フェラーリ大ピンチ?リコール対象だった458イタリアが「杜撰な修理」で事故寸前→訴訟問題にまで発展!ランチア新型イプシロンHEVが世界初公開

フェラーリのブレーキ関連の不具合は、長きに渡って解決策を見出すことが難しいとされてきた

フェラーリの大人気モデルとなるV8ミドシップモデルなどを対象に、以前ブレーキ関連の不具合があるとして、日本市場では2,000台以上を対象にリコールが届け出されました。

この不具合については、アメリカ市場などでも2021年10月に458イタリア/458スパイダーや458スペチアーレ/458スペチアーレA(アペルタ)、488GTB/488スパイダーを対象にリコールが届け出されており、ブレーキフルードが漏れ、制動力の部分的または完全な損失を引き起こす危険性があることを明らかにしましたが、当時フェラーリは問題の根本を見つけだすことができず、結果的に適切な改善措置に至ることは困難だったと云われています。

そんな車の重要パーツでもあるブレーキ関連において、アメリカにてフェラーリモデルを購入したユーザーが、この不具合の影響で危険な目にあったとして、フェラーリに対して訴訟を起こすことが明らかとなりました。


具体的にどのような不具合だったのかをおさらいしてみよう

訴訟へと発展するまでの経緯などをチェックする前に、改めてどういったモデルが対象だったのか?どういった不具合だったのか?をおさらいしておきましょう。

これは実際に日本市場向けの個体でも届け出されており、対象となるモデルは458イタリア/458スパイダー/458スペチアーレ/458スペチアーレA/488GTB/488スパイダー/J50の7車種・計2,496台。

不具合内容としては、制動装置において、マスターシリンダーのブレーキブースター側に装着されている油圧シール部からブレーキフルードがブレーキブースター内に漏れ、ブレーキの一次回路のブレーキフルードがなくなった場合、制動力は二次回路のみで作動する状態となることが判明。

その状態でブレーキリザーバータンクのキャップを強く締めすぎていると、ブレーキリザーバータンクの換気が減少してタンク内に負圧が発生し、ブレーキの二次回路のブレーキフルードがブレーキリザーバータンクに戻る可能性があり、最悪の場合、ブレーキが効かなくなるおそれがあるとしてリコールを届け出ています。

なお改善措置としては、全車両、二次回路の制動力を保証するために、ブレーキリザーバータンクのキャップを対策品に交換する形で一旦落ち着いたのですが、その後アメリカでは更に頭を抱えるような問題へと発展しています。

2020年にたまたま購入した458イタリアが「適切に修理されていなかった」と主張

その問題というのが、この「ブレーキ関連の不具合を適切に修理しなかった」として、とあるオーナーがフェラーリに対して訴訟を起こすというもの。

そのオーナーというのが、イリヤ・ネチェフ氏という人物で、彼は2020年に2010年式の458イタリアを購入したのですが、納車された初日からブレーキの問題を経験したとのこと。

訴状内容を見ていくと、イリヤ・ネチェフ氏が下り坂を運転中、90度ものカーブを曲がろうとしたところ、ブレーキを踏んでも車がほとんど減速しなかったと説明。

更に提出書類によれば、フェラーリディーラーは「それが普通のこと」だとオーナーに告げたと言います。

フェラーリは当初、2021年10月に上記の対象車種に対して自主リコールを届け出しましたが、これは2005年モデルにまで遡り、23,000台以上の対象車に影響を及ぼしたブレーキ機能の問題として、2022年半ばにも2度目のリコールを届け出しました。

フェラーリは、影響を受けた車両の液体リザーバーのキャップが適切に通気されていない可能性があることを発見し、これによりリザーバー内部に真空が発生し、漏れが発生する危険性があることを明らかにしました。

フェラーリは、新しいリザーバーキャップと更新されたソフトウェアで問題を修正したわけですが、このリコールは612スカリエッティからローマまでのすべてに影響を与えたものの、その前に届け出された458シリーズや488シリーズは含まれていなかったとのこと。

フェラーリの対応並びに、命の危険を脅かす車を販売したことで、不当に利益を得たとして訴訟

イリヤ・ネチェフ氏の訴訟では、フェラーリはマスターシリンダーを交換することによってしか問題を解決できなかったと主張しているとのことで、またフェラーリはブレーキの欠陥の程度について顧客に通知しなかったとも述べており、「フェラーリの修理は極めて杜撰だった」と指摘していることから、おそらくはフェラーリの対応に対しての不満が一番大きいものと考えられます。

そして今回の訴訟に発展した一番の背景には、「フェラーリが購入者の命を脅かし、欠陥のある車を何千台も販売したことで、不当に利益を得た」として、フェラーリに加えてサプライヤであるボッシュにも訴訟を起こす流れとなりました。

ちなみに、この問題を報じたMotor1.comによると、実際にフェラーリの広報担当にも問合せし「お客様の安全と幸福が当社の最優先事項である。当社車両が常に公式仕様を遵守していることを保証するため、当社は厳格な安全性とセキュリティのガイドラインに従って業務を行っています」と回答していることから、フェラーリとしても全面的に立ち向かう姿勢であることがわかります。

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