トランプ米大統領による自動車関税25%発表でフェラーリが+10%の価格値上げ→「ステータスシンボル工場」で影響無し。反対にトヨタやマツダ、スバルは致命的なダメージに

今回のトランプ関税による車両価格値上げは、フェラーリにとっても消費者にとっても渡りに船だった模様

2025年3月27日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が自動車関税を25%に引き上げることを明らかにしましたが、これによる海外の輸入車メーカーは大きな影響を受けることになります。

ただ、こうした関税を全くものともせずに、早急に値上げを発表して株価を上げたのがフェラーリでした。

今回フェラーリは、アメリカ市場向けとしてラインナップしているプロサングエ (Ferrari Purosangue)や12チリンドリ (New 12 Cilindri)、そして世界限定799台販売されたスペチアーレモデルのF80の3車種を10%値上げしました。


フェラーリの10%の値上げは、ターゲット層からすればステータスシンボルを高めることになる

今回フェラーリが明らかにした、一部対象車種の10%値上げについてですが、基本的にフェラーリはイタリア・マラネロ工場にて製造されていることもあり、加えてパーツもイタリア製が主になるため自動車関税25%の影響を受けることは確か。

しかしながら、フェラーリを購入する層の多くが富裕層であり、「むしろ値上げして貰った方がステータスシンボルが向上する」「値上げによって税金対策になるし大歓迎」「10%値上げするからといって購入しないことは無い。むしろフェラーリの価値が上がるから良いじゃないか」といったコメントが多数。

この点が、トヨタやホンダといった大衆自動車メーカーとの大きな違いであり、ターゲット層を富裕層向けにしているからこそ実現できるのだと思われます。

なお、2024年のフェラーリの世界販売台数は13,752台と過去最高を記録しており、そのうちの3,452台がフェラーリにとって最大市場(25%))ともいえるアメリカによって支えられています。

先程の3車種の値上げとは異なり、反対に全く値上げしなかったのがローマ (Roma)と296GTB/296GTS、そしてSF90シリーズで、これらの追加コスト分は顧客に転嫁されないそうです。

F80の10%値上げは日本円に換算すると約5,000万円

参考までに、フェラーリが世界限定799台販売したF80の車両本体価格は350万ドル(日本円に換算して約5.3億円)になるため、ここから更に10%値上げともなると385万ドル(日本円に換算して約5.8億円)になるわけですが、本モデルを購入できるVIP顧客の多くが、「5,000万円値上げするんだ。へぇ~、別に支払うけどね」の感覚だと推測。

なおフェラーリは、これらの価格変更は2025年4月2日以降にアメリカに輸入される車両にのみ影響すると明言しているため、それ以前にフェラーリを購入する予定であれば、関税による値上げの影響を受けないと説明しています。

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