ダイハツの不正問題がロッキーHV/ライズHVだけでなく全車種に大幅拡大→出荷・受注・販売停止へ。何と不正行為は174個に…気になる対象車種は?

もはやライズ/ロッキーの不正認証試験の問題では収まらないレベルになっていた

前回のブログにて、2023年5月にダイハツ新型ロッキー(Daihatsu New Rocky)HVとトヨタ新型ライズ(Toyota New Raize)HVの2車種が、認証試験において不正を行ったとして販売・製造・出荷・登録停止となったことをお伝えしました。

これに加え、ライズHVの受注残は「約3万台」、一方でロッキーHVは「約5,000台」だったことが発覚し、これらが受注キャンセル扱いとなり、メーカー側としては代替モデルを提案するよう、販売店から納車待ちユーザーに対してアナウンスしていましたが、今回新たにダイハツからとんでもない調査結果が報告されました。

その調査内容というのが、ライズHV/ロッキーHVだけでなく、国内外にて販売されている全車種に加え、直近で販売・生産終了した車種含めて生産・出荷・販売停止となったことが明らかとなりました。


ダイハツが販売していた車種全てが、不正行為だらけだった

今回明らかになった不正問題について、ダイハツは調査報告書をプレスリリースにて公開していますが、その中で不正行為があったとされる類型と内容は以下の通り。

不正加工・調整類型:試験実施担当者等が、意図的に、車両や実験装置等に不正な加工・調整等を行う行為

虚偽記載類型:試験成績書作成者等が、実験報告書から試験成績書への不正確な転機を行うなどして、意図的に、虚偽の情報が記載された試験成績書を用いて認証申請を行う行為

元データ不正操作:試験実施担当者等が、試験データをねつ造、流用又は改ざんするなどして、意図的に、実験報告書等に虚偽の情報を記載する行為

これらを踏まえて、ダイハツは対象人数147名に対して実施した合計327回のヒアリングや、役職員37名の電子データを対象としたデジタルフォレンジック調査、そして役職員合計3,696名を対象として、3,642名(回収率98.54%)から回答を得たアンケート調査内容から、以下の不正が発覚したと報告しています。

調査の結果、2023年4月のドアトリム不正・5月のポール側面衝突試験不正に加えて、新たに25の試験項目において、174個の不正行為(不正加工・調整類型28個、虚偽記載類型143個、元データ不正操作類型3個)があったことが判明しました。

不正行為が確認された車種は、すでに生産を終了したものも含め、64車種・3エンジン(生産・開発中および生産終了車種の合計)となっております。

この中には、トヨタが販売している22車種・1エンジンが含まれております。

via:Daihatsu

一番古いもので1989年から不正が行われていたようだ

なお、ダイハツの報告書によると、こういった不正は一番古いもので1989年の不正行為から始まり、全体の傾向として2014年以降の期間で不正行為の件数が増加している状況が見られたのだそう(不正認証などが行われた対象車種などは、以下のプレスリリースの一部にある通り)。

調査の最終段階で、ダイハツ・ムーヴ、ダイハツ・キャスト/トヨタ・ピクシスジョイ、ダイハツ・グランマックス/トヨタ・タウンエース/マツダ・ボンゴのエアバッグに関する試験において、量産品と同じ「エアバッグ展開コンピューター(ECU)」が使われていなかったという不正が判明いたしました。

技術検証を行い、エアバッグに関する乗員保護性能に問題はなかったものの、検証を行う中で、キャスト/ピクシスジョイの側面衝突試験における「乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」が法規に適合していない可能性も判明いたしました。

現時点で、本件に関係する事故情報は把握しておりませんが、徹底した技術検証と原因究明を行っており、速やかに必要な対応を実施してまいります。

via:Daihatsu

ただ、これについて現場を担当する主に係長級のグループリーダーまでの関与が認められるにとどまり、室長の関与が認められたごく一部の例外を除き、部室超級以上の役職者が現場レベルの不正行為を指示し、あるいは黙認したという組織的な不正行為は認められなかったとのことですが、まだまだ細かく調査を進めていけば、新たな問題も明るみになる恐れも出てきそうですね。

2ページ目:今回の不正問題の明るみにより、トヨタ/ダイハツ/スバルのどの車種が対象になっている?