アメリカの輸入車関税25%に対してトヨタ「当面は原価低減で対応し値上げはしない」とコメント→下請けいじめが激化し共倒れしないかが心配だ

トヨタとしては、できる限り値上げしない方向で考えているようだが

2025年4月3日より発効予定となっている、輸入車に対して25%の関税が課せられるアメリカ。

これに対してアメリカ外の自動車メーカーを中心に対応が迫られていますが、トヨタは2025年3月27日、「追加関税が課された場合の対応について」問われ、自社の考えを明らかにしました。

様々なメーカーが「値上げ」で対応するだろうと予想されるなか、トヨタとしては「アメリカでの販売価格を値上げすることはせず、当面は原価の低減に取り組みたい」との考えを示しているとのこと。


下請け企業のダメージが大きくなると予想され、より一層の原価低減が求められる

国内メディアNHKの報道によると、トヨタ幹部に取材したところ「顧客の所得層や家族構成によって、購入したい車種や価格帯は異なると考えている。トヨタはどのユーザーに対し、どれぐらいの価格帯の車を届けたいのかという考えで商品を作るため、関税がかかるからといってすぐに販売価格を変える(値上げする)という発想はない」と述べています。

そのうえでトヨタとしては、「まずは原価をどのように低減できるのかを考える必要がある。但し、輸入車関税が25%も課せられると原価低減(企業努力)にも限界があるため、別の方法も考えていかなければならない」としていますが、今回の問題で大きくダメージを受けるのは下請け企業。

下請け叩き・下請けいじめが激化するのでは?といった懸念も

つまり、トヨタ車両を組立していく上で重要となる各種パーツ類を製造する下請け企業に対し、「企業努力」と言いながらもどこまで値下げを要求していくるかがポイントになっていて、「値下げに対応できないのであれば、他の下請けに頼るまで」と簡単に切り捨てられないかが心配。

いわゆる、下請け叩きもしくは下請けいじめが激化してしまい、トヨタの要求に対応できないまま共倒れしてしまうのでは?といった問題も考えられるため、トヨタ側としても厳しい考えを迫られているのではないかと思うんですね。

もちろん、消費者側からすれば「車両本体価格が値上げしない」ことはラッキーに思えることですが、一方で下請けなどの企業側からすれば「利益が少なくなり、会社として継続することは困難」となれば本末転倒ですから、トヨタがコメントする「別の方法とは何なのか?」についても注目が集まる所だと思います。

なおトヨタは、2024年の1年間での国内生産は312万台を生産しており、そのうちの約53万台がアメリカへと輸出されているため、いわばアメリカ市場は巨大マーケットの一つ。

これに対して自動車関税25%が課されるということは、現地での売り上げ低迷にも繋がったり、更には生産・輸出台数を減らすなどの様々なネガティブ要因が増える恐れも。

ただトヨタとしても「これまでアメリカでも現地企業の一員として顧客のニーズに対応してきた。引き続きアメリカの状況を注視していきたい」と語ってはいますが…

「車を販売していく」なかで、トヨタや下請けのスタッフ、そしてそれらの家族の生活のことも考えていかなければならないため、何が最善なのか?この点は経営側の手腕が試されるところだと思います。

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