ダイハツ新型ムーヴキャンバスの一部不具合点検で販売店へ。販売スタッフ「メーカーが新車販売キャンセルは10%以下で”多くない”と言うが、これから増えるかもしれない」と不安の声も

(続き)ダイハツメーカーとディーラーとの考え方や捉え方には違いがあるようだ

引き続き、ダイハツディーラーでの近況を確認していきましょう。

メーカーは「キャンセル率10%以下」「キャンセルはそれほど多くない」と語るが…

そしてもう一つ、販売店側が最も不満に感じていたのが「新車注文のキャンセル状況」について。

2024年1月29日、ダイハツメーカーの武田裕介 取締役営業CS本部長が、認証試験不正に伴う全車種販売停止によるキャンセル率を10%以下と明らかにした上で、「キャンセルはそれほど多くない。顧客からは当初の非難から再生を求める声が強まっている。法人顧客は納期を守れないとキャンセルされる場合もあるが、待ってくれる個人客もいる」と述べたことが注目されました。

数字だけで「大丈夫」と判断されていることに、ディーラー側は憤慨している

しかしながら、私がお世話になっているダイハツディーラーからの話によれば、「今はキャンセル率が10%以下で収まっているかもしれないが、今後更にキャンセル率は高まってくる。そのときに”キャンセルはそれほど多くない。顧客からは当初の非難から再生を求める声が強まっている”と、同じことが言えるのだろうか?」という正直な意見とともに、今後の見通しが立っていない状況による不安も吐露していたのが印象的でした。

なかには長年ダイハツ車を乗り継いできたお客さんも多く、「今は待つことしかできないし、納車を待つ私たちだけでなく、納車することができない営業さんも苦しいことはわかっているから、今は待ち続けますよ」と言っていただけるお客さんも多く、その言葉に救われているとの声も。


納車を待ち続ける生身の人間の想いを知ることも重要

だからこそ、「キャンセル率を10%以下」という言葉がどれだけ重たい意味なのかは、販売店が一番よく理解しているのだと思われ、しかしメーカー側の「キャンセルはそれほど多くない。~待ってくれる個人客もいる」という言葉に、メーカー側とディーラー側との認識の違い、そして言葉の重みの差が感じられるそうで、しかしディーラー側の想いがメーカーへとダイレクトに伝えることができないのも、やりきれない気持ちになるとのこと。

今は納車待ちの顧客が、今後もひたすらに待ち続けるだけでなく、メーカーは数字だけを見て判断するのではなく、販売店側と密にコミュニケーションをとることで「今現場で何が起きているのか」「目の前にいる、生身の人間の意見や想いを把握しているのか」など、もう少し寄り添うことも経営陣含めて見直すべきポイントであり、信頼を維持するのに必要なことなのかもしれません。

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Reference:日刊工業新聞