テスラCEOのイーロン・マスク「サイバートラックは素晴らしいが、価格が高過ぎる」と発言。日産が炎天下に役立つ「自己放射冷却塗装」を開発!
(続き)日産が炎天下でも快適に過ごすことを目標にした画期的な塗装技術を発表!
続いて、日産が夏場の直射日光による車室内温度の過度な上昇を防ぐことを目的に、エアコン使用時のエネルギー消費を減らすことで、燃費もしくは電費向上に貢献する「自動車用自己放射冷却塗装」の開発、及び実証実験での成果を公開しました。
今回日産が開発した塗装技術は、物体の温度上昇を引き起こす太陽光(近赤外線)を反射するだけでなく、メタマテリアル技術と呼ばれる活用により熱エネルギーを放射するため、エアコンの使用を抑制しながらも涼しく快適な車内環境の提供が可能になるとのこと。
少々わかりづらい部分もあるとは思いますが、「ブラックのボディカラーだと車内が熱くなる」と云われるように、要は従来のボディカラーと比べて、今回新たに開発された「自動車用自己放射冷却塗装」では炎天下でも車内温度を下げることができるというもので、これが実用化されたら画期的かもしれませんね。
従来の塗装に比べて、ボディ表面だけでなく車内温度を「5度」も下げることのできる塗装技術
今回日産が紹介している、「自動車用自己放射冷却塗装」に使用される塗料には、放射冷却製品の開発を専門とするラディクール社と共同開発したもので、電磁波、振動、音などの性質に対し自然界では通常見られない特性を持つ人工物質「メタマテリアル」を採用しているとのこと。
今回は「熱のメタマテリアル」として、晴れた冬の夜間から早朝にかけて起こる放射冷却と同じ現象を人工的に引き起こすことで、太陽光を反射するだけでなく、クルマの屋根やフード、ドアなどの塗装面から熱エネルギーを大気圏外に向かって放出することが可能となり、車内の温度上昇を抑制することが可能とのこと。
開発段階において、この塗料を塗装した車両と通常塗料を塗装した車両を比較した際、外部表面で最大12度、運転席頭部空間では最大5度の温度低下を確認。
これにより、炎天下に長時間駐車していた車両への乗り込み時の不快感を軽減し、エアコンの設定温度や風量の最適化により、燃費や電費の向上を図ることができるとのこと。
ちなみに、メタマテリアルの技術を利用した放射冷却塗料は、今回の車両だけでなく建築用途には使用されていて、建築用塗装は自動車用塗装と比較すると塗膜が非常に厚くローラーで塗布することを前提。
そのため、自動車の塗装に必要であるクリアトップコートの使用も想定されていません。
そこで日産は、この塗料を車に適用できるようにエアスプレーでの塗布や、クリアトップコートとの親和性、日産の厳格な品質基準など、様々な条件への対応に取り組むことで実用化を目指してきました。
開発期間に3年を要し、遂に車両塗装を実現
開発期間にすると約3年かかり、総合研究所にて100種類以上のサンプルを作製し、一般的な自動車塗装に用いられるエアスプレーでの塗装に成功。
また、今回の実証実験において塗装の欠けや剥がれ、傷、塩害などの化学反応に対する耐性、色の一貫性、修復性にも現時点で問題がないことも確認しているため実用化はより現実的に。
さらに、自動車用塗装への適用として重要な要件のひとつである塗装膜厚においては、同等の冷却性能を確保しつつ開発当初の120µm (0.12mm)から大幅な薄膜化に成功しているのもポイント。
現在は、トラックや救急車など炎天下においての走行が多い商用車への特装架装としての採用を検討しているとのことで、商品化に向けてさらなる薄膜化に取り組んでいるとのことですが、あとはこの塗料を利用することで、どれだけのオプション費用・コストがかかるのかも気になるところです。
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Reference:Benzinga, X(旧Twitter), Nissan