約5,100万円もする「ぼったくりスポーツカー」と揶揄されたフォード新型マスタングGTD。全く売れないかと思いきや「7,500名以上」の申し込みで抽選の可能性も?

まさか超高額のマスタングGTDがこんなにも注目されるとは…

約60年間という長い歴史のなかで、最も高額とされているフォード新型マスタングGTD(Ford New Mustang GTD)。

車両本体価格は32,500ドル(日本円に換算して約5,100万円)と超高額で、SNSなどでは「ただのぼったくりスポーツカー」と揶揄されていますが、何と本モデルがアメリカとカナダにて申込を受け付けてから、僅か37日で7,500件以上もの申込があったことが明らかとなりました。

ちなみにこのモデル、欧州市場向けとして受注を受け付ける予定とのことですが、もしかすると全世界で10,000件を超える申し込みがあるかも?との期待も寄せられています。


新型マスタングGTDはレーシング志向のスポーツカー

こちらがフォードが発表した新型マスタングGTD。

その見た目はまさにレーシングカーそのもので、まるでポルシェ新型911GT3RS(992世代)を彷彿とさせるような巨大リアウィングが印象的。

本モデルには、GT3由来のスポーツサスペンションがインストールされ、前後重量配分はほぼ50:50を実現するリアマウントのトランスミッションを搭載。

パワートレインは、排気量5.2L V型8気筒スーパーチャージド付きエンジンを搭載し、最高出力800hp以上を発揮。

なお欧州市場向けに関しては、2024年6月に受注受付けを開始する予定で、ル・マン24時間レースでデビューするのと同時期に行われるとのこと。

フォードはまた、2024年第4四半期中にニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの公式タイムラップを実施することも明らかにしています。

本モデルでのラップタイプは7分以内を目標としているそうですが、もしこれが実現すれば、これまでアメ車最速を謳っていたダッジ・バイパーACR(Dodge Viper ACR)以来の最速記録が期待できそうです。

なお今回のモデルに関して、新型マスタングGTDのチーフ・プログラム・エンジニアであるグレッグ・グッドオール氏は「私たちは、セブリング・インターナショナル・レースウェイや、バージニア・インターナショナル・レースウェイでの周回を含め、北米でマスタングGTDを徹底的にテストしてきました」とコメント。

加えて同氏は、「これはすべて、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分未満で周回できる車を開発するためのものでした。欧州の道路に移り、ニュルブルクリンクで専用のテストセッションを行うことが次のステップであり、2024年後半に予定されているタイムド・ランに先立って行われます」と語っています。

ニュルにて7分付近を記録したモデルには、アヴェンタドールや911などが存在

なお参考までに、ニュルでのアメ車最速といわれる2017年式ダッジ・バイパーACRのラップタイムは7分01.30秒。

一方でラップタイプ7分付近を記録したモデルは以下の通り。

◇ポルシェ911GT3(2021年式):6分59.93秒

◇ポルシェ911GT3RS(2018年式):6分56.50秒

◇ポルシェ918スパイダー(2013年式):6分57.00秒

◇フェラーリ296GTBアセットフィオラノパッケージ(2022年式):6分58.70秒

◇ランボルギーニ・アヴェンタドールSV(2015年式):6分59.73秒

なお、先程のアメリカとカナダでの応募総数が7,500件を超えているのは、マスタングGTDの生産計画をはるかに上回る台数であることにも注目すべきところで、本モデルの年間申込数が300台~700台の生産範囲であることも公開済みですが、一方で生産期間は2025年~2026年分のみとの情報も。

今回のように、生産計画を大幅に上回る申込数が入った場合、フォード側としては増産する姿勢を見せるのか、それとも2026年までの生産に留めて、希少性を高めるために抽選販売に踏み切るのか、今後のフォードの動向に注目したいところ。

マスタングGTDは、一体どのような層が購入するの?

それにしても、325,000ドルもするマスタングGTDを購入希望するユーザーがこんなにも多かったとは…

これだけの応募数に対して、果たしてどれだけのユーザーが冷やかしではなく本気で購入を検討しているのかは気になりますが、フォードの調べによりますと、その多くがモータースポーツ界との強いつながりがあるとのこと。

応募者の約20%が何らかの形でレースに関わっている、もしくはマスタングGTDに匹敵するようなハイパフォーマンスモデルを所有するオーナーや、現行以前のマスタングを所有しているオーナーが約25%程度。

欧州市場向けでは、どのような層が申し込みするかは不明ですが、今後中東市場やメキシコ市場などでも申し込みを開始する予定です(日本での受付けの予定は無し)。

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