トヨタの型式指定申請における不正行為で発覚したヤリスクロス/カローラ/シエンタ/レクサスRX等の「7車種の不正事案」。「エアバッグのタイマー着火」など詳細を見ていこう

2024-06-04

(続き)トヨタの型式指定申請における不正行為となる全6つの不正事案をチェック!

引き続き、トヨタの型式指定申請における不正行為となる全6つの具体的な不正事案をチェックしていきましょう。

③:選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用

続いては、「選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用」に関する不正内容を見ていきましょう。

対象となるモデルは、2015年式のカローラアクシオ/カローラフィールダー/シエンタ/クラウンとなります。

この試験では、歩行者とクルマが衝突したときの頭部や脚部へのダメージを確認した開発試験となりますが、認証で申請した測定部位と、実際にぶつけた位置が左右で逆のデータを使ったことや、片側のデータを両側分のデータとして認証申請に使用していたことが発覚。
※車両上、左右で結果に差が出ない試験項目ということが確認できている模様

本来ならば、もう一度、選定された測定位置にて認証試験を実施し、そのデータを提出することが必要であり、測定位置の決定は、事前に認証機関に申請し合意をいただくプロセスを取っていているとのことですが、開発途中での構造変更や技術的な検証が進む中で測定点変更に関する、認証機関とのコミュニケーションが不足していたこともあったそうです。


④:規定と異なる台車重量

続いては、「規定と異なる台車重量」に関する不正内容を見ていきましょう。

対象となる車種は、2015年式のシエンタと、2014年式のクラウンとなり、両モデルともエンジン開発の際に、後面衝突による燃料漏れ等の確認するための試験となっています。

この項目においては、より試験条件の厳しい台車を用いた開発試験データを認証申請に使用していたことが発覚。

法規基準の1,100kgより重たい1,800kgの評価用台車を使用し、より大きな衝撃で評価していて、本来ならば、再度法規で定められた1,100kgの評価用台車を用いて認証試験し、そのデータを提出することが必要でした。

⑤:規定と異なるブロックで試験

続いて、「規定と異なるブロックで試験」に関する不正内容を見ていきましょう。

対象となる車種は、2020年式のヤリスクロスで、衝突時の積み荷の移動による後部座席へのダメージを調べる試験で不正が発覚。

法規の変更により、積み荷ブロックの要件が追加されていましたが、一方で認証申請では、古いブロックを使った開発データを使用してしまい、本来であれば改めて新しいブロックで試験し、そのデータを提出すべきだったものを提出しなかったそうです。

⑥:出力点の制御調整

そして最後は、「出力点の制御調整」に関する不正内容について。

対象となるモデルは、2015年式のレクサスRXで、エンジンの開発においてエンジン出力を確認した認証試験となっています。

この試験において狙った出力が得られず、本来は、問題が発生した際は立ち止まり、 原因究明の上で対策をすべきでした。

しかしながら、狙った出力が得られるようにコンピューター制御を調整し、再度試験をしたデータを使用していたことが発覚。

これは、結果が基準を満たすように、手を加えてしまっていることが①~⑤とは性質が違う事案だそうですが、その後の調査では、試験用の排気管の潰れが原因だと言われています。

1ページ目:エアバッグの「タイマー着火」とは?

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Reference:Toyota