スバルを見る目が変わった、走行性能・安全性能全てが一級品。スバル「インプレッサ・スポーツ」に試乗する

2020-05-26

もともと、今年の試乗検討に入れていなかったスバル「インプレッサ・スポーツ」に試乗。
日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した話題の車だけあって、「ここはやはり試乗しておきたい」という思いから、早速地元のスバルディーラにて試乗車予約をさせていただきました。


【外観インプレ】

今回試乗させていただいた個体は「インプレッサ・スポーツ 2.0i-L EyeSigh」というグレードで、ベースグレードの”1.6i-L EyeSight”と”2.0i-S EyeSight”の中間グレードになりますね。
ボディカラーは人気の「アイスシルバー・メタリック」になります。
ちなみに、このアイサイト技術は全グレードにて標準採用されているとのこと。

2011年に4代目が登場して約5年が経過し、予てよりフルモデルチェンジされた5代目「インプレッサ」ですが、まずはやはり外観のデザインが大きく変化していますね。
外観のフロントフェイスにおいては、「G4」とは異なるデザインが採用されていて、サイドのフロントガラスを傾斜させるとともにルーフ後端を下げ、ウィンドウのショルダーラインとドア下部のキャラクターラインに加えて、前後のフェンダーから流れる”ダイナミックブレード”と呼ばれる新キャラクターラインが採用。

またフロントガラスサイドにあるAピラーの傾斜も、4代目よりも更に寝かしつけているとのことで、この傾斜にすることにより、クーペに近い車体への実現と空力性能も高められたとのことです。
※ちなみにスバルの設計マニュアル書においては、「身長100cm以上の人間が運転席に乗りん込んだ際に、必ず周りの視界が快適に見えるように設計する」という決まりがあるらしく、特に今回のようなAピラーを寝かしつける技術は苦労した点でもあるとのことで、スバルのこだわりが大きく見えますね。

車体形状としては、5ドア・スポーツハッチバックになるわけですが、個人的な感想としてはステーションワゴンに近いスタイリングに思えますね。
ハッチバックと聞くと、前・後席がちょっと圧迫感のある印象を受けますが、「インプレッサ・スポーツ」はそういった圧迫感がなく、身長182cmの私でも、特に後席においてはゆったりとした姿勢でくつろぐことができました。
トランクスペースも、まるでセダンに近い容量であることからゴルフバック3つは詰めるとのことで、このあたりの実用性も非常に高いと感じられますね。

内装は基本的にブラックとなりますが、今回私が試乗した個体の内装のシート材質は標準装備のファブリック。
シート調整はパワーシートではなく手動式なのですが、この辺りはオプションの本革シートをチョイスすると、運転席&助手席が8way式のパワーシート(前後スライド/前チルト/リフター/リクライニング)になりますね。

【主要諸元・スペック・価格】
・排気量2.0L 水平対向4気筒エンジン(DOHC 16バルブ デュアルAVCS直噴)
・最高出力:154ps、最大トルク:196Nm
・全長/全幅/全高:4,460mm/1,775mm/1,480mm
・ホイールベース:2,670mm
・最低地上高:130mm
・最小回転半径:5.3m
・車両総重量:1,595kg
・燃費:17.0km/L
・価格:2,138,400円

パワートレインにおいては、スバルが古くから守り続けてきた水平対向エンジン。
水平対向エンジンは、ドイツが開発したエンジンなのですが、横幅が大きく・ショートストロークになってしまうことや、コスト面が大きくかかってしまうことからほとんどの自動車メーカが使用を断念(トヨタも昔は水平対向エンジンを使用していた)。
現代においては、ポルシェとスバルだけがこのエンジンを使い続けていますね。
こういった愚直に昔ながらのエンジンを(改良を加えながら)使い続けるスバルのマジメな姿勢がスバリストから愛されているのだと思います。
最低地上高は130mmと低すぎず、高すぎずの丁度よいバランス。燃費は意外にも高めの17.0km/L。ガソリンはもちろん”レギュラー”。

【試乗インプレ】
さて、早速「インプレッサ・スポーツ」に乗り込みますが、ドアを開けてシートに座りこむときの姿勢は非常にイージー。
サイドシルの位置が結構低い影響もあってか、乗り降り時の体の負担を最小限に抑えているように思えます。
担当者さんより、一通りの内装の説明を受けたあとは、早速シートベルトを止めるのですが、シートベルトの持ち手が他のメーカとは違う形状で非常に持ちやすくなっており、地味ではありますが、こういった些細な工夫と気遣いにおいてはかなりの高評価とも言えますね。

早速エンジンスタートです。エンジン始動音はさすが水平対向4気筒エンジンだけあって、最初の触媒を温めるときの音はちょっと大きいように感じられますが、そこまで不快に感じるほどでないかなと。
今回の試乗コースは、スバルが得意とするアイサイト技術と走行性能、安全性能を体感できるために、かなり長いコース(約20kmぐらい?)を走行させていただきました。

パーキングブレーキは自動式のため、早速センターコンソールにあるシフトにてDへ。
ディーラを出るときにアクセルを踏み込めばパーキングブレーキは解除され、発進することができるのですが、アクセルを踏み込んだときの感触としては、少々固めのように感じられますね。

まず、街中での走行性能においては、スバルがほぼ一からやり直したという新開発のスバルグローバルプラットフォームの採用によりロードノイズ等はほとんどなく、非常に上質な走りを追求したのだと思います。
また街中での走行ということもあって、若干の渋滞はあったものの、ここからがスバルの本領発揮。
アイサイト技術による運転支援システムによって、前車追従機能(車間距離の設定、速度も”0″~140km/hまで設定可)や走行車線の認識による車線逸脱防止システムなどをここぞとばかりに体験。

スバルが事故”0″を実現するために盛込まれた技術の集大成なわけですが、これだけの高精度な技術をもってして、ベースグレードの価格を200万円以下に抑えてきたというのはかなりの驚きですし、それだけでなく安定した走行性能を実現させているところにおいても、この個体のコストパフォーマンスはとんでもないものだと思いますね。

街中での走行を終えて、スバルの走行性能を更に体験すべく、車通りのほとんどない約5km程の直線コースとカーブを経験しましたが、これはとにかく素晴らしいの一言。
アクセルを一気に踏み込んだときのアクセルレスポンスはピカイチで、一気に高回転ゾーンに突入。
具体的な速度は言えないものの、ぶっ飛ばしても全くブレない・ちょっとした悪路でもブレない、ちょっとキツめのカーブに差し掛かっても、電子制御に頼らない強固な足周りによって実現したコーナリング性能は狙ったラインを寸分の狂いもなくクリアしており、この個体の走行性能と安定感は特筆すべきものがありますね。

ある程度の高速域から、ちょっと前に走行車がいたため、少し強めにブレーキを踏みますが、このブレーキの利きもかなり良く、マイルドなブレーキではなくスポーツカーによくある硬めのカックンブレーキのため、一気に減速できますしAWDならではのケツの振らないブレーキはとにかく安心。
「走る」「曲がる」「止まる」の基本をどこよりも忠実に再現しているように感じられます。

【総括】
以上より、スバル「インプレッサ・スポーツ」は、走行・安全性能はどの国産車にも負けておらずブランド力に頼らない質実剛健を貫くハイスペックでありながら、買わない理由が見当たらないほどにコストパフォーマンスの高すぎる個体であるといえます(これまでスバルの車に注目していなかっただけに
見る目が大きく変化するほどの衝撃)。

とある記事では、BMWといった外車のエントリーモデルよりも良いのではないか?という評価を下しているユーザもいらっしゃいましたが、これはかなり理解できてしまいますし、日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞も納得のオススメできる個体と言えますね。

※以下は、スバルHPに記載されていた日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞理由
新開発のスバルグローバルプラットフォームなどにより質の高い走行性能を持つとともに、国産車初の歩行者保護エアバッグ、運転支援システムのアイサイトをはじめとする多くの安全装備を標準装着するなど世界トップレベルの安全性能も実現したことは見事。
さらに200万円を切る手頃な価格からラインナップしたことも高く評価した。