2022年のスズキは全12件&約60万台のリコールを届け出ていた!新型ソリオ/ハスラー/ワゴンRスマイル/アルトなど主要モデル多数で、エンジン関連の不具合も多かった

リコールを届け出ることで、早期的に対策を取る姿勢が高く評価されるが、台数や届け出頻度が多いとイメージも変化する

各自動車メーカーがラインナップする車種で、エンストや火災などにより走行不能、もしくは他車を巻き込むような事故が起こり得ることが想定される不具合を改善するため、国土交通省に届け出るのがリコールとなりますが、やはり個人的に気になるのは「各自動車メーカーが年間でどれだけのリコールを届け出し、どれだけの台数が対象となったのか?」ということ。

ちなみに2022年のスズキは、計12回・累計台数600,435台を国土交通省にリコール/改善対策/サービスキャンペーン届け出していますが、具体的にどういった車種が対象となり、どういった不具合が生じたのかを見ていきましょう。


ところでサービスキャンペーンとリコール、改善措置の違いは?

リコールの届け出数や対象車種の台数などをチェックする前に、リコールや改善対策、サービスキャンペーンの違いをおさらいしていきましょう。

リコール等の制度は、自動車の設計・製造過程に問題があった場合、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前届け出を行ったうえで回収や修理を行い、事故やトラブルを未然に防止する制度のことを指しています。

もちろん、自動車の不具合が生じないこと、リコールが発令されないことが理想的なのですが、工業製品である以上、どこかしら不具合が生じることは致し方なく、そのなかで「どれだけ早く改善措置をとるのか」「不具合が生じて事故など発生する前に、メーカーがいかに早く問題に気付けるか」がキーポイントになってきます。

リコールや改善対策などは、「社内」からの情報か、「市場」からの情報で発見されたかによって意味合いが大きく異なる

そのため、国土交通省に届け出されたリコールなどの資料をみていくなかで、不具合の出所が「メーカー(社内)から」なのか「市場(ユーザー車両に不具合が見つかり、そこから発見された)」なのかによっても意味合いが大きく異なるため、それによってメーカーの危機意識や事前予測能力も明確になってきます。

なお、リコールや改善対策、サービスキャンペーンの意味合いとしては以下の通りで、重要度合としては「リコール>改善対策>サービスキャンペーン」の順となっています。

[リコール]
リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製造過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。


[改善対策]
改善対策とは、リコール届出と異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製造過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、必要な改善措置を行うことをいいます。


[サービスキャンペーン]
サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます。

via:reiz

①:新型アルトにカーテンエアバッグの不具合(1車種・計1,322台)

まずは2021年12月に発売されてから、僅か2週間ほどでリコールを届け出たスズキのフルモデルチェンジ版・新型アルト(Suzuki New ALTO)の1車種・1,322台を対象とした不具合。

不具合内容としては、カーテンエアバッグにおいてクッションの縫製が不適切であったため、カーテンエアバッグの展開が適切に行われないというもの。

この問題に対して、既に取引先からの情報から明らかになっているため、事故や不具合は発生していません。

②:ソリオやスイフトなど、エンジンが始動しない恐れ(5車種・計429,431台)

続いては、2022年2月に国土交通省に届け出された改善対策で、対象モデルはソリオ/スイフト/イグニス/クロスビー/三菱デリカD:2の5車種・計429,431台。

不具合内容としては、エンジンコントローラにおいて制御プログラムが不適切なため、アイドリングストップ後のISG(モーター機能付発電機)による再始動ができなかった場合、スタータモータでのエンジン再始動に切替える保護機能が働かず、自動でエンジンを再始動できないおそれがあるというもの。

なお、これによる事故は起きていないものの、9件の不具合が報告されていて、市場からの情報より明らかになったことから、メーカー側も改善対策として届け出ています(メーカーが事前に発見したものではない)。

③:エスクードにチャイルドシート絡みのリコール(1車種・計15,854台)

続いても2022年2月に届け出されたエスクードのリコールで、1車種・15,854台が対象。

不具合内容としては、取扱説明書のチャイルドシート(以下CRS)適合表において、本来記載すべきISO/R3仕様のCRS搭載時に関する注記を記載していないため、保安基準第22条に適合しないとのこと。

ちなみにこのリコールに関しては、事故や不具合などの報告は無く、社内からの情報により明らかになっているそうです。

④:可倒式ルーフアンテナではなく、固定式ルーフアンテナが誤って装着(1車種・計14台)

続いては、コンパクトクロスオーバーSUVのクロスビーに関するリコールで、1車種・14台が対象となっています。

不具合内容としては、ルーフアンテナの車両への組付指示が不適切なため、異なる形状のルーフアンテナが組み付けられ、車両の全高値が認証届出と異なるものがあるとのこと。

本来であれば、可倒式ポールアンテナが装着される予定ですが、どうやら固定式ポールアンテナを搭載している可能性が高いとのこと。

ちなみにこのリコールに関しては、事故や不具合などの報告は無く、社内からの情報により明らかになっているそうです。

2ページ目:新型ソリオやハスラー、ワゴンRスマイル、アルトなどの主要モデルを対象とした不具合も多数