フェラーリ812スーパーファストに試乗!ウェットな路面でも安定したFRグランドツーリング…優雅な走りと牙をむくじゃじゃ馬な走りは唯一無二
雨の日のフェラーリを堪能できることは、自分の人生においてそうそう無いだろう
もちろん、そのような意に反した運転は、たとえ自分のものであれ、相手のものであれできませんが、そういった意図が無くとも簡単にホイールスピンしてしまうのもフェラーリ812スーパーファストの大きな特徴であるところ。
っというのも、812スーパーファストは排気量6.5L V型12気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力800ps/最大トルク720Nmという圧倒的なパワーを確保しているから。
電子制御がほぼ採用されていない旧世代フェラーリに比べたら圧倒的に乗りやすいスーパーカーではあるものの、だからと言ってスペックや旋回性、加速レスポンス、ボディスタイル、空力特性、価格帯においては一般車とはかけ離れた位置にあるため、余裕ぶっこいて走らせたら地獄を見ることは確かですから、そういった様々な想像をさせてくれるのも812スーパーファストらしさ/フェラーリらしさなのかも。
ある意味フェラーリを走らせるのは自分との闘いかもしれない
ある程度周りの流れに合わせつつ、スピードも少しずつ乗ってきた812スーパーファストの走りは極上で、それこそメルセデスAMGなどのハイパフォーマンスモデルに近い走り心地ですし、V型8気筒ミドシップモデルとは違う、安定して優雅な走りを提供してくれる一台であることを再確認。
オートモードでシフト変換せずに7速をキープした静かな走りも可能ですし、一般道であればマニュアルモードで1速~2速をキープしつつ、排気量6.5L V型12気筒自然吸気エンジンの咆哮を堪能しながら走ることもできるため、この辺りの使い分けができるのは何とも贅沢なこと。
ただその一方で、「いつスリップしてもおかしくない」という不安や恐怖心は常にあるため、体のどこかでは常に力んでしまっていますし、「こんなに官能的なサウンドなんだぜ…もっと踏みたいのは当然だろ?」という気持ちはありながらも、それをしっかり抑制して悶々と走らせるのもウェットだからこそなのかも?
気が付けば812スーパーファストの試乗は終わっていた
ただ気が付くと、いつの間にか自分が走ろうと考えていた試乗コースは終了し、時間はあっという間に。
おそらく体のどこかで、ロードノイズやシートに伝わる振動、ボディ剛性などは体感していたと思うのですが、それ以上に恐怖に打ち勝つ精神や、何とかフラッグシップフェラーリを操作しているという満足感・安心感・幸福感もあり、そういった意味ではフェラーリは簡単にインプレッションできるものではないことを改めて実感した次第です。
とはいえ、このような貴重な機会を作っていただけた友人には心より感謝したく、雨の日でも何の躊躇もなく走らせてくれる器の大きさにも驚かされるばかりです。