トヨタとBMWの先見の明が証明された!「EV一極集中戦略」が崩壊した3つの理由:『高すぎる価格』『インフラ未整備』そして『雇用の危機』
(続き)国がEVの推進を促す一方で、真っ向から対立したBMWとトヨタが前進
引き続き、国全体がEV推進を促すなかで、真っ向から反対し続けたBMWとトヨタの現在を見ていきましょう。
EV推進の波に呑まれることなく、常にトップを走り続けるトヨタ

一方でトヨタは、今後発売予定のガソリンエンジンをあらゆる用途に採用する計画で、欧州トヨタの製品戦略・マーケティング担当副社長であるアンドレア・カルルッチ氏は最近、「電気自動車、ハイブリッド車、水素自動車など、あらゆる用途に新型エンジンを最適化できるよう努めています」と説明。
2024年、トヨタCEOの豊田章男 氏は「EVの世界市場シェアが30%を超えることは決してないだろう」と予測し、大きな話題を呼びました。
しかしながら、トヨタの現在のアプローチは、顧客の選択肢を人為的に制限しないという点で、BMWの姿勢を彷彿とさせるものがあります。
1997年のプリウス発売以来、ハイブリッド車で長年成功を収めてきたことを考えると、内燃機関を犠牲にしてEVにすべてを賭けることは極めて愚策でハイリスク。
EVどころか、更なる選択肢拡大のため水素燃料エンジンも開発中

トヨタは、エンジンの寿命を延ばしつつ排出量を抑えるための代替ソリューションにも多額の投資を行っています。
マツダやスバルと協力し、合成燃料やカーボンニュートラル燃料、バイオ燃料の開発に取り組んでいて、さらには次期GRヤリス/GRカローラのプロトタイプモデルを対象に、排気量1.6L 直列3気筒ターボチャージャーエンジンの改良版を搭載し、水素燃料エンジンの試験も行っています。
軌道修正することで発生する多額のコストも抑えられている

BMWとトヨタは、戦略を根本的に見直す必要がなかったため、現在では両社とも競争優位を維持。
これは、EVを強く推進してきたポルシェを見れば一目瞭然で、同社は初代マカンの後継として、当初計画されていなかった新型ガソリンクロスオーバーを投入するという、予想外の投資を強いられています。
同様に、次期718ボクスター/ケイマンも、再び内燃機関を搭載する一方、当初は電気自動車(BEV)のみを想定していた3列シートSUVは、まず従来型のパワートレインで発売される予定となっているため、構想としてはブレッブレなんですよね。
こうした計画外の軌道修正には、当然のことながら「莫大なコスト」がかかりますが、だからといってEVが衰退しているわけではないのも事実ですし、ここから再起を図ることだって可能。
各機関が予想するEV販売の割合はことごとく外している

欧州自動車工業会(ACEA)によると、2025年最初の8ヶ月間で欧州における新車販売台数に占めるEVの割合は17.7%となり、前年14.1%から増加。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年には世界で販売される新車の20%以上がEVになると予測されていましたが、これも見事に外しているものの、徐々にEVの比率が上がっているのも事実。
IEAはまた、世界のEV出荷台数が前年比25%以上増加し、1,700万台を超えたと報告していて、2025年には、更に25%増加して2,000万台を超えると予測されており、中国では約1,400万台のEVが出荷され、新車市場の約60%を占めると予想されています。
地域格差と販売アプローチに対しても、BMWとトヨタは「市場セグメントに対応できる態勢を整えている」
BMWとトヨタは、将来何が起こっても万全の準備を整えていて、長年確立したマルチエネルギー戦略を堅持することで、両社は電気自動車への移行がどれほど急速に進むかに関わらず、世界中のあらゆる市場セグメントに対応できる態勢を整えている状態。
唯一確実な予測は、一部の地域では他の地域よりもはるかに早いペースで移行が進むということ。
例えば、ノルウェー道路連盟(OFV)によると、2024年にはノルウェーの新車販売の89%がEVで、一方エクスペリアン・オートモーティブの調査によると、2024年アメリカで販売された車のうち、BEVモデルはわずか9.2%でした。
こうした著しい地域格差は今後何年も続くとみられ、BMWとトヨタが正しいアプローチを取ったという見方を強めることになりそうです。
1ページ目:BMWは電気自動車が「単に高く、充電インフラも整備できない問題に立たされる」ことを予見していた




