「所詮カローラ」なんて言わせない!トヨタ新型カローラクロスが売れ続けるのは「安さと普通さ」だけではなく、「カローラのイメージ」自体を変えたからだと考えている
個人的に「カローラ=万人受けしやすいモデル」というイメージも変化しつつあると考えている
2021年11月に私に納車されてもうすぐ11か月が経過するトヨタ新型カローラクロス(Toyota New Corolla Cross)ガソリンZ[2WD]。
走行距離も5,000kmを突破し、普段の街乗りや近場移動、そして長距離移動用としても重宝されるオールラウンダーなCセグメントSUVですが、改めてこのモデルの良さや魅力についてインプレッションしていきたいと思います。
ちなみにこのモデル、カローラクロスという名の通り「カローラ群」に属するモデルで、TNGA-Cプラットフォームを共有しつつ、その見た目の印象としてはカローラ群の中でもちょっと特殊。
グローバルモデルとしても展開される新型カローラクロスですが、その市場によってフロントマスクが異なるというのもユニークで、それもおそらく市場のニーズに合致しながらも新しい風を吹き込むことで、新鮮味を与えているからではないか?と考えています。
そう考えるとカローラクロスは、フレキシブル性のあるモデルと考える一方、今までの「カローラ=万人受けしやすいモデル」というイメージを変えたモデルでもある?と思ったり。
新型カローラクロスは緻密な戦略を重ねた上で成功させた一台
日本仕様も発表された当初は、東南アジアや北米市場向けとは異なる独特の顔つきで、どうしても新参者に対しては否定から入りやすい日本ユーザーも多かったですが、発表・発売から1年以上が経過してみると、日本仕様のデザインも日本の街並みに溶け込み、今では主力モデルでありながらも、既にハイブリッドモデルが受注一旦停止になるほどの人気っぷり。
カローラクロスがこれだけ売れる理由としては、車両本体価格が「199万円~」という安価な価格設定というのもありますが、何よりもその価格設定を実現した理由に「普通」を極めたからだと考えています。
弟分のヤリスクロス(Yaris Cross)のように、ヘッドアップディスプレイを採用するわけでもなく、北米市場向けのように排気量2.0L 直列4気筒ダイナミックフォースエンジンを搭載せず、敢えて旧世代の排気量1.8L 直列4気筒自然吸気エンジンを搭載することにより、開発コストを抑え、そして日本の道路事情にマッチしたパワーに抑えたことにより、結果として幅広い層から強い支持を得られているのも確か。
カローラブランドだから売れているのではなく、カローラクロスだから売れている
ただ単純に「カローラシリーズだから」とブランド名で売れているわけではなく、車を利用するユーザーが本当に求めているものとは何なのか?緻密な戦略があったからこそ売れ続けるのだと思いますが、そもそも「カローラ=万人受け、デザインがシンプル」というイメージも聞かなくなったように感じられます。
今後の改良で価格アップは避けられないが、その中でも抑えられた価格設定にすることは間違いなさそう
これはまだ確定事項ではないものの、2023年秋頃に新型カローラクロスが初の一部改良で商品力を大幅に向上させる予定ですが、その内容も2022年10月3日に発表・発売された一部改良版・新型カローラシリーズと同じく、マルチメディアシステムのアップデートと新世代ディスプレイオーディオPLUSの採用、そして上位グレードには12.3インチフル液晶メーターを設定するなど、その装備内容と先進性は「昔の万人受けするカローラ」のイメージとは全く異なるものに。
つまり、それだけ世間がイメージする「カローラ」も徐々に変化していく一方で、一部改良によって車両本体価格199万円~というインパクトは無くなるかもしれず、安価で普通なカローラクロスの特徴が薄れてしまう恐れはあるものの、国が求める高い安全基準を満たしつつ、必要最低限の装備で他モデルと価格差を付けてくるところは、これまでの戦略と変わらないのかもしれません。