ケーニグセグのクラッシュテストが公開。かなり効率よく、何度もクラッシュテストで使用した材料を使いまわすエコなメーカーだった件【動画有】

2022-08-25

数をこなすのではなく、1台で効率よく質の高いクラッシュテストを行うのがケーニグセグ

自動車メーカーにとって、品質を謳う上で必ず行われるクラッシュテスト。

ドライバへの安全性を確保することや、製品の耐久度を向上させるにはN数を増やしてのクラッシュテストが行われるのですが、スウェーデンのハイパーカーメーカでお馴染みケーニグセグは、他社のように何台ものテストカーを製造してクラッシュテストを行うことは一切していません。

ケーニグセグ・ホモロゲーション・マネージャーのDavid Tugas氏の説明によれば、「ケーニグセグでは、車がゆっくりと破壊されていく様子を見るのは非常に困難で、更には何台もテストカーを作るのではなく、可能な限り一つの個体で行っていくような効率的なテストを実施している」と説明しています。


ケーニグセグはカーボンを多用する。だからこそ1つのテストカーを可能な限り使いまわす

例えば、大手自動車メーカのように、約280万円のセダンのクラッシュテストを16回行わなければならない場合、普通であれば16台もの自動車をクラッシュさせ、それによるテスト費用は約4,500万円となりますが、ケーニグセグは16台もの車両を早く製造する能力は持っていないですし、それは1年分の生産台数に匹敵すること、そして1台当たり約3億円もするため、とてもクラッシュテスト用の車等を大量生産している暇はありません。

ケーニグセグCEOであるクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は、こうした問題を解決すべく、クラッシュ試験では僅か1台のみの「テスト用」を使用しているそうで、スーパーカーで使用されるカーボンモノコックを僅か1つだけ、そしてカーボンファイバ製のボディパネルやフレーム、クラッシュメンバー等を破壊した後、別のパーツへと再利用するように効率的に使用しているとのこと。

こういった例は、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレン等では採用していないかなり珍しい方法だそうで、必要最小限のコストに抑えているようです。
ケーニグセグはコンピュータ上にてカーボンファイバ構造の衝突試験をシミュレートすることで、衝突試験の物理的結果と関連付けるように高精度な開発が施されています。

ちなみに、今回クラッシュテストの対象となっている「レゲーラ」は、1回あたりのねじり剛性が65,000Nmと非常に高く、これはBMW X6の29,000Nmよりも2倍以上高い数値となっています(つまり安全基準にて必要な数値は十分にクリアしているということに)。
なお、自動車事故対策機構が定める自動車の衝突安全性試験の概要としては以下の通り。

○フルラップ前面衝突試験・・・衝突した場合を想定し、乗車中の人のけがを軽減する構造・装置を持っているかを確認するための試験。現実の事故に近いものであること、データの信頼性が高いことなどが求められます。

○オフセット前面衝突試験・・・運転席と後部座席にダミーを載せた試験車を、時速64kmでアルミハニカムに運転席側を一部(オーバーラップ率40%)を前面衝突させる試験。平成21年度から新規導入した試験でもあります。

○側面衝突試験・・・自動車の衝突事故における乗員傷害のうち、前面衝突に続き傷害程度の大きな衝突形態として側面衝突があります。原則、運転席にダミーを載せた静止状態の試験車の運転席側に、質量950kgの台車を時速55kmで衝突させるというもの。

○後面衝突頚部保護性能試験・・・自動車の衝突事故における乗員傷害のうち、後面からの衝突が乗車中の事故形態の中で最も多く、その傷害のほとんどは頚部の傷害となっています。この試験では、後面衝突を再現できる試験機を用いて衝突された際に発生する衝撃(速度変化、波形等)をダミーを乗せた運転席又は助手席用シートに与えるというもの。

【How To Crash Test A $2 Million Koenigsegg Hypercar – www.APEX.one】

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