映画「ワイルド・スピード」でレティ役が乗っていた日産240SX(シルビア)が「23年ぶり」に発見→数奇な運命で廃車置き場にて放置され、後日スクラップに

(続き)スタントカー用の日産240SXは、どのような方法で3台集めたのか?

当時は、FacebookやTikTok, YouTubeといった各種SNSが普及していない時代だっため、そのパーツに適した車両を見つけるのは簡単ではありませんでした。

こういった特殊な車のオーナーに連絡する唯一の方法として、自動車フォーラムと呼ばれる掲示板を介する以外に無く、240SXのオーナーには改造を許可すること前提で、映画「ワイルド・スピード」のスタッフ陣に車を預けたそうですが、当時はまだ「ワイルド・スピード」という映画が全く世間に広まっていない時代でしたから、オーナーから許可を得て改造するための交渉も苦労したそうです。

しかも「映画の撮影用」ともなれば、先述のようにスタント車両として活用するわけですから、必ずしも無傷のままで帰ってくるとは限りませんし、貸す側としても大きなリスクを背負っていました。


ジェームス氏の改造車をベースに、残り2台の240SXを中古で購入

この3台目となる日産240SXは、オーナーであるジェームス氏から6,400ドル(日本円に換算して約100万円)でレンタルしたものですが、彼の車はまさにワイルド・スピードチームが必要としていた改造モデル。

独自チューニングを施したSR20DETエンジンを搭載していたため、さすがにNOSを起動するようなシーンでは使用されませんでしたが、当初のシリーズで定番だったドラッグレースシーンで使用されています。

残り2台に関しては、製作チームが独自ルートで購入し、レッドのボディカラーは11,000ドル(日本円に換算して約166万円)、イエローのボディカラーは10,600ドル(日本円に換算して約160万円)で購入されました。

彼らは、これら2台をパープルカラーにペイントし、ヒーローカーと同じに見えるようにボディキットを取り付けたことで全く同じ仕様の240SXが3台準備された、という背景があります。

本来プレミアがつくと思われた240SXが、ミュージアムや保管施設ではなく、廃車置き場にて発見

ワイルド・スピードに登場した車の多くは適切に扱われ、2024年2月現在も公道を走っているか、保管施設やミュージアムにて保管・展示されていますが、今回発見された240SXだけは、塗装が戻された後はオーナーが手放したのか、まさかの廃車置き場にて発見されることになろうとは…

ちなみに、この廃車置き場にて発見された240SXは、Craig LiebermanのYouTubeチャンネルにて紹介されており、本モデルが負った悲痛な運命も明らかになっています。

製作チームが購入した2台の240SXは、既に別のオーナーが購入

スタント1とスタント2の車両は、映画が公開されて1年後に保管施設に送られ、両車ともマイアミにて再塗装・改造され、ワイルド・スピード2にて使用 → 映画にて使用された後は競売に出品され、別のオーナーが所有しています。

一方でジェームス氏が所有していた個体は、シルバーカラーに再び塗装された後、何度か自動車雑誌にも掲載されることに。

ジェームス氏の240SXは、次のオーナーに渡るも酷評されて廃車置き場行きに

その後、どのような経緯かは不明ですが、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に登場した女優ジャスミン・チョウに売却されたとのこと。

彼女はかなりの車好きだったことでも有名ですが、数年後に売却 → 他のオーナーの手に渡るも、サスペンションやトランスミッションの完成度が低いと評価され、純正に戻された状態で再び次のオーナーの手に渡ったため、ワイルド・スピードに登場したときの姿とは違うものになっていたそうです。

こうして23年の年月が経ち、今では廃車置き場へと売りに出されてスクラップ予定となっているそうですが、映画に登場したことで爆発的な人気を得るのではなく、ここまで数奇な運命を辿るヒーローカーも珍しいのではないかと思います。

How Letty’s 240SX Died A Gruesome Death

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Reference:autoevolution