電気自動車の思わぬ問題と課題…一部の立体駐車場がピュアEVの車体重量の重さに耐えきれず倒壊する問題が発生→今後は立体駐車場の設計構造を見直す必要有り?

電気自動車はバッテリー寿命と航続可能距離だけでなく、バッテリー特有の「重さ」が新たな問題に?

様々な自動車メーカーが電気自動車の開発・設計・販売に取り組んでいるなか、以前より何かと話題になっているのがピュアEVモデル特有ともいえる航続可能距離と、季節性の変化によるバッテリーの消耗スピード。

更には、トヨタの場合であれば新型bZ4Xにハブボルトを採用したことで、EVモデル特有のトルクの立ち上がりの強さが起因して、ボルトの損傷 → ホイールが脱落するなどの問題が起き、まだまだピュアEVモデルの課題は山積み状態(高い価格設定なのも課題の一つ)。

こうしたなか、ピュアEVモデルが普及しているイギリスでは、「電気自動車の重さ」により、一部の立体駐車がその重さに耐えきれずに倒壊するという問題が発生しているようです。


EVモデルが普及することで、私たちが予想だにしない新たな問題が次々出てくるかもしれない

海外カーメディアCARBUZZの報道によると、今回の問題について立体駐車場の構造を知るエンジニアで、パーキングコンサルタントを務めるクリス・ワップルズ氏のインタビューにより、「電気自動車(BEV)使用の増加によって、特定の構造物がゆがむ可能性があり、特に一部の古い駐車場(立体駐車場)は、電気自動車の重量に耐えることができず、バラバラに倒壊する恐れさえある」と説明。

加えて「あまり人を騒がせたくはないが、状態の悪い初期の立体駐車場が崩壊する可能性は間違いなくある。オペレーターは、電気自動車の重量を認識し、強度の観点から駐車場を評価して、今後は重量を制限する必要があるかどうかを判断する必要があります」とのことで、特に立体駐車場においては、これまでボディサイズ(全高)に重きを置いてきましたが、ここに新たに車体重量が加味されるとなると、立体駐車場自体利用しづらくなることに。

そもそも本当に電気自動車だけの問題なのかは特定できていない

おそらくは立体駐車場に警備員もしくは車体重量を測定できるような装置を設けることで、まずは電気自動車か否か、続いて大型のピュアEVモデルではないか否か、そもそも車体重量はどれぐらいなのか(ある一定の重量制限を設ける?)などの細かいチェックが必要となる可能性もありますが、必ずしも電気自動車だけに限った話ではない?とも考えてみたり。

確かにピュアEVモデルの車体重量は、従来のガソリン車に比べると重く、メルセデスベンツのエントリーモデルとなるEQA250でも1,990kg、国産コンパクトEVのリーフでも1,520kg~1,680kgなので、ガソリンモデルのCセグメントSUV以上の重さではありますが、必ずしも重量感のある電気自動車が全ての立体駐車場を利用するとも限らないですし、「電気自動車のせいで立体駐車場を見直さなければならない」とコメントしてしまうのも無理があったり。

イギリス政府はEVグリッドに力を入れている一方、立体駐車場の再建については何も無し

こうした駐車場での重さに関する問題はもちろんですが、イギリス政府からの圧力も強められ、2035年にICEモデルを販売禁止し、イギリス政府が資金を提供しインフラストラクチャを構築するために20億ドル(日本円に換算して約2,680億円)以上を確保していますが、この資金はあくまでもEVグリッドを拡大するためだけのものになります。

つまり、イギリス・ロンドンやマンチェスター、バーミンガムなどの都市で大きな問題となり、今後も更に深刻化するであろう一部の古い立体駐車場については、これらを補強するための資金は確保されていません。

イギリスのパーキングサイトMetparkによると、本国には約6,000の立体駐車場が点在していますが、イギリス政府ではこうした重さによる立体駐車場の根本的な設計問題を予見することができず、更には予算が全く確保されていない状態でどのように対策を講じていくのか?は、2023年4月時点では全くもって不明なまま。

2ページ目:電気自動車から度々出てくる新たな問題により、何れ差別的な動きが起きないも心配?