レクサス・新型「CT200h」に試乗。エコでスポーティ、高級感と操作性を両立したプレミアムハッチバック

2020-05-26

さて、前々から試乗検討を進めていたレクサスの新型「CT200h」にようやく試乗。
今回新しくなった「CT200h」は、8月24日(木)にマイナーチェンジを果たし、外観のデザインの小変更と安全機能(「プリクラッシュセーフティシステム」「レーンディパーチャーアラート」「オートマチックハイビーム」「レーダークルーズコントロール」)を標準装備したエントリーモデルとなります。

エントリーモデルとはいっても、やはりレクサスの高級感漂う雰囲気に加えて、上質且つスポーティな走りを提供するパフォーマンスの高さはやはり一級品で、快適な走りの中に”走ることの楽しさ”を教えてくれるスポーツハッチバックでもありますね。
今回、試乗をさせていただいたのは、いつもお世話になっているレクサス宝塚さん。この日は、朝一から多数のお客さんが来場しており、非常にバタバタしているなかでご丁寧に説明(変更箇所、ドライブフィール、他のお客さんが新型「CT200h」を試乗しての感想等)・対応いただきました。


【新型「CT200h」について】
さて、今回試乗させていただいた個体は、スポーツモデルとなる「CT200h F SPORT」。
「CT200h」がラインナップする4グレードの中で唯一のスポーツ仕様となりますね。

この個体の持つコンセプトの一つに、人車一体感を生むための「微小域剛性」があります。
これは、「CT200h」が”自分で走らせる楽しさ”を追求したハイブリッドモデルであることを意味しており、
走る・曲がるという基本性能に”楽しさ”を加えるダイレクトなステアリングレスポンスと、それらを引き立てる上質な乗り心地を提供。
そして、これらの両立を実現するために、計測誤差として考えられていた「微小域剛性」に着目することで、
ボディやサスペンションの開発を進め、数万点に及ぶ部品の集合体を一体化させ、ストレスなくスムーズな動きを実現すべく、
改良に改良を重ねたのが今回のマイナーチェンジモデルとなります。

【「CT200h F SPORT」スペック】
 全長×全幅×全高:4,355mm×1,765mm×1,460mm

 ホイールベース:2,600mm
 最低地上高:140mm
 パワートレイン:排気量1.8L 直列4気筒+ハイブリッドシステム
 最高出力/最大トルク:136ps/142Nm
 燃費:26.6km/L
 燃料:レギュラーガソリン

大きくスペックに変更は無く、全体的にコンパクトに仕上げられたサイズ感ではありますね。
今回のマイナーチェンジにおいては、パワートレインの見直しは無く、あくまでも外観の小変更とインテリアの質感向上、そして安全機能の標準化というところが主目的となるため、恐らくこういったエンジンの見直しはフルモデルチェンジのタイミングになると思われます。

【外観インプレ】
さて、まずは外観をチェックしていきましょう。

今回のマイナーチェンジにより、「CT200h」のフロントのスピンドルグリルは、グレードに関係なくメッシュ(網目)タイプに変更となりました。
これまでは、”F SPORT”以外の”ベースグレード”、”Version C”、”Version L”では、レイヤー状のグリルになっていたのですが、
全てのグレードをよりスポーティに統一しています。

ただ、”F SPORT”のグレードに関してはちょっと特別で、メッシュグリルには「メタリックブラック/漆黒メッキモール/メッシュタイプ」とより洗練されたデザインとグレードアップしますが、それ以外のグレードにおいてはちょっとメタリックになったメッシュグリルという印象になっています。

続いての大きな変更としては、フロントヘッドライト。
従来のレクサスのアイデンティティであったアローヘッド形状(L型ポジションライト)が、下部ではなく上部へと移行しています(まるで眉毛のよう)。これにより、より立体感と表情が付加されています。
おまけにアローヘッドは粒々のLEDではなくシームレスという「LS」「LC」「LX」「GS」といった上位グレードにか採用されなかったライトとなっていて、他モデルとの差別化が図られていますね。

リヤデザインも諸々と変更が加えられています。
リヤテールライトがよりL型へと変更していることが確認できます。
複数の素子(粒々)によって照らされていたライトが、こちらもフロント同様にシームレスへと変わっています(「NX」「RC」に近いデザイン)。
レクサスならではの横に長いライトですが、前モデルでは一部しか点灯していなかったため、今回の横全体が点灯するというのは大きな改良ともいえますね。
リヤバンパー周りも、F SPORT専用のロアメタリックブラック塗装+メッシュベゼルタイプが付加し、ダミーダクト風且つスポーティなデザインを実現。

ここ最近のマイナーチェンジモデルもそうですが、最近のレクサスの流れとして、メッシュデザインを多用するケースが増えてきています。
これは恐らく、車離れが目立つ若者を対象に生み出されたものではないかと推測しますが、最近販売されたトヨタのスポーティ仕様となる「GR」ブランドもそれが大きな理由。
かたや一方で「レクサスの落ち着いた雰囲気」が好みなユーザも多いわけで、そういった意味では、好き嫌いがはっきり分かれるモデルなのかもしれません
(特に「CT」は女性からの人気が高いため、全グレードのフロントグリルをメッシュに変更したのは思い切ったことだと思う)。
※「LC」や新型「LS」もグレードに関係なくグリルがメッシュタイプとなりますが、これらの購入ターゲットは「CT」と異なっていますし、
且つプレミアムフラッグシップモデルとしての存在感を示すためにボディ全体の塊と一体感がありながらもグリル枠フレームの形状に呼応した流れを感じさせる緻密なメッシュとすることが目的となっています。

最後は内装ですね。
シートは本皮を使用し、オフホワイトを基調としたブラックとのツートンカラーとなっています。
最近マイナーチェンジしたレクサス車両はツートンを採用する傾向にあるらしく、今回の「CT200h」においても
ホワイト/ブラックやシャトー/ブラック、フレアレッド/ブラック、ブラック/レッドと多くのツートンラインナップを準備していますね。
細かいポイントを見ていくと、前モデルとの大きな変化は無く従来通りですね。

【試乗インプレ】
さて、前置きが相当長くなりましたが、早速試乗です。
まず、ドアを開けてのシートに乗り込む際の姿勢は、普段私が乗っている「CT200h F SPORT」と変わらずで、左脚から入り込むスタンス。
サイドシル位置が低いため、脚を奥まで入れ込む必要もなくすんなりと乗り込むことができます。
インナーミラーやサイドミラー、ステアリング位置、そしてシートポジションを調整後、早速エンジンスタートです。
エンジンスタート時のスタートアップサウンドは、心が洗われるな音色を奏で、ドライバをリラックス状態へと誘います。
このスタートアップサウンドは無音も含めて4種類設定が可能なので、気分に応じて変更するのも良いのかもしれませんね。

エンジンをかけた際はやはりハイブリッドだけあって無音。
アクセルを少し踏み込むとモータから内燃機関へと切り替えられ、ガソリン車ならではのサウンドとなりますが、それでもモータから内燃機関に切り替わった際の振動はシートに伝わることなく非常にシームレス。
前モデルでは振動が伝わるケースが多々ありましたが、今回のマイナーチェンジではそういった振動を最小限に抑えるように何らかの対策を行ったのかもしれませんね。

まずはディーラを出て国道に合流するわけですが、この際の歩道から国道への段差を乗り上げるときの揺れも抑えられていますね。
車体フレーム同士を接着剤にて接合し、極力つなぎ目を無くすことで剛性を高めたボディはやはり安定性が高く、乗っていて苦にならないのがレクサスの強みでもありますね。

この後、平坦な国道~アップダウンの激しい峠へと走るわけですが、やはり走り慣れている個体だけあって、意のままに操作できる感覚はまさにコンパクトハッチバックの良きポイント。
駆動方式が前輪駆動(FF)であるため、ある程度スピードが乗った後のエンブレやフットブレーキを多用すると、車体がフロント側に前のめりになるのですが、「CT200h」は元々車高が低めということもあって、姿勢が前のめりになる心配があまり無く、狙ったコーナーラインへとスムーズに侵入できますね。
ただ、少しコーナーがきつめになるとアンダー気味になるところは致し方ないところであるも、シャシーの安定性と「F SPORT」専用サスペンションによる減衰力のカバーもあってヒューマンエラーを機械的にサポートしてくれるのは非常にありがたいところですね。

峠を上った際のパワーについては、排気量1.8L 直列4気筒自然吸気+電気モータのハイブリッドモデルということもあって、非力に感じる部分はありますが、
その分車体重量が1,715kg、最小回転半径5.2mとコンパクトな小回りが利くことから、クイックな操作でパワーの非力さをカバーできているようにも感じられます。

【価格帯/強豪モデル】
価格帯としては3,770,000円~4,770,000円とベースグレードと最上位グレードとの差額は100万円。
今回試乗した「F SPORT」モデルは4,400,000円と中間グレードとなりますが、プレミアムCセグメントモデルとしては少々割高に感じる部分はあるかもしれません。
強豪モデルとしは、メルセデスベンツ「GLA 180 Sports」やアウディ「A3スポーツバック2.0 TFSIクアトロ」、BMW「118d Sport」とドイツ御三家のエントリースポーツモデルが対象となりますが、これら御三家に比べると価格帯としては最安値になること、そしてハイブリッドモデル、ガソリンがレギュラーであることを考慮すると意外にもお得感は有るのかもしれませんね。

【総括】
以上より、レクサスのマイナーチェンジモデル「CT200h F SPORT」は、よりスポーティな外観と安全装備(LSS+)を得る一方で
走りについては、前モデルの「CT200h」と変わらない安定した乗り心地(レクサスの専売特許)を提供。
特に今回試乗したF SPORTモデルは、以前試乗経験のある現行「プリウス/プリウスPHV」と比較しても硬めの足周りとなっているもまるでドライバを包み込むかのような乗り心地はレクサスのプレミアムCセグメントモデルたる所以。
操作性においても、コンパクトな個体を活かした取り回しの良さ、そして走行性能においては、ハイブリッドエンジン特有の低燃費且つFFならではの突っ込んだ走りをかけ持ったエコスポーツを確立した個体であると言えますね。

これまでの試乗記録はコチラにてまとめております。