フェラーリ唯一の日本人デザイナー・奥山清行 氏が、自身のデザインしたエンツォ・フェラーリで88km/hの速度超過→摘発。「上り坂を40km/h以下で走らせることは酷であり、速度を上げることでエンジンを冷やす必要があった」

何だかネタみたいな内容だが、デザイナー本人が速度超過で切符を切られるのはある意味凄いことかも

フェラーリが2002年に発表し、世界限定399台のみ販売したエンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)。

日本人実業家で元ZOZOTOWN創業者の前澤友作 氏も所有するスペチアーレモデルですが、何とこのモデルのデザインを担当した唯一の日本人デザイナーであるKen Okuyamaこと奥山清行 氏(63歳)が、自身のエンツォ・フェラーリで速度超過していたことが明らかとなりました。

河北新報の報道によると、2022年10月1日の午前10時50分ごろ、山形県在住の工業デザイナーである奥山清行 氏が、自身のデザイン事務所が展示用に所有するエンツォ・フェラーリにて、法定速度40km/hに対して、88km/hを超える128km/hにて土坂・西蔵王高原ラインを走行していたところを摘発されたとのこと。

その後、2022年12月に道路交通法違反の罪により、山形地検に在宅起訴されていたことが明らかとなったわけですが、まさか自身がデザインしたエンツォ・フェラーリで速度超過並びに赤切符を切ることになるとは…


奥山氏は「エンツォ・フェラーリを低速で走らせることは過酷な状況」と説明

今回の件について、奥山氏は起訴内容を認めているとのことですが、一方で今回の速度超過に至った経緯としては「前方に軽自動車がいたため、上り坂を法定速度で走行したものの、逆にエンジンに負荷がかかってしまい、ラジエーターの水温が異常値まで上昇した。風を当ててエンジンを冷やすため、下り坂に差しかかった地点でアクセルを踏み込んだ」と供述。

検察側は「停車してエンジンを冷やせなかったのだろうか?」との質問に対し、奥山氏は「エンツォ・フェラーリは特殊な車であり、元々競技用の車だから、走行しながら風を当てて冷ます方が最もベストな方法だった」と釈明。

同氏は加えて「上り坂を40km/h以下で走行することは、このクルマにとってあまりにも過酷な状況だった。だからこそ、今回この車で県道を走るべきだったのかは疑問に思われても不思議ではなかったし反省している」と語っています。

エンツォ・フェラーリから放たれる熱は想像以上

ちなみにこのエンツォ・フェラーリ、パワートレインは排気量6.0L V型12気筒自然吸気エンジンをリヤミドシップに搭載するスペシャリティカーですが、過去に関西を拠点とするラリーカーイベントNCCRでも登場したことがあり、実際にリヤエンジンフードを開けた姿を間近で拝見したのですが、そのときの熱は凄まじく「これオーバーヒートするんじゃない?」と心配になるほど。

オーナー様にも何度か取材をさせて頂いたのですが、どうやら給油する際は「ある程度クールダウンしてからじゃないと給油できない」と語っており、その理由も熱の問題が関係しているからなのだそう。

これは過去に、自動車系YouTuberのMondi氏もF40を購入した際に「給油するときにはエンジンに溜まった熱を冷まさないと、給油中に炎上するかもしれない」とのことで、何をするにしても細心の注意を払う必要があるようです。

そういった様々な経緯もあって、エンツォ・フェラーリを走らせる際は、可能な限り交通の流れがスムーズなところ、ストップ&ゴーを繰り返すようなシーンが少ないこと、できる限り速度を出すことで空冷を利用することが、スーパーカーを長く維持できる一つの方法なのかもしれません。

ただ今回の場合、競技用の特殊なモデルと認識していながら(ましてや自分自身がデザインしたモデル)、エンジンにとって悪条件とわかる県道を走行してしまったこと、悪条件を回避するために道路交通法違反となった事実は変わらないですから、今回の出来事は残念としか言えません。

【I Regret Buying My F40】

2ページ目:過去にはロータス元CEOが自社の車で速度超過→元CEO「会社のために必要なテスト走行だ」