ソニーホンダモビリティ新型アフィーラ1は発売前から「約520億円」の赤字を出していることが判明。中途半端なスペックで約1,300万円は高過ぎる
ここまで価格帯含めて「売れないだろう…」と思ってしまうピュアEVモデルは珍しい
2025年1月に正式に発表された、ソニーホンダモビリティの共同開発モデルとなる新型アフィーラ1 (Honda Sony New AFEELA One)。
車両本体価格は、レクサスLX600等のラグジュアリーモデルが購入できるほどに高額な89,900ドル(日本円に換算して約1,302万円)からで、スペックやデザイン、そして昨今のピュアEV市場での相場を考えると明らかに高額。
発売前から「売れるわけないだろ…」「既に失敗作決定」と批判が殺到しているアフィーラ1ですが、実はプロジェクトによる損失額が約3億6,200万ドル(日本円に換算して約520億円)に到達していることが明らかとなりました。
ソニーホンダモビリティは、オーナー向けの納車が始まっていないにも関わらず、既に約520億円の損失を計上
こちらが、2025年1月に正式に発表された量産モデルのアフィーラ1。
ボディスタイルとしては、4ドアセダンっぽいファストバックで、トヨタ現行クラウンセダン (Toyota New Crown Sedan)に近いものがあり、センター直結式の一文字LEDライトなどのデザインもクラウンセダンにそっくり。
アフィーラ1は、エントリーグレードとなるオリジン(Origin)と、シグネチャーグレード(Signature)の2種類に分けられ、オリジングレードの航続可能距離は483km、シグネチャーグレードの航続可能距離は記載されていないものの、おそらくオリジングレードとほぼ同等と推測。
アフィーラ1のスタートプライスは、レクサスLX600が購入できる金額
ちなみに、エントリーグレードとなるOriginの基本スペックは以下の通り。
・AFEELA Intelligent Drive
・AFEELA Personal Agent
・厳選されたエンターテインメントコンテンツ
・車両をデジタルでカスタマイズできる様々なテーマセットおよび5Gデータ通信を3年間無料のサブスクリプションで利用可能
・テスラ社製スーパーチャージャーネットワーク
・航続可能距離「300マイル(483km)」を目標
・車両本体価格は89,900ドル(日本円に換算して約1,423万円)
・予約金は200ドル(日本円に換算して約3.2万円)で、全額払い戻し可能
・Originの納車開始時期は2026年中旬のSignatureよりも後
そして、上位グレードとなるSignatureの基本スペックは以下の通り。
・Originの装備内容を追加
・21インチアルミホイール
・リアエンターテイメントシステム
・C-CMS(センターカメラモニタリングシステム)
・インテリアカラー2色「Black」「Gray」をラインナップ
・車両本体価格は102,900ドル(日本円に換算して約1,629万円)
・Signatureの納車開始時期は2026年中旬から
以上の通り、シグネチャーグレードが2026年中旬頃より納車開始予定で、オリジングレードが2026年中旬よりも後に納車予定となっているわけですが、正式発表されてから半年が経過しているにも関わらず、未だユーザー向けに1台も納車されていませんし、致命的で大きな問題として、約3億円6,200万ドル(日本円に換算して約520億円)の営業損失を計上しています。
最近発表されたソニーホンダモビリティの財務情報によると、損失は2024年の-205億円の赤字から倍以上に拡大しており、プレミアムEV市場で追い上げを図ることがいかにコストがかかるかが浮き彫りなっています。
2025年後半に発売予定のアフィーラ1は、先ほどもお伝えした通り89,900ドル(日本円に換算して約1,302万円)からの販売となるため、この金額だけを見ると、昨今のピュアEV市場並びにピュアEVセダンの金額としては超高額。
アフィーラ1は、合弁事業のターゲット市場の位置づけを明確に示すものであると同時に、多額の先行投資を回収することの難しさをも浮き彫りにしています。
なお参考までに、同じ4ドアセダン/ファストバックで中国専売となる日産のピュアEV・N7は、航続可能距離が510km~625kmとロングレンジでありながらも、車両本体価格は11.99万元~14.99万現(日本円に換算して約237万円~約296万円)と破格。
つまり、中国市場ではこれだけのロープライスにしないと「売れない」ことを意味しているわけですが、アフィーラ1は中国市場では到底売れないであろう価格帯で勝負してくるわけですね。