トヨタ新型カローラクロスの走行距離が4,500km突破!納車されてもうすぐ10か月…ここまで「普通」に力を入れ、完璧ではなく「80点」を求めたSUVは珍しい

どの新型車も個性を重要視しがちだが、トヨタは敢えて「普通」を個性にしてきた

さてさて、2022年11月に私に納車されてもうすぐ10か月が経過するトヨタ新型カローラクロス(Toyota New Corolla Cross)ガソリンZ[2WD]ですが、気が付けば走行距離も4,500kmを突破。

月換算で見ると500km未満とそこまで距離を伸ばしていないようにも見えますが、複数台所有するなかでは(社用車を除いて)最も走られています。

本来であれば、2022年7月~9月に+2,000kmぐらい走らせる予定でしたが、諸々の事情によりそれは実現できず…

そんな新型カローラクロスが納車されて4,500km突破してのインプレッションをお届けしていきたいと思うのですが、改めて思うのは「カローラクロスは良い意味で、とにかく普通」ということ。

これは過去のブログでも何度かお伝えしたかと思いますが、ここまで徹底的に「普通」に拘るSUVって珍しく、何かしら新車・新型車を発表・発売する際には、競合モデルには無い強みや新機能、デザイン、便利機能を採用してくることが多いのですが、新型カローラクロスでは”敢えて”そういったものは無く、とにかく価格帯とバランスに見合ったモデルに仕上げることで、他のモデルには無い「究極の普通の車」になっています。


トヨタは「完璧」を求めるのではなく「80点」の製品を目指している?

そこで新型カローラクロスを所有していて思うことは、「トヨタって海外市場を強く意識し始めてから、敢えて完璧を求めていない」ということ。

他の競合モデルに勝るためには、その分充実した性能や機能性、装備内容、デザイン、安全装備などに力を入れることも多いのですが、新型カローラクロス含めた最近の新車・新型車は「ユーザーがOKと思ってもらえる最低ラインのギリギリ」を上手く理解しているように感じられるんですね(装備が有り過ぎても使いきれないのが現実)。

特に日本メーカーとなると、塗装品質からパーツの作り込み(組立品質)、故障しないなど、製品に対する品質の高さを高く追求し、それを理想とする日本人ユーザーが多く存在するわけですが(チリが若干ズレるだけでSNSでは何かと炎上している)、トヨタはそういった高い理想を求めるのではなく、コストバランスと「ここまでのラインであればOKだろう」という許容のボーダーを把握している印象があり、それもこれまで数多く製造・販売してきた経験から活かされているのだと思うんですね。

「80点」に落とし込むことで企業として新たな価値を生み出せそう

もちろん、これはトヨタブランドだからこそできる一つの技術力だと考えていて、私的にはトヨタの「80点主義(勝手に命名してますが…)」は高く評価していて、海外市場にも力を入れていくためには、「完璧」ではなく「合格点」を目指せる視点に置いてきたところは、メーカーにとっても強みになると思いますし、モノづくりの幅も広がると思います(テスラも合格点を目指す企業のイメージ)。

そういった背景もあるからなのか、BセグメントSUVの新型ヤリスクロス(New Yaris Cross)の上位グレードにて装備されるヘッドアップディスプレイ(HUD)を、敢えて兄貴分となるCセグメントSUVのカローラクロスでは設定してこなかったり、パワートレインを旧世代の排気量1.8L 直列4気筒自然吸気エンジンに設定したりと、価格面とのバランスを考慮して、ガソリンモデルとハイブリッドモデルのスタートプライスをそれぞれ199万円(税込み)~/259万円(税込み)~にしてきたのも戦略の一つだと思うんですね。

その結果として、2022年9月上旬時点での最新納期情報としては、ガソリンモデルが納期1年近く、ハイブリッドモデルが既に受注停止で納期1年以上となっているため、完璧なものなど無くとも「売れる」ことを証明して見せた一台に。

もちろん、「トヨタ」という大企業のブランド付加価値もあって多く売れているのだと思いますが、個人的にはここまで必要最低限の装備にまとめ(他モデルから流用できるパーツも上手く流用している)、高級感を見せることなくシンプルにまとめてきたところには好感が持てます。

2ページ目:普通の車だからこそ、普段乗りから長距離移動まで幅広く活用しやすい?