排ガス規制や騒音規制だけでなく、今度は”ニオイ”の規制が厳しくなる?今後「新車のニオイ」を体感することができない可能性も

2020-09-13

新車のニオイを好む人もいれば、生理的に受け付けない人もいる

以前、韓国の自動車メーカー・ヒュンダイ(現代自動車)の新型パリセード(Hyundai New Palisade)の車内から、強烈な異臭が発生するというクレームが多数発生し、ヒュンダイが調査を進めているとの報道がありましたが、この問題を踏まえて欧州市場や韓国、中国、日本などを対象に、新型車特有の”あのニオイ”さえも更に規制を厳しく設ける可能性が出てきているとのこと。

つまり、欧州市場や日本市場が現在力を入れているハイブリッドやEV化による排ガス規制や騒音規制だけでなく、新車独特のニオイの問題もクリアしなければ販売できないということになりそうなんですね。


車種によっては外気温との絡みもあってとんでもない悪臭を放つことも?

海外の自動車ニュースサイトAutocarによると、この新車特有のニオイは揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれるアセトアルデヒドやアクロレイン、ベンゼン、エチルベンゼン、ホルムアルデヒド、スチレン、トルエン、キシレンといった8種類の物質が要因となっていて、人によっては「あの新車のニオイが良い」という人もいれば、目の刺激やめまい、息切れ、疲労、吐き気といったアレルギー反応(別名:シックカー症候群)が起きてしまうこともあるんですね。

特にこのニオイは気温によって大きく影響するとのことで、先述のヒュンダイ新型パリセードも、気温が32度を超えてくると泥水や腐ったニンニク臭といった悪臭が漂い、とにかく臭すぎて乗れたもんじゃない!といったクレームが多く発生しています。

既に中国では2021年にニオイ規制を義務付けるとの報道も

なおこの問題を解決することは非常に難しく、昨今の諸事情によるものと同じで、目に見えない得体のしれないものだからこそ対処することが難しい状況になってきているんですね。

ちなみに、過去に韓国の国土交通省が行った調査によると、800人を対象に新車を所有した人の半数以上が「シックカー症候群」にかかることからVOCの使用を制限するようになっていて、日本やロシアでもその呼びかけは行われているとのこと。

中国でも、2012年に乗用車の大気質評価ガイドラインなるものが導入され、フォードなどの自動車メーカーの新車特有の臭いを除去するプロセスの設計特許を申請するほどですし、しかも2021年には中国の自主的なガイドラインにてM1クラスの車両(最大8人乗りのモデル)で本格的に義務付けられる予定となっています。

新車特有のニオイが影響して”車が販売できない”時代になってきたのか…

騒音規制や排ガス規制だけでなく、遂にニオイの規制も厳しくなっていく自動車業界ですが、人間の命に関わる問題でもあるため、おそらく日本でも積極的に取り組まざるを得ないことになるでしょうし、国連欧州経済委員会(UNECE)も2014年からこの問題に取り組んでいることを考えると、今後あの「新車のニオイ」を嗅ぐことができなくなることを考えると、何だか残念な気持ちになりますね(あのニオイこそが新車購入者しか味わえない特権だったりする)。

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Reference:motor1.com