フルモデルチェンジ版・日産の新型エルグランド (E53)のエンジン型式が「ZR15DDTe」であることが判明!更にエンジンの加工方法に関する新技術も公開

日産が少しずつ新型エルグランド (E53)に関する情報を公開!

2025年8月26日、日産の公式プレスリリースにて、2007年より18年間製造されてきたGT-R R35の生産が終了したと発表され大きな話題となりました。

2025年の日産は、様々な新車・新型車が登場する重要な一年でもありますが、こうしたなか、遂にフルモデルチェンジ版・新型エルグランド (Nissan New Elgrand, E53)にも搭載されるエンジンの型式に加え、エンジンの一部加工技術に関する情報が展開されています。

なお日産公式は、このエンジンが第三世代e-POWER向けの発電特化型エンジンとして採用されることも明らかにしています。


E53型エルグランドに搭載されるエンジン型式は「ZR15DDTe」

2025年8月27日、日産公式が公開したのが、こちらのエンジンのシリンダーヘッド。

第3世代e-POWER向けの発電特化型エンジンとなる排気量1.5Lターボエンジン「ZR15DDTe」に、自動車用エンジンとして世界初となるコールドスプレー工法を用いたバルブシートを採用したと発表しました。

ちなみに、現行エクストレイル e-POWER (New X-Trail e-POWER, T33)に搭載される排気量1.5L 直列3気筒VCターボエンジンの型式は「KR15DDT」なので、今回の新開発エンジンとは全く異なる型式であることがわかりますね。

コールドスプレーとは、粉末材料を超音速で吹き付けて被膜を形成する技術で、2000年代から航空・宇宙産業や重工業などを中心に発展し、表面改質以外にもAdditive Manufacturing(材料を層ごとに積み重ねて物を作る製造方法)などに応用され、近年注目を集めている技術です。

ちなみにシリーズハイブリッド技術のe-POWERは、日産独自の電動パワートレインであり、エンジンを発電専用とし、駆動はすべて電気モーターのみで行うシステム。

電気モーターのみで駆動するため、力強くレスポンスの良い加速と高い静粛性が特徴で、複雑な機構を必要とする他のハイブリッドと比較しても、より滑らかでEVのような運転体験を提供する技術です。

日産は、2016年のe-POWER市場投入以降、その性能を進化させてきて、2025年7月にイギリス・サンダーランド工場で生産を開始したキャシュカイは、5つの主要コンポーネントを一体化した5-in-1電動パワートレイン(第3世代)と、発電に特化した専用の新開発1.5Lターボエンジンを組み合わせ、燃費と静粛性を大幅に向上させています。

ZR15DDTeは、熱効率を42%も向上

なお、新開発の発電特化型エンジン「ZR15DDTe」は、STARC(※)コンセプトと呼ぶ日産独自の燃焼技術により、「42%」という高い熱効率を達成。

※STARC(Strong Tumble & Appropriately stretched Robust ignition Channel)とは、日産が2021年に発表した高い熱効率を実現する燃焼コンセプト

STARCコンセプトを実現するためには、吸気ポートから燃焼室へ入る空気流の乱れを極限まで抑え、強いタンブル流を形成することが重要となっています。

一般的なエンジンの吸気ポートは、焼結材で作られたバルブシートを圧入する構造のため形状に制約があり、タンブル流の形成に理想的な形状にすることは困難でした。

今回、日産が開発したコールドスプレー工法を用いたバルブシートは、シリンダーヘッドの表面に被膜を形成するもので、別体のバルブシートが不要となり、理想の吸気ポート形状を実現しています。

この新しい工法は、アルミ合金製シリンダーヘッドの表面に異種の金属粉末を超音速で吹き付けることで強固な被膜を形成。

材料の融点以下で施工するコールドスプレー技術は、材料を溶融することなく異種材を接合できるため、通常の溶融接合で課題となる被膜と基材の界面での金属間化合物の過剰生成や基材が溶融することで発生する微小な空洞形成(ポロシティ)といった現象を抑え、類似工法に比べ高い熱伝導率でバルブ周りの冷却性を向上させるとともに、高い耐久性と信頼性も実現しています。

この技術の適用にあたっては、熱伝導性に優れる銅系材料をベースにしたコバルトを使わない専用材料の開発や、鍛造金型製作の研磨技術を応用した内製ノズルや最新のAI技術による品質保証など、長年にわたり蓄積してきたパワートレイン設計・材料・生産技術の全てが活用され、自動車用エンジンへの適用は世界初となります。

2ページ目:既に東南アジアでは新型エルグランド (E53)の開発車両がスパイショットされている