トヨタの型式指定申請における不正行為で発覚したヤリスクロス/カローラ/シエンタ/レクサスRX等の「7車種の不正事案」。「エアバッグのタイマー着火」など詳細を見ていこう
トヨタの闇は想像以上に深いかもしれない
2024年6月3日、国土交通省のプレスリリースにより、トヨタ/マツダ/スズキ/ホンダ/ヤマハ発動機の5社に、型式指定申請における不正行為が発覚したことが明らかとなりました。
この報道を受け、トヨタは記者会見を行い、クラウン/アイシス/カロアーラアクシオ/カローラフィールダー/シエンタ/ヤリスクロス/レクサスRXの7車種に対し、計6つの不正事案を行っていたことを明らかにしました。
具体的にどういった不正を行ったのか?早速チェックしていきましょう。
型式指定申請における不正行為は、どこから問題だったのか?
まず、今回の型式指定申請における不正行為は「どこからが問題だったのか?」ということ。
トヨタ公式プレスリリースによると、上の画像の通り、重要なプロセスとなる「1:認証機関の審査官による立会試験」と「2:メーカーが自ら実施する認証試験」、そして「3:開発試験での有効データを認証データとして提出」する3つのやり方があります。
今回問題となったのは、「2:メーカーが自ら実施する認証試験」と「3:開発試験での有効データを認証データとして提出」にあったと言います。
大きく6項目で不正行為が発覚
それでは、具体的にどういった不正行為が発覚が発覚したのか見ていきましょう。
トヨタの報告によると、大きく6つの項目で不正が発覚しています。
項目別に見ていくと…
➀:エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用
・前面衝突時の乗員保護試験
・オフセット衝突時の乗員保護試験②:規定と異なる衝撃角度
・歩行者頭部および脚部保護試験③:選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用
・歩行者頭部および脚部保護試験④:規定と異なる台車重量
・後面衝突試験⑤:規定と異なるブロックで試験
・積荷移動防止試験⑥:出力点の制御調整
・エンジン出力試験
以上の通りとなります。
➀:エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用
まずは、「エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用」した不正事案ですが、対象となる車種は、2014年式のクラウンと2015年式のアイシス。
トヨタによると、衝突の際、主にシートベルトとエアバッグで乗員を保護しますが、アイシスでは「シートベルトの性能向上」にむけて開発していました。
この開発試験では、認証試験の基準よりも、厳しい衝突条件をつくり出すために「タイマー着火」という手法を用いることに。
またクラウンでは、追加のモデルを開発していて、この開発試験の目的は、シートベルトとエアバッグによる乗員保護性能を確認することであり、試験用の試作車で確実にエアバッグを展開させるために、「タイマー着火」という手法を用いていたことが発覚しています。
②:規定と異なる衝撃角度
続いては「規定と異なる衝撃角度」についての不正内容を見ていきましょう。
対象車種は、2015年式のカローラアクシオとカローラフィールダーの2車種で、何れも現時点で生産されているモデルとなります。
この試験では、歩行者とクルマが衝突した際の、頭部へのダメージを確認する試験で、より厳しい試験条件の開発試験データを認証申請に使用していました。
図のとおり、衝撃角度65°の方が、より厳しい試験条件となるわけですが、本来ならば、法規で定められた衝撃角度50°で改めて試験を実施し、そのデータを提出することが必要だったにも関わらず、開発試験データを申請に使っていたことが発覚しました。