2022年のトヨタは全16件&約40万台のリコールを届け出ていた!フルモデルチェンジ版・新型ノア/ヴォクシーは計3回、新型ハリアーは2回のリコールや改善対策

2022年も、トヨタは多数のリコール/改善対策/サービスキャンペーンを届け出ている

各自動車メーカーがラインナップする車種で、エンストや火災などにより走行不能、もしくは他車を巻き込むような事故が起こり得ることが想定される不具合を予防・改善するため、国土交通省に届け出るのがリコール。

このリコールや改善対策、サービスキャンペーンに対し、個人的に気になるのは「各自動車メーカーが年間でどれだけのリコールを届け出し、どれだけの台数が対象となったのか?」ということ。

前回のブログでは、スズキが2022年に届け出てリコール件数と全対象台数を、国土交通省のプレスリリースを参考に算出したところ、件数が全12件、対象台数は累計 約60万台であることが判明しました。

そして2022年のトヨタは、計16件・累計台数396,611台を国土交通省にリコール/改善対策/サービスキャンペーンを届け出していますが、具体的にどういった車種が対象となり、どういった不具合が生じたのかも見ていきましょう。


ところでサービスキャンペーンとリコール、改善措置の違いは?

これも前回のブログにてご紹介しましたが、リコールの届け出数や対象車種の台数などをチェックする前に、リコールや改善対策、サービスキャンペーンの違いをおさらいしていきましょう。

[リコール]
リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製造過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。


[改善対策]
改善対策とは、リコール届出と異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製造過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、必要な改善措置を行うことをいいます。


[サービスキャンペーン]
サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます。

via:reiz

リコールや改善対策などは、「社内」からの情報か、「市場」からの情報で発見されたかによって意味合いが大きく異なる

国土交通省に届け出されたリコールなどの資料をみていくと、不具合の出所が「メーカー(社内)から」なのか「市場(ユーザー車両に不具合が見つかり、そこから発見された)」なのかによっても意味合いが大きく異なるため、それによってメーカーの危機意識や事前予測能力も明確になってきます。

なお、リコールや改善対策、サービスキャンペーンの意味合いとしては以下の通りで、重要度合としては「リコール>改善対策>サービスキャンペーン」の順となっています。

①:ライズが走行不能となる恐れ(リコール対象1車種・計7,928台)

まずはダイハツ・ロッキー(Daihtasu Rocky)のOEMモデルとなるライズ(Raize)のリコールで、1車種・計7,928台が対象。

不具合内容としては、シリーズハイブリッド車(新世代e:smart)において発電に用いるエンジンの制御コンピュータのプログラムが不適切なため、走行中にエンジンが停止した直後の加速時に再始動できないことがあり、そのため、エンジン警告灯が点灯して加速不良となり、そのままの状態で使用を続けると最悪の場合、バッテリー残量不足により走行不能になるおそれがあるのこと。

ちなみにこの不具合による事故は起きていないものの、既に29件もの不具合が発生していて、市場からの情報により明らかになっています。

②:新型ハリアーのリヤウィンカーが作動しない恐れアリ(リコール対象1車種・計70,046台)

続いては、フルモデルチェンジ版・新型ハリアー(New Harrier)にリヤウィンカー関連のリコールで、1車種・計70,046台が対象。

不具合内容としては、後面方向指示器(リヤウィンカー)において、LEDソケット内の回路基板の耐水性が不十分なため、雨水等がソケットに滴下して当該基板に結露が発生することがあり、そのため、結露した状態での通電と乾燥を繰返すと、基板上に短絡回路が形成され、最悪の場合に後面方向指示器が作動しなくなるおそれがあるとのこと。

ちなみにこの不具合による事故は起きていないものの、既に128件もの不具合が発生していて、市場からの情報により明らかになっています。

③:GRヤリス/ヤリスクロス/ヤリス/C-HRにミリ波レーダー関連の不具合(リコール対象4車種・計43,078台)

続いては、C-HRやヤリス(New Yaris)、ヤリスクロス(New Yaris Cross)、GRヤリス(New GR Yaris)に予防安全装備Toyota Safety Senseに関するリコールで、対象は4車種・計43,078台。

不具合内容としては、衝突回避支援システムにおいて、ミリ波レーダセンサのプログラムが不適切なため、当該センサの初期設定に時間が掛かり、正常に完了せず未完了状態を検出できていないものがあり、そのため、前方車両を確認できず衝突回避支援システムが作動しないおそれがあるとのこと。

ちなみにこの不具合による事故は起きていないものの、既に4件もの不具合が発生していて、市場からの情報により明らかになっています。

④:アルファード/ヴェルファイアの車検証記載に誤り(サービスキャンペーン対象2車種・計270台)

続いては、ラージサイズミニバンのアルファード(ALPHARD)とヴェルファイア(VELLFIRE)に関するサービスキャンペーンで、対象は2車種・計 約270台。

国土交通省によると、自動車検査証(車検証)に記載されている高さ及び類別区分番号に誤りがあることが判明したとして、当該車両については、次回車検等の際に高さ及び類別区分番号を訂正した車検証を交付するとのこと。

具体的には、アルファード/ヴェルファイアの3型式を対象に、ルーフアンテナ無しの状態での全高の寸法が誤りだったそうで、次回車検の際に順次車検証の記載を修正していくそうです。

なおサービスキャンペーンに関しては、リコールや改善対策のように強制的なものではなく任意となるため、車検時以外で慌てて車検証の修正を依頼する必要はないそうです。

⑤:新型ノア/ヴォクシーにディスプレイオーディオの不具合(改善対策対象2車種・計25,323台)

続いては、フルモデルチェンジ版・新型ノア(New Noah)/ヴォクシー(New Voxy)にディスプレイオーディオの改善対策で、対象は2車種・計25,323台。

不具合内容としては、ディスプレイオーディオにおいて、制御プログラムが不適切なため、シフト操作もしくは車速入力時に画面表示の切替え指示が正しくされない場合があり、そのため、走行開始後も意図せず動画(テレビ映像等)が表示されたままとなるおそれがあるとのこと。

ちなみにこの不具合による事故は起きていないものの、既に4件もの不具合が発生していて、市場からの情報により明らかになっています。

⑥:新型ランドクルーザー300/ハリアー/RAV4に複数の不具合(リコール対象3車種・計78,788台)

続いては、フルモデルチェンジ版・新型ランドクルーザー300(New Land Cruiser 300)/ハリアー/RAV4にブレーキアクチュエーター用制御コンピューターとボディ関連器のリコールで、対象は3車種・計78,788台。

不具合内容としては、以下の2パターンの通り。

①:横滑り防止装置(VSC)において、制御プログラムが不適切なため、VSC機能オフ状態でブレーキペダルを踏んだままシステム停止後に再始動すると、機能オン状態に復帰しない。そのため、オフ表示灯が点灯し、VSCが作動しないおそれがある。

②:エンジンルーム内のショックアブソーバ取付部付近のボデーにおいて、溶接設備の設定が不適切なため、当該部位に溶接が行われていないものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると亀裂が生じ、最悪の場合、走行安定性を損なうおそれがある。

ちなみにこの不具合による事故は起きておらず、社内からの情報により明らかになっています。

2ページ目:新型ノア/ヴォクシー/ランドクルーザープラド/クラウン/プリウス/ヤリスなどにも大量リコール?!