電気自動車(EV)は立体駐車場の敵であり課題?「EVは火災や爆発の危険性があるので、立体駐車場に停めてはいけない」と門前払いする病院が話題に

(続き)アルダー・ヘイ病院の対応には、多くのユーザーが不満を持っているようだ

スプリンクラーシステムの修理などで車の出入りができないのなら何となく理解できるものの、「スプリンクラーに使用される金属が電気自動車(EV)と反応して燃えるから」という理由で、電気自動車だけを駐車禁止にするというのは何とも理解しがたいところ。

彼は、悔しい経験を受けてソーシャルメディアX(旧Twitter)を使って今回の出来事を投稿。

そして苦情を訴え、病院に電子メールで送った「情報公開請求」文書を公に共有しました。

その中で同氏は、「ICEを搭載した車両はEVよりも発火する危険性が”20倍高い”と伝えられている」と述べ、禁止に関する病院の意思決定プロセスについてさらなる情報を求めています。

病院側も、今回の一件についてBBCを通して公式声明を発表

なおアルダー・ヘイ病院は、SNSにて話題となった立体駐車場の件について、BBC(イギリス放送協会)に対し声明を発表。

マージーサイド消防救助局からの勧告を受けて「防火スプリンクラーシステムを改修する間、小規模駐車場の1つでの電気自動車の駐車を一時的に制限した」と説明。

声明ではさらに「電気自動車は引き続き病院の主要駐車場に駐車できる」と述べており、同駐車場にはEV充電器を備えた専用スペースが14台あると伝えられています。


専門家やモータージャーナリストも、今回の病院の対応に強く反論

EVの爆発や炎上などによる火災は、消防士に多大な迷惑をもたらすことが知られていますが、今回の病院が決定した内容には「具体的な根拠がない」と主張する専門家も。

エネルギー・気候インテリジェンスユニット研究グループの輸送責任者であるコリン・ウォーカー氏は、ガソリンエンジンを搭載した車両の方が、EVよりも発火する可能性が「80倍以上高い」ことを示唆するEV FireSafeのデータを引用。

スウェーデン民間緊急事態庁の報告書によると、「2022年にはEVおよびハイブリッド車が、10万台あたり平均3.8件の火災が発生したものの、すべてのICEタイプの自動車10万台あたり平均68件の火災(放火を含む)よりも大幅に少ない」と説明。

病院の誤った情報が、EVの技術の進歩を妨げている

一方でモータージャーナリストであり、EVのフェア・チェンジ・キャンペーン・グループの創設者でもあるクエンティン・ウィルソン氏は、この状況について私見。

その内容というのは、「病院の誤った情報が公共政策を形成している」と言い、それがいかに進歩を妨げているかを強調。

ウィルソン氏はさらに矛盾を強調し、EVの駐車場への出入りを制限することは「排気管排出ゼロによるきれいな空気と健康上の利点と大きく矛盾する」と述べています。

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Reference:CARSCOOPS, X(旧Twitter)