失ってしまい、同車は横転する前に複数の木に激突。
衝突時にアマガス氏の頭部は、車のルーフに衝突し、その後は四肢麻痺となりました。
事故から1年後、遺族は三菱自動車を相手取り、「車の欠陥」を理由に訴訟を起こしました。
具体的な欠陥内容としては、「シートベルトに欠陥があること」、そして「車の屋根が低すぎたこと(車高が低い)」が負傷の一因になったと主張しています。

おそらくこの記事を読まれている方の多くは、「いやいや、勝手に追越しを仕掛けた3000GTのドライバーに問題があるんじゃないの?」「自業自得」と考える方も多いのではないかと思います。
ただ、今回争点となっているのは、あくまでも事故の影響でドライバーが大きくケガしたことによる「車両構造の欠陥、設計問題、車高の低さ」が指摘されており、「シートベルトの構造であったり、ルーフがもう少し高ければ、四肢麻痺になる危険性は避けられたのではないか?」という見立てなんですね。
ただその一方で、「クーペは、車高もしくはルーフが低いからこそクーペであって…」と考える方も多いでしょうし、そう考えると「やはりドライバーの運転技術であったり、追越ししたことが問題だったんじゃないの?車のせいにするのはお門違いでしょ!」と行きつく方が多いのではないかと思われます。
シートベルト構造で指摘されているのは「シートベルトガイド」のこと?

少し話は脱線してしまいましたが、この訴訟において、アマガス氏の弁護士は、「ベルトの”リップステッチ”構造が、減速力を抑えるために破れることで負傷を引き起こした」と主張していて、「破れた」と主張するベルトは約101mm長く、車内で乗員が跳ねやすくなったとされています。
ちなみに、リップステッチ構造に調べてみたところ、そのような器具や構造に関する情報はなく、おそらくですが2ドアクーペに採用されている「シートベルトガイド」ではないか?と推測(※)。
※あくまでも私の勝手な推測なので誤っている恐れもあるので注意

ちなみにシートベルトガイドは、上の画像の赤丸にあるところで、主にシートベルトの肩部分に装着する補助具として活用されます。
シートベルトが、体やシートに擦れて傷つくのを防ぎ(保護し)、降車時にベルトが奥まで巻き込まれるのを防いで、次回の使用をスムーズにするための利便性向上を目的とした役割があります。
特にスポーツシート(レカロシート、ブリッドシートなど)に交換した際、純正にはあるガイドがなくなることで生じる問題を解決するアイテムとして人気があるわけですが、おそらくはこのシートベルトガイドの欠陥が、事故時のドライバーの損傷具合に大きく影響したのではないか?と主張しているんですね。
確かに、シートベルトガイドの使用方法や車両構造によっては、シートベルトの損傷や乗員の安全に影響する可能性はあるものの、そうなると乗員はシートベルトガイドを適切に使用していたのかどうか?といったところの証明も必要になると思うんですね(あくまでもシートベルトガイドを主体にした争点であればの話ですが…)。
三菱側は「車両の欠陥」については否定しているが…

一方の三菱は、「車に欠陥はなく、業界および政府のすべての基準を満たしている」と主張。
しかし陪審は、アマガス氏の主張を支持し、懲罰的損害賠償8億ドルを含む、驚異的な1,009,969,395.32ドルの支払いを命じたとのこと。
つまり、約10.1億ドル(日本円に換算して約1,580億円)の支払いを命じたわけですが、当然のことながら三菱は納得することなく控訴しています。