当たり前だが各車の性質が全く違う!フェラーリ812スーパーファスト/458イタリア、マクラーレン600LT、マセラティ・グラントゥーリズモの助手席乗り比べをしてみた

他にもスーパーな3車種の助手席試乗もインプレッションしていこう

②:マクラーレン600LT

続いてはマクラーレン600LT(McLaren 600LT)。

1年間の期間限定販売(台数制限はないが、製造キャパを考慮すると上限台数はあると予想)となるスポーツシリーズの最高峰に君臨するストリートリーガルモデルですが、パワートレインは排気量3.8L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力600psを発揮。

先ほどの812スーパーファストに比べると、エンジンやパワーは控え目で、おまけにエンジンはフロントミドシップからリヤミドシップと大きくレイアウトも異なるため、乗り味や性格は全くの別物。

唯一同じポイントとしては後輪駆動(厳密にはMR)でブレーキはカーボンセラミック製というところですが、いざ公道を走らせると乗り味から加速、そしてブレーキングはマクラーレンらしさを前面に押し出している印象。

まずはV8ツインターボエンジンのトルクフルで強力な加速は特筆すべきものがあり、ワープするような加速ではなく、完全なるゴリゴリのジェットコースター。

シートはフルバケットでアルカンターラ、サスペンションもかなりカタメ、おまけに低速且つ一般道での走行中の振動や、路面の凹凸をダイレクトに伝えてくるため、このあたりの性格も812スーパーファストとは全くの別物だと思います。

こちらはいつでも臨戦態勢OKで、凶暴さをむき出しにした獣の様な恐ろしさがありますが、その凶暴さを扱えるドライバー(オーナーはサーキット経験者)だからこそ、それが刺激と楽しさに繋がっているのでしょうね。


③:フェラーリ458イタリア

続いてはフェラーリ458イタリア(Ferrari 458 Italia)。

こちらも先ほどの600LT同様にミドシップモデルですが、大きく異なるのは排気量4.5L V型8気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力578psを発揮するということ。

つまりはフェラーリらしい「甲高いエキゾーストサウンドを奏でる」最後のV8自然吸気モデルとなるわけですが、乗り味や加速、走りの方向性は、まさに812スーパーファストと600LTの中間地。

言い方を変えれば、スマートでジェントルに乗りこなせるし、アグレッシブに乗りこなすこともできる万能モデルといったところで、このモデルがフェラーリのラインナップモデルで高い人気を得続け、その価値が全く下がらないのも納得できるほど。

乗り味もマイルドさを持ちつつ適度なカタサもありますし、全幅も1,937mmと極端にワイドというわけでもないので、普段使いもできる(スポーティー寄りの)オールラウンダーといったところ。

④:マセラティ・グラントゥーリズモ

そして最後は、マセラティのGT(グランドツーリング)モデルとなるグラントゥーリズモ(Maserati Gran Turismo)。

今回の4台の中でも最も優雅で最も落ち着いたスポーツモデルとなりますが、ベースとなるエンジンはフェラーリ製の排気量4.7L V型8気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力440psを発揮するスーパーカーレベルのスペック。

見た目の過激さはフェラーリやマクラーレンに劣るものの、その一方で先述の「最も優雅」という点では圧倒的にトップですし(方向性は812スーパーファストに似てる)、十分なパワーと十分なスタイル、そして十分な乗り心地を提供した究極のグランドツーリングスポーツであることは間違いなし。

エキゾーストサウンドも官能的ですし、何よりも厚肉のフルレザーシートに包まれた快適性は他3車種に比べて圧倒的に高く、マセラティらしいクイックで力強い加速を提供してくれるのも魅力的。

あとは完全にユーザーの好みになってきますが、紳士さを重要視しつつ、長距離移動も苦とせず、更には自分の感情を走りに置き換えてくれる、「鏡の様なモデル」であることは間違いないと思います。

各4車種にそれぞれの良さがあり、それぞれの魅力もある

こうして助手席試乗をしてみると、全4車種にはそれぞれの良さや特徴、コンセプトアプローチがあるため、それぞれのテーマにしっかりと沿った造りになっていることがはっきりとわかるほど。

当たり前ではありますが、すべての車の性格が全く異なるため、その違いの明白さを知ることができただけも今回の収穫は大きかったと考えています。

本来であれば、こういった助手席乗り比べは簡単にできるものではないのですが、私の自分勝手&わがままに快く付き合っていただけたフェラーリ812スーパーファスト/マクラーレン600LT/フェラーリ458イタリア/マセラティ・グラントゥーリズモのオーナー様には心より感謝申し上げます。

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