トヨタの型式指定における不正行為は「日本だけでなく国連基準も満たしていない」と報道→但し具体的に「何を満たしていない」のかが不明確で、マスコミの報道に悪意も

2024-06-13

メディア・マスコミの見出しだけを見るとインパクトはあるが、一方で報道の中身は極めて薄いため、鵜呑みにはできない

2024年6月3日、国土交通省の公式プレスリリースにて、型式指定における不正行為に関する調査を行った結果、トヨタ/マツダ/ホンダ/スズキ/ヤマハ発動機の5社に不正があったと報道されました。

そのなかでもトヨタは、現行車種3車種のヤリスクロス(Toyota New Yaris Cross)やカローラフィールダー(Corolla Fielder)、そしてカローラアクシオ(Corolla Axio)が、主力モデルということもあり、2024年6月末で生産・出荷・販売を停止する予定となっています。

ただし、海外市場向けに関しては生産をストップせずに継続している状況ですが、どうやら国土交通省の立ち入り検査が行われた結果、今回の不正行為「6事例」が、日本国内だけでなく「国連基準」も満たしていないと報道されています。


「国連基準」も満たない、と云われる所以は何なのか?

今回の報道については読売新聞オンラインが報じているもので、「国の基準だけでなく日韓や欧州を含む62か国・地域が採用する「国連基準」にも反するとの見解をまとめたことがわかった」とまとめています。

ただ、今回の不正行為と報じられている以下6事例について、読売新聞が報じる、もしくは国土交通省が指摘している「国連基準に反している」といった詳細な情報が何も記載されていないんですね。

➀:エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用
・前面衝突時の乗員保護試験
・オフセット衝突時の乗員保護試験

②:規定と異なる衝撃角度
・歩行者頭部および脚部保護試験

③:選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用
・歩行者頭部および脚部保護試験

④:規定と異なる台車重量
・後面衝突試験

⑤:規定と異なるブロックで試験
・積荷移動防止試験

⑥:出力点の制御調整
・エンジン出力試験

上記の項目において、トヨタは「国の基準より厳しい条件で実施した」などとした一部の試験について、国側が「より厳しいと一概に言えない」と結論付けたとのことですが、その理由が以下の報道。

国側の関係者によると、安全面でより厳格な試験になるか否かはボンネットの形状などでも変わり、角度の違いで一概に決められない

他の「より厳しい」と主張する試験の一部も、国側は「一概に厳しいとは言えず、欧州などでも不正と判断される可能性が高い」とみている。

と、国側のプライドなのかどうか…それとも読売新聞の表現が一部過激なのかは不明ですが、不正行為に持ち込むような流れの説明にも思えたり。

あと、トヨタ側が主張する50度よりも厳しい65度の試験条件にした旨を説明しているにもかかわらず、国土交通省側は「より厳しいと一概に言えない」と判断するのであれば、そもそもの「50度という試験条件」も一概に厳しいと言えないのでは?と考えるのが自然だと思うんですね。

上記の国側の指摘を見てもお分かりの通り、トヨタの主張に対する明確な根拠や具体的な基準を示した内容にて返答していない限りは、今回読売新聞が報道している内容を鵜呑みにするのは危険。

決してトヨタを擁護しているわけではなく、両者の言い分を具体的にまとめられない限りは、この話の落としどころを見つけることは困難だと思うんですね(おそらく読売新聞は、最初からトヨタ=悪というイメージにしたいのかもしれない?)。

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