米トランプ関税25%による影響で三菱がアメリカへの出荷停止を発表。三菱は「一時的な輸入停止は問題ない」と語るも、ディーラーは「死活問題で組織崩壊を引き起こす」恐れ?
米ドナルド・トランプ大統領が就任してから、相変わらず世界的な混乱が続いている
2025年4月より発効されるも、同月中旬より見直しが検討されているアメリカの自動車関税25%。
現在、様々な自動車メーカーが値上げ・値下げによる価格改定が行われたり、一方でイギリスの自動車メーカーであるロータスは、一部車種の出荷を停止する上に従業員を解雇するなどの動きが見られています。
そして今回、日本の自動車メーカーである三菱自動車が、アメリカディーラーへの車両出荷を一時的に停止することを発表。
この動きは、政策の急激な変化が自動車メーカーの物流と在庫計画に大きな混乱をもたらすことから、三菱としても止めざるを得ないと判断したのだと考えられます。
アメリカの三菱ディーラー330店舗に対して、一時的に輸入停止するも「問題はない」と判断
三菱のアメリカ向けラインナップは、すべて輸入車として構成されているため、各モデルに25%の追加関税が課せられることに。
同社はアメリカへの輸出は継続しているものの、少なくとも自動車関税25%が発表されて以降は、こうした追加コストを回避するため、アメリカに三菱ディーラー330店舗への納入を一時的に停止しているとのこと。
三菱のアメリカ法人で広報・イベント担当を務めるシニアディレクターのジェレミー・バーンズ氏によると、「アメリカ政府が関税に関する次の措置を発表するまで、車両はアメリカの港湾に停泊したままになる」と説明。
また同氏は、日経アジア通信に対して「輸送停止にもかかわらず、需要に応え続けるのに十分な在庫がある」とも語っていることから、あくまでも現時点では、出荷停止による致命的な影響を受けることはないとも語っています。
三菱の在庫車両の確保期間は「79日」で、他メーカーの平均に比べて長い
なお、コックス・オートモーティブのデータによると、三菱は2025年4月初旬時点でアメリカで79日分の車両在庫を確保しており、これは業界平均の70日を大きく上回っていることが判明。
今のところ、三菱はディーラー在庫が底をつく前に関税政策が変更される可能性に期待していて、一方でアメリカ向けの価格変更は発表されていません。
ちなみに三菱だけでなく、他の自動車メーカーも同様の措置を講じています。
アストンマーティンやアウディ、ロータス、ジャガー・ランドローバーのいずれもアメリカへの車両輸入を一時停止。
日産はメキシコ製のインフィニティQX50/QX55の受注を停止し、ボルボはS90セダンの製造を中止すると報じられていますが、このままトランプ大統領のビジネス目線での政治活動によって振り回される期間が長ければ長いほど、各自動車メーカーの生き残りが厳しくなるため、早期的にアメリカも決断を下さなければならないところだと思います。