トヨタ新型センチュリーSUVの凄すぎる組立品質②!「最終検査はたった1人で3時間半かけて全て行う」「塗装の光沢や平滑性の基準はレクサス以上に厳しい」等

最も周りから見られる部分だからこそ、塗装含める最終検査はレクサスよりも厳しい

2023年9月6日に発表・発売された、トヨタの新世代ショーファーカーとなる新型センチュリーSUV(Toyota New Century SUV)。

前回のブログでは、センチュリーSUVの組立などを任されたスタッフが僅か40名のみであることや、センチュリーマスターともいえる特別なスタッフになるには、3つの高難度な試験をパスしなければならないことをお伝えしました。

更に車の基本ともいえるボルト・ナット締めを行うためには、従来の乗用車に比べて12倍もの時間を要し、締め付けトルクの許容差が僅か5%であることもお伝えしました。

今回は、センチュリーSUVの優れた技術を支える「最終検査」を見ていきましょう。


まさに職人技!検査は最初から最後まで「全て一人」で徹底的に行われる

早速、新型センチュリーSUVの最終検査の中身を見ていきましょう。

こちらが3つの厳しい試験をパスし、センチュリーSUVの高い品質基準を守る「最後の砦」であり「マスターインスペクター」の比嘉モリアキさん。

彼は、生産ラインの最終工程を任せられ、塗装の仕上げから内外装の組立て精度、走行音や乗り心地までを全て一人でチェックする重要な人物となっています。

比嘉さんは、沖縄県出身で幼いころから車が大好きなだったそうで、高校卒業後は地元の自動車関連会社に就職し、その後25歳でトヨタ自動車に入社。

比嘉さん

もともとマークⅡやチェイサーなどのトヨタ車が大好きだったので、これを目指してトヨタの生産現場に転職しました。

私は当初からレクサスの検査課に配属され、以来ずっと検査の仕事をしてきました。

とのことで、20年以上のキャリアを持つベテラン検査員であることから、短期間では習得することが最も難しいと云われる検査スキルを身に付け、車両の各部品間の隙間(クリアランス)や高低差が基準を満たし、両側のバランスが取れているかを厳しく検査するとのことで、こうした技術や経験は、レクサスでの厳しい経験より活かされているとのこと。

ほんのちょっとしたキズも見逃さない

話はセンチュリーSUVの検査工程に戻りますが、ボディパネルのプレス加工から溶接、塗装、部品加工、組立まで自動車生産のあらゆる工程において細心の注意を払って行われるなか、本モデルは他のラインナップモデルに比べてはるかに厳格。

しかし細心の注意を払っていても、塗装の欠陥や組立上の欠陥を完全に取り除くことは困難なため、そのための欠陥を一切無くすため、比嘉さんの役割が大きく活かされることに。

これには、内外装の品質からすべて機能が適切であることを確認し、不規則な異音や運転に影響を与えるその他の問題に至るまで、完成した車両のあらゆる側面の最終チェックが含まるため、言い換えれば、検査は車の製品の品質を守る最後の砦ともいえます。

トヨタは、全ての検査を一人で実施するための特別な検査体制を構築

ただセンチュリーSUVに関しては、全く新しい検査体制を構築しているとのことで、通常は、このプロセスは複数の検査官にて分担され、各検査官が特定の車両要素を監督するのですが、本モデルの場合は「1人の検査員が全工程を担当し、車両全体を検査」するという手法が採用されています。

この仕組みにより、卓越した技術と知識を持つ職人が創意工夫を駆使し(一人の人間の検査基準が確立される)、最高の品質を保証することができるとのこと。

この独自の手法には、検査員のための新しい認定システムが伴い、検査員が以下の要件を確実に満たしている必要があります。

・顧客の視点に関する経験に裏付けられた徹底的な知識

・プロセス全体を高いレベルで実行するためのスキルと専門知識

・開発者のビジョンを捉えたものづくりを具現化する力

・センチュリーSUVを扱えるマスター検査官の資格を持っていること

責任重大ともいえる内容を、比嘉さんは自ら率先して担当することに

こうした内容を確認するだけでも責任重大ですし、中々率先してできることではないようにも思えますが、比嘉さんは「自ら率先して」手を挙げたそうで、「是非ともこの仕事をやりたい!」と話し、通常の検査では各人が限られた範囲で作業するのに対し、センチュリーSUVでは「全体を監督できる」から、そこが一番の魅力だったそうです。

そして実際にセンチュリーSUVの検査員を任され、側壁と天井に蛍光灯が等間隔で取り付けられた検査ブースで検査を行い、車体への反射により「塗装面の変形を特定」したり、蛍光灯だけでなく「太陽光の周波数に合わせた照明」も使用するなど、その検査内容と工程は気が遠くなるレベル。

2ページ目:全ての検査項目17つを、一人で約3時間半かけて行う?!